百色学園高等部

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体育祭イベント

先輩とGW1

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ゴールデンウィーク



一年生はホームシック気味になって、連休初日に実家に帰ったり、もっと早いと、授業終わってすぐに外出届けをだしたり。罰ゲームで告白してくる人はいない理由は、そういうこと。

先輩たちは、ちらほら実家に帰ったり、寮に残ったりしてる。

その影響で寮の共同スペースや、朝の食堂なんか空いてがらんどうだ。


俺はというと、別に帰る必要はないか……と思って帰っていない。帰ると、逆におじさん達に迷惑かけそうだ。



とはいっても、学校でする用事もなく、部屋の中でだらん……として過ごした。

「さすがにゴールデンウィーク中は罰ゲームないもんね~」

月曜日に告白されて、日曜日にお別れメールをして、という習慣がルーティン化されつつあるが、さすがにゴールデンウィーク中には告白されなかった。

そのため、LI○Eの話し相手もいない。

だから、スマホで漫画を読んだり、ユーチューブ見たり……で時間を潰す。

罰ゲームで恋人ごっこも疲れてきたけど、話しかける相手がいないのは寂しい。
もとっからのシャイな気質が恨めしい。
もっと話しかけて友達増やしとくんだった。

そして、同室の天音くんも、実は残る組。



「ねえ、天音くんは実家に帰るの?」

「いや。俺は勉強する」

「へぇ~熱心だね~」

「ああ、そうもしないと兄に追い付けないからな。兄も家に帰らないらしいし」


「お兄さん??」


「ああ、この学校の生徒会長だよ。」

「へえ!すごいじゃん。一緒の学校なんだね!」


「まあな。そのせいで俺は兄貴と比べられてばっかりだが……それより、お前は帰らないのか。俺と違って勉強に集中とかじゃないみたいだが。」

あはは……俺はそんなに勉強は好きじゃないからな……


「帰らないかな~。帰っても迷惑かけちゃうだけだし」

「そうか。」

ここで会話は途切れてしまった。

多分天音くんは気づいたのだろう。

お互い、これ以上家庭内の事情に踏み込まないように口を結ぶ。



会話が途切れたことにより、気まずい雰囲気ができてしまった。
天音くんはペンをカシャカシャ動かしているが、俺は暇だ。


「おれ、ちょっと散歩いってくるわ~」

「おう」




部屋の外でなにかすることにした。

寮の共同スペースで、テレビか映画でも見ようか……さて、どうしよう。



廊下には誰もいない。

学校の探険でも行こうか。学校の外でカラオケでもするか……玄関と共同スペースを歩いていると、



「すまない。君、今時間あるかい」

金髪の王子様キャラに声をかけられる。寮長だ。爽やかな顔がまぶしい。

「いえ、なにも予定はありませんけど」


「良かった。頼み事を頼まれてくれないか。この書類を明海のところに届けてほしいんだ。」


「明海さん??副寮長ですか??」


「そうだよ。きっと第三理科実験棟にいるからね。そうだ、ついでに、共同冷蔵庫に入ってる飲み物とパンも一緒に持っていくといいよ」

「はい。わかりました」


寮長に使いっぱしりを頼まれてしまった。

別に俺は暇してたし、学校に行く理由ができていいんだけど。


共同冷蔵庫を開くと、ビニール袋に、神無月明海とかかれた付箋が貼ってあった。そのなかに、パンが3つと、500mlのお茶が3本と、カロリーメイトや栄養ドリンクが入ってる。
持つと、以外と重い。

「これか~これ、明海先輩全部食べるのか?」





ーーーーーーーー


理科室を目指し、俺は歩く。学校の中も静かだ。


たまに先生に会うが、俺らと同じようにこの学校で暮らしている先生だと思う。





「第三理科実験棟って、こんな日陰みたいな所にあるのか……」

ちなみに桜河唯利はまだ学校の敷地にどこに何があるか詳しくない。新入生で不慣れということもあるが、私立だから敷地も広く、増築した建物が多くて一種の迷路になっているというのも理由のひとつだ。




この学校は木が多い
ザクザク、落ち葉を踏みながら、第三理科実験棟へ向かう


わりかし小さめな建物だ。二階建てで、こじんまりしてる。


おそらく、理科科目で使うであろうトマトやなすが花壇に植えてあるが、外見だけを見れば、ただの一般家庭が家庭菜園をしてるように見えなくもない。

この建物は、木製ではないだろうが、別荘とでもいうような雰囲気だ。


ドアがをぎぃっと音をさせて中へ入ると、

「うわっ。」

何かが顔にあたる。

「なにこれ……モビール?」

様々な大きさの、形の、色の、蝶々のモビールがたくさん下がっている



その上には雀や鷹や、梟も飛んでる様子から、おそらく、生息地にあわせて、高さをかえて飾っているのだろう。


その他にも、廊下のあちこちに綺麗な植木鉢がおいてあったり、化学の模型がおいてあったり、宇宙の天体図が天井に貼ってあったり、見るのに飽きなかった。


歩き進んでいくうちに、化学室、生物準備室、地学室……と色々部屋があることがわかった。







「これ、全部見なきゃダメかな。第三理科実験棟のどこっていってなかったしな……」

けれど、それも桜河唯利にとっては苦ではなかった。

目の前に広がる景色があまりにも興味深かったからだ。

どこか、異次元の、奇妙な世界に迷い混んだような感覚。嫌いではなかった。


「この椅子、本当に雲に座ってるみたいwすごいデザインだな~」




それも、


ゴンっ
バサバサ……



という物音で、現実に浮上した。


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