それは演技なの?〜俳優デビューをかけて、擬似カップルになりました。7日間イチャイチャ配信で天下をとります!?〜

御堂どーな

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Day2 - 水戸くんは、恥ずかしくないの?

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[水戸くん!『りくだいすき』って言って!!]

「理空、大好き」
「ぁぅ」

[りくちゃん『ぼくもすき』はい!!!]

「僕も好き……」

 演技だよね? これはただ、セリフのリクエストに応えてるだけだよね?
 そう言い聞かせないとおかしくなってしまいそうなほど、水戸くんが甘い言葉を次々言ってくるし、自分も柄にもないことをいっぱい言ってしまっている。

「水戸くんは、いい匂いがするから、キス、したくなる」
「して? 理空から」
「……は!? いやっ、そんなことセリフに書いてないよ!?」
「書いてあるわけないでしょ、俺がいま思っただけなんだから。はい」

 水戸くんは目をつぶり、何でもないような態度で、ひょこっとかがんだ。
 僕は死にそうになりながら、ちょっとだけ頬に口づける。

[いやーーーー!!! なんでほっぺにチュウなの!?!? 口にして!!]
[こどもかw]
 
「あはは。理空、苦情きてるよ」
「えっ、じゃ、じゃあ、口にする……?」
「はい」

 僕は目をつぶり、水戸くんの綺麗な頬に手を添えて、やわらかい唇にキスをした。
 ジャラジャラとポイントが入る音がしていて、なんとなく、それが止むまではしていようと思った。
 ……が、止まらない。

「ぷぁっ」

 たまらず口を離すと、ゆでだこみたいになった自分の顔が、壁に映っていた。

[かわいーwww]
[待って、トイレの個室内で尊死しそうなんだけど。仕事戻りたくない]

 この交流、いつまで続くんだろ……?
 俳優を目指すなら、こういうファンサービスにも慣れていかないといけないんだろうけど。

 すると水戸くんが、急にむぎゅっと抱きついてきて、そのままベッドに倒れ込んだ。
 訳もわからず目を白黒させている間に、水戸くんは体を起こし、画面に向かってひらひらと手を振る。

「みなさん、発声練習にお付き合いいただいてありがとうございました。ちょっと理空とイチャイチャします。では」

 壁面ディスプレイが切れる。
 タブレット上に、また来るよとか、温かい言葉が流れているのが見える。
 水戸くんはそれもぷちっと消すと、僕の両手首を掴んで固定した。

「ちょ、ちょっと、水戸くんっ。これ、こっちの画面切っただけで、他の人には見えてるんでしょ?」
「そうだよ。そういう趣旨のイベントだもん」
「いや、そんないきなり、んぅ……っ」

 顔やら首やらにキスされて、思わず暴れてしまう。
 ……が、ちょっと冷静になると、暴れている場合ではないことに気づけた。
 これは、水戸くんにとっては、ストイックな練習のひとつなのだ。
 彼の役者としての表現の幅を広げるためには、キスくらい、堂々としなければ。

「み、みとくん」
「ん? なあに?」
「あの……も、もうちょっと大人っぽいのとか、しても大丈夫?」

 水戸くんが、じわじわと目を見開く。
 ややあって、はーっと長いため息をつきながら言った。

「……分かるの? 大人っぽいの」
「う、分かんないけど」

 もう一度ため息。
 呆れられた……?
 困ってもじもじしていると、急に、唇をぺろっと舐められた。

「舌、この中に入れるんだよ。分かる?」
「わかる……」
「ちょっと口開けて」

 言われたとおりに半開きにすると、あったかい舌が入ってきた。
 ちゅくちゅくと音を立てられて、思わず息が漏れる。

「は、はぁっ」
「りく、かわいい」
「んぅ」

 泣きそう。死んじゃう。ドキドキして。
 でも、水戸くんの未来のために、僕も頑張らないと。

「ん。上手」
「ふぁ……。ね、ちゃんとできてる?」
「できてるよ。可愛い、一生懸命で」

 すき、と聞こえた気がする。
 けど、僕はそれを聞き返すこともできず、溺れるように不器用に息継ぎをしながら、キスを繰り返していた。
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