自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
348 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第474話 迷宮都市 2人の引っ越し

 2人はお風呂を堪能したみたいで、満足そうな表情をしている。
 異世界にはない、香りの良いボディーソープやシャンプー等が使用出来て嬉しかったんだろう。

 かなり長く入っていたからね。
 完成したオムライスが冷めてしまいそうだったので、アイテムBOXに収納しましたよ!

 2人が戻ってきた所で昼食を取る事にした。
 お互いの事情説明後、お風呂待ちをしていた所為せいで、かなり遅い時間になってしまったけど……。

「いただきます!」

 オムライスセットを前に、待ちきれない様子の雫ちゃんが真っ先に口を付けて声を出す。

「美味しい~! もうこの世界の何が苦痛かって、食事内容がひど過ぎる事だよ! 毎日代わり映えしないメニューばかりで本当に辛かった……。沙良お姉ちゃんの料理は最高だね!」
 
 そう言うと満面の笑みを浮かべて、ハンバーグを切り分けている。
 調味料が塩のみだと、私でも料理メニューの幅が少なくなるだろうなぁ。

「沙良ちゃん、相変わらず料理が上手ね。もううちに、いつでもお嫁にきていいわよ~」

 いえもう貴方の息子さんは結婚済みなので嫁げませんとは言えず、私は曖昧あいまい微笑ほほえんでおいた。

 私が雫ちゃんと結婚する訳にはいかないし……。
 そうなるとまた子供の問題が起きて、雫ちゃんに兄との子供を産んでもらう事になってしまう。

 それなら素直に兄と雫ちゃん、旭と私が結婚した方が余程いい気がする。
 子供が混乱しそうだよ。
 
 そう上手くはいかないのが人生だ。
 
 兄達の結婚報告は二度手間になるので、両親を召喚した後でする心算つもりにしている。
 両家がそろった状態の方がいいだろう。

 出来れば旭の父親も一緒だと良かったんだけど……。
 雫ちゃんと母親がこの世界にいるなら、もしかしたら父親の方も転生か転移してないかな?

「あの……。おじさんは日本で元気にしているんでしょうか?」
 
 亡くなったか直接聞くのははばかられたため、遠回しな表現で尋ねてみた。

「うちの人は、ピンピンしてたから日本にいると思うわよ~。独りにさせちゃって申し訳ないわ。あっ! 沙良ちゃんの召喚能力で呼び出せたりするのかしら?」
 
「召喚する事は可能ですけど、現在私のLvでは2人までしか無理なんです。次は両親を召喚する予定なので……」

「まぁ、そうよね~。Lv10毎に1人しか呼び出せないんじゃ、家族を優先した方がいいわ。夫には悪いけど、日本で人生を全うしてもらう事にしましょう」

 異世界で8年間を過ごした所為せいか、旭の母親に未練は感じられなかった。
 雫ちゃんの方を見ると、少し寂しそうにしている。

 日本で亡くなったのは18歳。
 現在私と同じ19歳だとしても実際記憶が戻ったのが12歳の時なら、生きてきた年数は25年だ。
 
 しかも12歳からのやり直し人生なので、まだ親が恋しいだろう。
 両親を召喚した後で、旭の父親を召喚してあげたいなぁ。

 それにはLvが40必要になる。
 既にLvは45に上がっているけど、兄には内緒なので直ぐに召喚するのは無理なんだよね。

 旭の母親や雫ちゃんのために、いつか召喚してあげようと思った。
 Lv上げを頑張る理由が増えたから、摩天楼まてんろうのダンジョン攻略も視野に入れておかないと。

 気になっていた、今後について話をする。

「これからどうします? 私達は3人で迷宮都市のダンジョン攻略をしているんですけど、折角せっかく再会出来たので一緒にパーティーを組みませんか? 部屋は沢山あるから、ホーム内で生活する事も出来ますよ?」

勿論もちろん、一緒にパーティーを組むわ! 日本と同じ生活が出来るなんて夢みたい」

「じゃあ、食事が済んだら引っ越しですね。一度、王都で宿泊している宿に荷物を取りに行きましょうか」

「まぁ、いいの? ありがとう! 尚人に会えて本当に良かったわ~」

「それ、俺じゃなくて沙良ちゃんに会えてでしょ?」

「あら? 同じパーティーなんだから一緒の事よ?」 

 旭は母親の言葉に納得いかない顔をしていたけど、口では勝てないと思ったのかそれ以上言葉を重ねたりしなかった。
 
 方針が決まったのなら、善は急げとばかりに皆が無言で食事に集中する。
 その後、再び王都へ移転し彼女達が宿泊している宿から荷物を回収した。

 ちなみに2人が宿泊していた所は、1泊銀貨5枚(5万円)。
 1ケ月を30日で換算すると、家賃が150万円とかなり高額だった。
 2人は、それなりに稼いでいたみたい。 

