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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第630話 迷宮都市 樹おじさんの召喚 6 武術稽古 祖父とガーグ老への紹介
2人がドライブに出掛けて2時間後。
夕食の準備をしていると、兄から念話の魔道具に連絡が入る。
『お兄ちゃん、どうしたの?』
『沙良、悪いんだが迎えにきてくれないか? 旭が確認しないから、車がガス欠になった』
『……分かった。今はどの辺?』
『病院近くの交差点だ』
『了解! 直ぐにいくよ』
相変わらず旭は残念だなぁ~。
8年振りの愛車を運転してガス欠させるとは……。
病院付近をマッピングで調べると、停止した車が見付かった。
移動して車の窓を叩く。
「沙良ちゃん、ごめんね~。序にガソリンスタンドまで移動してくれる?」
車から降りてきた旭に両手を合わせお願いされ、そのまま近くのガソリンスタンドへ送ってあげた。
給油した後は、家に戻ると言うので一緒に帰る。
私は夕食の続きを作りながら、今日の出来事を思い出していた。
樹おじさんの態度が、どうにも引っかかる。
槍の腕前も、魔物に対して動じない様子も、何より女性化して私の代わりに結婚式を挙げるというのはどうかと思う。
いくら親友の娘だとはいえ、親身になりすぎじゃないかしら?
父がそれに対して同意したのもおかしいし……。
何だか色々と気になるなぁ。
夕食のしゃぶしゃぶを食べながら、旭に尋ねてみた。
「ねぇ、樹おじさん変じゃなかった?」
「あ~槍が使えたなんて知らなかったよ! 俺も驚いたもん。魔物も平気みたいで、沢山倒してたよね~」
「お父さんもそうだけど、初めて見る魔物が怖くないのかな?」
「あの2人は、肝が据わっているのかもな。子供の頃、急に体を鍛えだしただろう? 確か双子達が生まれる前だったと思うが……。不思議に思い聞いたら、家族を守るためだと言っていた」
「うちの父さんは、女顔で舐められないようにって鍛えてたよ」
「そうなんだ……。でも、私の代わりに結婚式を挙げるのは無謀だと思う」
「いくら女性化しても、顔は変わらないだろう。まぁ、樹おじさんは似合いそうだがな」
「俺は見たくない! それに、子供の事も反対されちゃうし……」
旭は兄との子供が欲しかったから、ショックを受けたんだろう。
私も、どうして2人が口を揃え反対するのか分からない。
「何か考えがあるんだろう。結婚式は襲撃が予想されるから、沙良の身代わりになってもらうのは良い案だ。ベールを被れば顔も分からないし、誓いのキスはしないんだろう?」
この世界の挙式は披露宴だけなので、指輪の交換も誓いのキスも不要だ。
「花嫁がずっと顔を隠したままって訳には、いかないんじゃないかな? 最初の入場時は、それでもいいと思うけど……」
「まぁ、当日になったら考えよう」
兄はそう言って話を終わらせた。
翌日、日曜日。
父と奏伯父さんを迎えにいき、その後旭家へ向かう。
昨日いなかった従魔のフォレストラビット2匹が待機していた。
従魔達は放し飼いにしているのかな?
樹おじさんは、「これに乗るのか?」と絶句している。
普通は可愛いからという理由で、飛び跳ねるウサギを騎獣にしたりしないだろう。
源五郎の後ろに乗ったおじさんが、振り落とされないか心配していた。
メンバーが揃った所で、異世界の家の庭へ移転。
毎週日曜日は、子供達に炊き出しをしている事を伝え待ってもらった。
朝8時、大勢の子供達が集まってくる。
また増えた従魔に目をキラキラさせ、山吹を撫でていた。
兄達が従魔の背に乗せ遊ばせてくれている。
騎獣が増えたので、順番待ちも短くて済むだろう。
具沢山スープとパンを配り、食後にバナナとショートブレッドを渡し子供達を見送る。
祖父を迎えにいく前に、奏伯父さんから奥さんの父親だと聞かされ樹おじさんが驚いていた。
「じゃあ、結花は美佐子さんの姪になるって事? なんだかややこしいな。えっと、今から会うのは美佐子さんの父親だから、俺には義祖父か……」
父と親戚になるのは問題ないのか、樹おじさんは奏伯父さんへ緊張気味に挨拶をする。
「結花の夫です。お義父さん、これからよろしくお願いします」
「あぁ、知らない内に娘が結婚済みで夫と子供がいるとはなぁ。前世があると複雑な気分だ……」
それは樹おじさんも同じだろう。
義父が、突然もう1人増えたのだから……。
事情を話した所で王都へ移動し、バールの武器屋へ従魔で向かった。
店の前に到着すると、看板を見て樹おじさんが声を上げる。
「えっ! この店って……」
あぁ、祖父が鍛冶職人だと言ってなかったから驚いたのかな?
