龍牙伝説1〜始まりの戦い〜

DAICHI

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悪魔・牙王

魔人

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ここは、牙王の家。
両親は病気で亡くなり一人暮らしをしている。

牙王は台所で本を片手に作業していた。
「カラスの死がい、ヤモリのひもの・・・よし、全部あるな。」
牙王は具材を全てナベの中に入れ、煮込み、皿に載せ、それを持って二階に上がり、暗い小部屋に入っていった。
小部屋の奥にはロウソクが二本立っていて、その間の壁に直径三十五センチ程の丸い鏡があった。淵に古代の物らしい模様がある。
牙王は鏡の前に皿を置くと深呼吸を一回。
(さあ、やるぞ。)
牙王は鏡の前で手を広げ、目を瞑り、何かを唱え始めた。
五分ほど唱え続け、最後に目を開け、叫んだ。
「我らが崇拝せし悪魔フィーンドよ、我に力を与えたまえ。」
しかし、何の反応も起きない。
(くそ!あきらめるものか!)
牙王は再び叫んだ。
「我に力を!」(やつらに死を!)
すると部屋の闇がさらに濃くなり始めた。
‘ガタ’鏡がゆれた。
‘ガタガタガタ’鏡がゆれ、中央に穴が開いた。暗くて中がどうなっているかわわからない。
牙王が驚いていると、穴の中からなんと声がきこえた。
「我は、悪魔フィーンドなり。誰だ?我を呼んだのは。」ゆっくりと威厳のある声だ。
牙王は、信じられない気持ちだった。
「私です。牙王です。」牙王は鏡の前に跪き答えた。
少し間があってフィーンドが、言った。
「我の力がほしいか?」優しく誘うような声だ。
牙王は信じられない気持ちだった。ついに夢が叶うのだ。
「はい。あなたの力が欲しい。復讐のため、私がこの世界の覇者となるため」
その顔には笑みが浮かんでいた。
「・・よろしい。」フィーンドは静かに言った。
と同時に穴の中から無数の黒い火の玉が現れた。
火の玉は牙王に近づいていく。
(ついに、やつらに・・・)一つが牙王の体に吸い込まれていった。



次の日、龍牙、小十郎、グルフは校内に入ると同時に叫び声を聞いた。
「キャー!!」‘ドサッ’
龍牙はすぐ声の聞こえた職員室に入った。すると・・・。
そこは、血の海と化していた。
部屋中が血まみれになり、職員は一人残らず殺されていた。
龍牙のあとに入ってきた小十郎の息をのむ音と、グルフのうなり声が、後ろから聞こえる。
「いったい誰が・・!!」龍牙は部屋の奥に座る男に気がついた。
「お前がやったのか・・?いったいお前は・・?」男は顔をこちらに向けた。
牙王だった。
しかし目が赤く染まり細くしっかりした体をしている。気弱さを感じさせない姿だった。
「やあ!龍牙。」声もはきはきしている。
「なぜ、こんなことを・・・?」龍牙は片手に銃を持っている。
小十郎も隠していた刀を抜いている。
「なぜこんなことしたかだって!」牙王は大声で言った。
「これは、俺をいじめた者への復讐だ!今、俺の夢が!自由への夢が!叶うときが来たのだ!」
これが、本当に昨日いじめられていた牙王なのだろうか?龍牙は信じられなかった。
牙王は足元に倒れている教員を見ている。
「俺がいじめられていても、こいつらは何もしなかった。ふっ。言い様だ。」牙王は楽しそうな表情をしている。
「お前は、、なぜ、なにがあった?なぜそんな姿に?」龍牙は困惑を隠せなかった。
牙王は、微笑みながらこっちを見ている。
「俺の一族は代々黒魔術に精通していてね。かつては悪魔を呼び出して力を得ていたんだよ。」
牙王は胸元から一冊の本を取り出した。
「これが魔術書だ。これを扱い悪魔を呼び出し操るものは究極の魔術師と呼ばれている。俺は親父の代で廃れてしまった黒魔術を復活させるためにこの本の研究を続けた。」
牙王は本をしまうと自分の胸元に手を置いた。
「そして遂に悪魔を呼び出し、力を得る事に成功したんだ。」
牙王が人さし指を机に向け、指を持ち上げると机が浮き上がった。
「これが俺の力だ。俺はこの力によってどんな人間も、はるかに超越した存在になったのだ。」
龍牙は信じられない気持ちだった。
牙王は、嬉しそうな笑みを浮かべている。
「こんな気持ちいい日はない。いじめてきた奴らを皆殺しに・・・ではないな。お前達が残っているからな。」
牙王は龍牙達に向かってゆっくり歩いてきた。
龍牙は武器を構えた。
「なぜだ!俺はお前も誰もいじめていない。」
「黙れ!もはやこの学内いる全ての人間が俺にとっての敵なのだ!俺のことを知るものは1人として生かしはしない!」
「そんなことが人を殺す理由になるかのか!」龍牙が叫んだ。
「こいつ、もうダメだ!」グルフが牙王に飛びかかろうと構えた。
牙王は、手の平を龍牙に向けた。
「くらえ!」
牙王が、叫ぶと同時に、手の平から一筋の光が打ち出された。
龍牙は、光線をかわすと、銃を牙王に向けた。
光線は机を貫き、床に穴を開けた。
小十郎は剣を振り上げて向かっていった。
しかし、龍牙が引き金を引こうとしたその時、牙王が指を振り上げると、龍牙の体が動かなくなった。
引き金を引こうとしても引けない。
小十郎、グルフも同じようになっていた。
「オイ、何をした。」龍牙は、牙王を睨みながら言った。
「・・・フン!その状態で良くそんな偉そうな口が利けるな。・・・フン!・・まあ、その根性は気に入った。一つ俺とゲームをしないか?」
「ゲームだと?」
「そうさ、ここから北へ二百キロ先に森がある。そこで俺の部下達が待っている。そいつらを倒し最後まで来れた者が俺と戦うことが出来る。いわゆる殺し合いサバイバルゲームさ。どうだい?」
牙王はニヤニヤしてる。
龍牙は少し考えてから答えた。
「いいだろう、やってやる。」牙王は満足そうに笑うと言った。
「三日後の午前七時三十分だ。待っているぞ。」
「わかった。」
龍牙が、返事をすると牙王は満足そうにうなずき窓の方に歩いていった。
そして、窓の近くに来ると思い出したようにいった。
「そうだ、お前、、小十郎だったか。」
牙王は振り向き小十郎を指さした。
「俺個人的にお前と因縁はないが、楽しみがあるのでな。必ず来いよ。」
牙王は、そう言うと窓から外に出て浮かんだかと思うと猛スピードで北の方に飛んでいった。
牙王が見えなくなくなると、龍牙達の体が自由になった。
「くそ!なんてこった!逃がしちまうなんて!」
小十郎が悔しそうに言った。
「いや、逃してはいない」グルフが言った。
「ああ、逃していない」
龍牙は北を見ながら言った。
「ゲームで、必ず倒すさ。」
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