 旭の母親はアイテムBOXの能力を持っているので、効率的に換金していたんだろう。
 光魔法で怪我をしたら治療出来るし、ライトボールで遠距離から攻撃出来るなら、2人パーティーでも冒険者として優秀だったはず

 雫ちゃんは魔法学校に通っていないので、魔法は使用出来ないのかな?
 一緒にパーティーを組むなら、後でステータスも聞いておいた方が良いか……。

 兄のマンションに戻り、旭の部屋だった場所へ2人で住む事に決定する。
 本当は住み慣れた自宅の方がいいとは思う。

 でもホームに設定出来るのはLv10毎に1ケ所なため、マンションで我慢してもらう事にした。
 それでも異世界の宿屋より、はるかに良い生活環境だろう。

 ここなら、家賃・水道光熱費は無料だしTVも見る事が出来る。
 ホーム内で買い物する事も、飲食店で外食する事も可能だ。

 しばらく冒険者活動は休む予定でいるので、ホーム内でリフレッシュしてほしい。

 あっ、日本円!
 2人は持っていないから、ある程度のお金を先に渡しておこう。

 部屋に必要な物を設置していると、旭が自分の家だった部屋をながめながら恨めし気に呟いた。

「聞きたいんだけど……。俺の遺産は、どうなったのかな?」
 
「貴方は独身だったから、私とお父さんで分けたわよ? マンションは自宅があるから必要ないし、売却したわね。車はお父さんが乗ってたわ。預金が意外に多くてビックリしたのよ? 尚人はお金持ちだったのね~」
 
 そうあっけらかんと言われた旭は、ショックで声も出ないようだ。

「俺、マンション買って半年も住んでないのに! 何で売っちゃったの!?」

「そんな事言われても、誰も住まないのにそのままにしておく訳にはいかないじゃない」

「じゃあ、家にあった物は?」

「家具や電化製品は、全部処分しました。もしかして、尚人が収集してたお宝・・が気になるの? それ、雫と沙良ちゃんの前で言ってもいいのかしら?」

「いや、それは……内緒にして下さい」

 おや?
 旭は一体、何を集めていたのかしら?

 私と雫ちゃんの前で言えない品なら……、って答え言っちゃってますよ!

 案の定、旭は顔を真っ赤にしうつむいてしまった。
 遺品整理をする時に、家族に見られたくない物もあるわよね~。
 
 まぁ、もう結婚した2人にはきっと不要な物だろう……多分。
 女性と違いアノ日もないし、でもYes・No枕は必要かな?

 大体必要な物を部屋に設置すると、結構な時間が過ぎていた。
 夕食は旭の母親からお寿司を食べたいと希望されたので、兄達行きつけのお寿司屋さんへ外食にいく事に……。

 これには2人が大喜びして、1人だけズルいと旭が責められている。
 いやいや、その旭だって11年間ダンジョンマスターをしていたから、ホーム内で生活出来たのはここ数年の事ですよ?

 しかも独りきりで、ダンジョンから出る事も不可能だったんだけど……。
 言われた旭は、2人にダンジョンマスター生活を語っていた。

 日本酒を飲み饒舌じょうぜつになっている所為せいか、いらない事まで話している。
 話の途中で、兄があわてて口を塞いだ。

 話を聞いた雫ちゃんが、「尚人兄、独りで大変だったんだね! 可哀想かわいそう……」と言って旭を慰めてあげている。

 そうか……、不能になっちゃったんだね。
 男性には、かなりショックな出来事だろうなぁ。

 お寿司に刺身、天麩羅に茶碗蒸しと和食を楽しんだ後、マンションに戻ってくる。
 今夜は3人一緒に同じ部屋で眠るそうだ。

 家族水入らずの時間を、ゆっくり過ごして下さい。
 お互い積もる話もあるだろう。

 旭が雫ちゃんとお母さんに会えて本当に良かった。
 出来れば、結婚も祝福してもらえるといいね。

 そう思いながら、私も眠りに就いた。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