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最前線の街ホリック
奇跡
(まずはどんな毒なのか把握しないと)
解析のルーンをタリアの肌に描き込む。完成したすぐ後に身体にルーンが溶けていく。
「一体何を………——————ッ!?」
グレイがルーンを描き込んだ所でダイムは我に帰りグレイを止めようとした。しかし、それは彼女の顔を見た瞬間、驚愕と恐怖で止まった。
笑っていた。
タリアを助けたい気持ちは本物だ。眼は真剣そのものでダイムの声など届いてはいない。
それでも、新しい知識を得る高揚感は不謹慎ながら止められない。まして、魔獣の毒という未知の存在ならばなおのこと。
ルーンから得られる情報を興奮しながら読み漁るグレイはタリアの身体の異常を発見した。
(魔力が二つ、それも混ざり合って――――いや、侵食されてる)
解析のルーン、いや、あえて言うならルーンは万能だ。
魔法との差別点はその万能さ。文字の組み合わせ次第で無限の効力を発揮する。詠唱によって定型の効力しか発揮できない魔法とは一線を画す。
(魔力の弱いほうがこの人の魔力かな?)
毒の魔力を完全にグレイは捉えた。解析し弱点を理解したのならあとは簡単だ。
(弱体化のルーン起動)
ルーンは万能だが全能では無い。
例えるならどんな病にも聞く特効薬ではなく指定した病には絶対に効く特効薬だ。
だからこそ、毒の正体を知る必要があった。
後は徐々に弱まっていく毒の魔力をタリアの魔力が逆に飲み込んでしまえば解毒完了だ。
粗かった息は次第に安定し始め顔も安らかなものになっていく。
(あぁ……これは夢か?)
間に合わない、助からない。
街を思えば娘の命を見捨てる他ない。
そんな絶望の中、不思議な少女が現れた。
(魔法?いや、そんな物ではない。奇跡だ、私は奇跡を見ている。あぁ夢ならば覚めないでくれ)
魔法では太刀打ちできなかった魔獣の毒がどうなったかなど娘の顔がみるみる健康そうな色に戻るのを見れば確認する必要はなかった。
集中を解いたグレイは汗を拭う。自分ならともかく他人の身体にルーンを使うのはかなりのリスクがあるために今は全身の力が抜けかけていた。
思わず膝がガクッと落ちる。
ダイムは膝から崩れ落ちそうになっている恩人《グレイ》を抱き止める。
「娘を助けてくれてッありがとう……!君を侮るような発言を許してくれ」
『気にしてない』
グレイは元々はお金目的で来た訳なのであまり気にしていないと言う意味で答える。
『できれば何も聞かないで欲しい』
「分かった。君の力について詮索はしない。広めたりしないと誓おう。娘の恩人に仇で返すことはしない。何か礼をしたいと思うのだが」
何か恩人にできることはないか。無理難題でも出来うる限りのことを叶えるつもりのダイム。そして、『依頼金』と書こうとするグレイ。
そんな二人に割って入るように兵士が部屋に入って来た。
「緊急の報告です!スタンピードが………確認されました!!」
「何だと!?」
「今から少し前、討伐隊が魔獣の群れと交戦中そして離脱した冒険者が門にやって来たと報告が」
「もう始まったか……で、被害は?」
「離脱した中に毒を受けたものが。他の者達も重症多数との事」
「分かった、すぐに北門に兵を集めろ。君は此処に―――おい、ここにいた少女はどこに行った」
ダイムはグレイを領主邸に匿おうとしたが当の本人の姿がない。
「彼女なら窓から外に出ていきました」
「何だと!?」
◇◇◇
走る疾る馳しる。
白い板を領主邸に置き窓から飛び降りて向かう先は北の門。
疲労困憊の身体に鞭打ってまでひたすらに走る。
討伐隊にはレイラ達がいる。
既にルーンのことはバレてしまった。ならもう遠慮はいらない。
目の前には防衛のために北門を閉じようとする門兵の姿。ルーンを用いても門が閉まっては今のグレイに外に出る手段はない。
既に風と強化のルーンを身にまとっているグレイは更に加速する。
「早く閉めろ、魔獣を冒険者が食い止めてくれているうちに!」
「わかってる――!ってうわぁ!?」
ひと一人がギリギリ通れる隙間をグレイは恩人に報いるために疾風となって吹き抜ける。グレイとすれ違った門兵はその風に巻き込まれて尻もちをつく。
「何か今通っていかなかったか!?」
「そんなわけないだろ、いいから早く閉めろ!」
◇◇◇
「街を守れ―!!」「絶対に通すな!」「死守だ、俺たちに街のみんなの命がかかってる!」
門の外では残った冒険者が逃した魔獣が門を襲っていた。既に怪我を負っているものが多く苦戦を強いられていた。
「しっかりして、レイラ!!」
その中でも毒を身体に受けたレイラを守るようにライラは戦っていた。蛇型魔獣と戦っていた際にライラを庇って毒を受けてしまった。
そんなレイラを執拗に狙う狼型魔獣からの攻撃を右足に喰らったライラは膝をついてしまう。
(——————————ぁ)
間に合わない。大きく鋭利な爪がスローモーションのように襲ってくる。
喰らえば必死。だが、足が動かない。
狂爪がライラをとらえようとしたその瞬間————小さい影が魔獣を吹き飛ばした。
『助けに来た』
目を大きく開くライラの先には街に置いて来た新しい妹の姿があった。
解析のルーンをタリアの肌に描き込む。完成したすぐ後に身体にルーンが溶けていく。
「一体何を………——————ッ!?」
グレイがルーンを描き込んだ所でダイムは我に帰りグレイを止めようとした。しかし、それは彼女の顔を見た瞬間、驚愕と恐怖で止まった。
笑っていた。
タリアを助けたい気持ちは本物だ。眼は真剣そのものでダイムの声など届いてはいない。
それでも、新しい知識を得る高揚感は不謹慎ながら止められない。まして、魔獣の毒という未知の存在ならばなおのこと。
ルーンから得られる情報を興奮しながら読み漁るグレイはタリアの身体の異常を発見した。
(魔力が二つ、それも混ざり合って――――いや、侵食されてる)
解析のルーン、いや、あえて言うならルーンは万能だ。
魔法との差別点はその万能さ。文字の組み合わせ次第で無限の効力を発揮する。詠唱によって定型の効力しか発揮できない魔法とは一線を画す。
(魔力の弱いほうがこの人の魔力かな?)
