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家族旅行
ある日のないしょ話
しおりを挟む夜中。
「嘘だ!」
「しっ…………ゆいりが起きてしまう」
この言葉と共に起きて。
不意に起きて。
明かりと、
ひそひそ声が聞こえた。
そして、すすり泣く声も。
なんとなく、足音を立てないように、ゆっくりドアに近付いて、聞き耳を立てる
「そんな…………ゆいり………なん………………」
「…………とに、……………なら…………」
単語程度しか聞き取れないけど、
俺の名前が聞こえたら、聞き捨てにならない(あれ、この言葉ってこういう時につかうもんだったけ??)
「…………いつ……伝えるの…………」
「……は、………………って」
「…………本人が……………………」
「じゃあ、私達は……………………」
「…………のない…人生に……………………」
たぶん、
俺に関する事なんだと思うんだけど、
うまく聞き取れない。
けれども、
「これが最後の家族旅行になるかも知れないな…………」
という声だけはしっかりと聞き取れた。
最後の家族旅行……
どういう意味なんだろう……
俺とは縁を切ってってことかな。
やっぱり、
成人したら、俺は、おじさんたちの手をわずらわせないように……した方がいいんだよね。
今までいっぱいお世話になったし、これ以上は迷惑をかけられない。
もしかしたら、俺が行ってる学園の授業料が負担なのかも……俺、バイト始めようかな?
考え込んでたら、いつの間にか
静かになって、皆が立ち上がる雰囲気があった
から、
急いでベッドに戻って狸寝入りする。
たぶん、
俺が聞いちゃいけない話なんだと思うから。
叔父さん達家族だけの話。
きっと、
俺がいても邪魔だから…………
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