自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
342 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第468話 王都へ 雫ちゃん探し 突然の再会

 クリスマス会と兄達の結婚式が終了した後で、ジョンさんから石化の治療代を渡された。
 待たせてしまい悪かったと言われたけど、私は気にしていないというように首を横に振り有難く頂く事にする。

 これは後で、旭に半分渡しておこう。
 ホームの自宅に帰ると結婚したばかりの2人に気を使い、「これから飲みに行ったら?」と提案する。

 すると旭が頬を赤く染め、少し躊躇ためらいがちに口を開いた。

「沙良ちゃん、今夜は……その一緒に……」

 あぁ、私が子供を産んであげると言ったので子作りしようと言いたいのね。
 それも新婚初夜に……。

 兄達にとっては今更な事なのかも知れないけど、流石さすがに初夜を台無しにする程野暮やぼじゃない。

 それに排卵日以外にする必要もないしね。
 少ない回数で出来た方がお互い気まずい思いをしないだろう。
 兄だって、いくら子供のためとはいえ心中は複雑じゃないかな……。

 更に言えば、私はLv上げを優先したいので今すぐ出産する事は無理だった。
 妊娠したら、ルイスさんのようにダンジョン攻略を中止しないといけなくなる。
 少なくとも1年以上は、冒険者として活動する事が出来ない。

 兄は自宅のマンションを手に入れた事で、もうLv上げに積極的じゃないかも知れないけど……。
 アシュカナ帝国への対策には、どうしても移動距離が必要なのだ。

「ええっと……、早く子供が欲しいのは知ってるし産むのも問題ないんだけど、もう少し待ってくれる? それに予定日以外にする必要はないと思うよ」

「そっ、それって……いつまで待てばいいのかな?」

「う~ん、2・3年くらい? 大丈夫! 私達まだ若いから、3年後でも23歳だしね!」

「3年っ!?」

 私の言葉を聞いて、旭がショックを受けてしまったみたいで固まっている。

 実年齢が57歳の旭は、兄と子供を持つ事はあきらめていたんだろう。
 余程、子供が欲しかったらしい。

 私達は若返ったので心配しなくても良いと思う。

「じゃあ、私は部屋に戻るよ」

 その後、2人は飲みに出かけたみたいだ。
 私は夕飯を適当に済ませて、早々に眠りに就いた。

 翌日月曜日。
 今日からしばらくダンジョン攻略は中止する。
 色々予定があるので、1ヶ月くらい冒険者活動はお休みだ。 

 まずは、王都にいる雫ちゃん探しから始めよう。
 両親の召喚は、その後にする心算つもりでいる。

 日本で生活している両親より、異世界に転生し独りで頑張っている雫ちゃんを優先してあげたい。

 朝食を済ませて、兄の指示する方向に迷宮都市から馬車で2週間の王都へとマッピングで移動開始。  
 カマラさんからもらった地図は、本当に役立っている。
 
 2時間後、王都に到着する事が出来た。
 真っ先に冒険者ギルドへ直行し、パーティー募集の依頼をお願いする。

 雫ちゃんが、現在ダンジョンの何階を攻略しているか分からない。
 もしかしたら地上に帰還している可能性もあるため、これからどう探そうか悩んでしまう。

 相手の姿や年齢が分からないと人探しは困難を極める。
 兄や旭からも、良い案が出てこなかった。

 雫ちゃんが、2人の姿に気付いてくれれば一番早いんだけどなぁ。
 それに王都には会いたくないサリナもいるから、余り長居したくないのだ。

 取りえず、初めてきた王都なので何があるか道を覚えるために歩いてみようという事になった。

 すれ違う人を見る限り、迷宮都市と比べて人が多い感じがする。
 ここのダンジョンは、地下何階まであるんだろう?
 
 物価を調べるために露店をのぞいていると、後ろから声を掛けられた。

「貴方達、王都は初めて? よければ案内するよ?」

 声を掛けてきたのは、まだ小さな男の子だった。
 右手を出しているので、案内料を請求しているんだろう。

「ごめんなさい。私達、人を探しているから案内は必要ないの」

「そうなんだ、じゃあ宿はもう決まってる?」

「ええ、大丈夫よ。ありがとう」

「なんだ、残念」

 そう言って、男の子は去っていく。

 きっと、お小遣い稼ぎに紹介手数料をもらっているんだろう。
 その後も何人かに声を掛けられた。
 王都では、子供達が店の宣伝代わりをしているようだ。

 不思議と路上生活をしている子供も大人も見かけない。
 ここは王領だから、国の福祉が行き届いているのかな?

 2時間くらい王都を歩いてみたけど、そう簡単に見付かる訳もなく成果はなし。
 一度、お昼を食べに家に戻ろうと人気のない場所を探す。

 路地裏に入ろうとした所で、一番会いたくない人物を見付けてしまった。
 どうやら相手に姿を見られてしまったようで、こちらに向かい駆け出してくる。

 そのまま移転する事も出来ず、私は身構えてしまう。
 あれから8年が過ぎているから、私の事は覚えていないはず

 ここで公爵令嬢であるリーシャの存在がバレると、非常に厄介やっかいな問題が起きる。
 見知らぬ他人のフリをした方がいい。

 そうこうしている間に、サリナともう1人の女の子が旭に勢いよく抱き着いた!

尚人なおと!」

尚人兄なおとにい!」 
   
 えっ!?
 今、何って言った?

 突然見知らぬ少女2人に抱き着かれた旭は、驚いて手をバタバタさせている。
 私は、悪い予感が当たった事を知り唖然あぜんとなった。

 まさかのサリナが雫ちゃん?
 そして旭の名前を知っている、もう1人の少女は誰なの!?

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい

歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、 裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会 ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った 全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。 辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

『教育係など誰でもできる』と私を捨てた婚約者だけが、誰にも教わらなかった

歩人
ファンタジー
頭上に才能値が見える加護を持つ伯爵令嬢セシリアは、貴族子弟の家庭教師として十年を捧げた。 「教育係など誰でもできる」——婚約者の侯爵嫡男に捨てられた翌年、異変が起きる。 宰相の息子が「セシリア先生のおかげです」と宣言し、騎士団長の娘が「戦術は先生から」と語り、 第三王子が即位演説で頭を下げた。王国の未来を作った女性が名もなき家庭教師として捨てられていたと 知ったとき——教えを拒んだたった一人の男だけが、取り残された。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!

山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。 「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」 周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。 アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。 ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。 その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。 そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。