毒の魔力を完全にグレイは捉えた。解析し弱点を理解したのならあとは簡単だ。
(弱体化のルーン起動)
ルーンは万能だが全能では無い。
例えるならどんな病にも聞く特効薬ではなく指定した病には絶対に効く特効薬だ。
だからこそ、毒の正体を知る必要があった。
後は徐々に弱まっていく毒の魔力をタリアの魔力が逆に飲み込んでしまえば解毒完了だ。
粗かった息は次第に安定し始め顔も安らかなものになっていく。
(あぁ……これは夢か?)
間に合わない、助からない。
街を思えば娘の命を見捨てる他ない。
そんな絶望の中、不思議な少女が現れた。
(魔法?いや、そんな物ではない。奇跡だ、私は奇跡を見ている。あぁ夢ならば覚めないでくれ)
魔法では太刀打ちできなかった魔獣の毒がどうなったかなど娘の顔がみるみる健康そうな色に戻るのを見れば確認する必要はなかった。
集中を解いたグレイは汗を拭う。自分ならともかく他人の身体にルーンを使うのはかなりのリスクがあるために今は全身の力が抜けかけていた。
思わず膝がガクッと落ちる。
ダイムは膝から崩れ落ちそうになっている恩人《グレイ》を抱き止める。
「娘を助けてくれてッありがとう……!君を侮るような発言を許してくれ」
『気にしてない』
グレイは元々はお金目的で来た訳なのであまり気にしていないと言う意味で答える。
『できれば何も聞かないで欲しい』
「分かった。君の力について詮索はしない。広めたりしないと誓おう。娘の恩人に仇で返すことはしない。何か礼をしたいと思うのだが」
何か恩人にできることはないか。無理難題でも出来うる限りのことを叶えるつもりのダイム。そして、『依頼金』と書こうとするグレイ。
そんな二人に割って入るように兵士が部屋に入って来た。
「緊急の報告です!スタンピードが………確認されました!!」
「何だと!?」
「今から少し前、討伐隊が魔獣の群れと交戦中そして離脱した冒険者が門にやって来たと報告が」
「もう始まったか……で、被害は?」
「離脱した中に毒を受けたものが。他の者達も重症多数との事」
「分かった、すぐに北門に兵を集めろ。君は此処に―――おい、ここにいた少女はどこに行った」
ダイムはグレイを領主邸に匿おうとしたが当の本人の姿がない。
「彼女なら窓から外に出ていきました」
「何だと!?」
◇◇◇
走る疾る馳しる。
白い板を領主邸に置き窓から飛び降りて向かう先は北の門。
疲労困憊の身体に鞭打ってまでひたすらに走る。
討伐隊にはレイラ達がいる。
既にルーンのことはバレてしまった。ならもう遠慮はいらない。
目の前には防衛のために北門を閉じようとする門兵の姿。ルーンを用いても門が閉まっては今のグレイに外に出る手段はない。
既に風と強化のルーンを身にまとっているグレイは更に加速する。
「早く閉めろ、魔獣を冒険者が食い止めてくれているうちに!」
「わかってる――!ってうわぁ!?」
ひと一人がギリギリ通れる隙間をグレイは恩人に報いるために疾風となって吹き抜ける。グレイとすれ違った門兵はその風に巻き込まれて尻もちをつく。
「何か今通っていかなかったか!?」
「そんなわけないだろ、いいから早く閉めろ!」
◇◇◇
「街を守れ―!!」「絶対に通すな!」「死守だ、俺たちに街のみんなの命がかかってる!」
門の外では残った冒険者が逃した魔獣が門を襲っていた。既に怪我を負っているものが多く苦戦を強いられていた。
「しっかりして、レイラ!!」
その中でも毒を身体に受けたレイラを守るようにライラは戦っていた。蛇型魔獣と戦っていた際にライラを庇って毒を受けてしまった。
そんなレイラを執拗に狙う狼型魔獣からの攻撃を右足に喰らったライラは膝をついてしまう。
(——————————ぁ)
間に合わない。大きく鋭利な爪がスローモーションのように襲ってくる。
喰らえば必死。だが、足が動かない。
狂爪がライラをとらえようとしたその瞬間————小さい影が魔獣を吹き飛ばした。
『助けに来た』
目を大きく開くライラの先には街に置いて来た新しい妹の姿があった。
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/417802211/393035061
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