「祖父はドワーフに転生したんです。お願いすれば、武器を作ってもらえると思いますよ?」
「ええっと、名前を聞いてもいいかな?」
「シュウゲンです。日本名は木下 雅美です」
「シュウゲン……」
祖父の名前を口にした後、樹おじさんは両手を胸に当て「やべっ」と小さく呟いた。
それを見た父が大きな溜息を吐き、おじさんの頭を叩いている。
2人のよく分からない遣り取りに首を傾げ、時間がないため店の中へ入っていく。
約束していたからシュウゲンさんは、店内で待っていた。
初対面の祖父と樹おじさんをそれぞれ紹介し、ガーグ老の工房前に移転。
2人は何故か、やる気満々だ。
そんなに私の結婚相手が気になるんだろうか?
工房の門を開けると、まるで待っていたかのようにポチとタマが凄い勢いで樹おじさんへ向かってくる。
あわや激突かと思われた瞬間に減速し、2匹は両肩に乗り羽をバサバサさせ頬に顔を摺り寄せていた。
あまりの歓迎振りに見ていた私も驚いてしまう。
私や父の時より、懐き具合が半端ない。
「あ~、元気そう……な白梟だなぁ」
そう言って、樹おじさんはニコニコ笑い両肩に乗った2匹の頭を撫でている。
なんだろう? 私達は従魔に好かれる体質なのかしら?
ガーグ老の従魔に大歓迎を受け、門を一歩入った途端ザッと音がした。
見ると、ガーグ老以下9人の職人さん達が片膝を突き頭を下げている。
これは騎士の礼だよね?
パーティーメンバーがその姿に固まっていると、ガーグ老が顔を上げ樹おじさんの方を見て涙を流す。
「姫様! 再びお会い出来るとは……。どうして生きておられるのか絡繰りが分からぬが、そのお姿と何か関係があるのか……。一同、帰還をお喜び申し上げる!」
ガーグ老の声に続いて職人さん達が立ち上がり、揃って剣を捧げる仕草をした。
統制の取れた動きに見惚れながら、一体何が起こっているのかさっぱり理解出来ない。
父を見ると、困ったような顔で首を横に振っていた。
言われた樹おじさんが驚きすぎて逃げ出そうと回れ右をした瞬間、父ががっちりと手を掴む。
逃げられないと諦めたのか、ゆっくりと振り返ったおじさんは、
「……何か人違いをしているみたいだから、ちょっと話を聞いてくる!」
と言いガーグ老達を引き連れ工房の中に入ってしまった。
今、確かに姫様って言ったよね? カルドサリ王国の王女のヒルダさんだっけ?
祖父はリーシャの姿と勘違いしていたみたいだけど、私と樹おじさんの容姿に共通点は一切ない。
ガーグ老は樹おじさんの何を見て姫様と言ったの? それに、姫様はもう亡くなったのでは……。
頭の中が疑問だらけで茫然となってしまった。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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『沙良、悪いんだが迎えにきてくれないか? 旭が確認しないから、車がガス欠になった』
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『了解! 直ぐにいくよ』
相変わらず旭は残念だなぁ~。
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病院付近をマッピングで調べると、停止した車が見付かった。
移動して車の窓を叩く。
「沙良ちゃん、ごめんね~。序にガソリンスタンドまで移動してくれる?」
車から降りてきた旭に両手を合わせお願いされ、そのまま近くのガソリンスタンドへ送ってあげた。
給油した後は、家に戻ると言うので一緒に帰る。
私は夕食の続きを作りながら、今日の出来事を思い出していた。
樹おじさんの態度が、どうにも引っかかる。
槍の腕前も、魔物に対して動じない様子も、何より女性化して私の代わりに結婚式を挙げるというのはどうかと思う。
いくら親友の娘だとはいえ、親身になりすぎじゃないかしら?
父がそれに対して同意したのもおかしいし……。
何だか色々と気になるなぁ。
夕食のしゃぶしゃぶを食べながら、旭に尋ねてみた。
「ねぇ、樹おじさん変じゃなかった?」
「あ~槍が使えたなんて知らなかったよ! 俺も驚いたもん。魔物も平気みたいで、沢山倒してたよね~」
「お父さんもそうだけど、初めて見る魔物が怖くないのかな?」
「あの2人は、肝が据わっているのかもな。子供の頃、急に体を鍛えだしただろう? 確か双子達が生まれる前だったと思うが……。不思議に思い聞いたら、家族を守るためだと言っていた」
「うちの父さんは、女顔で舐められないようにって鍛えてたよ」
「そうなんだ……。でも、私の代わりに結婚式を挙げるのは無謀だと思う」
「いくら女性化しても、顔は変わらないだろう。まぁ、樹おじさんは似合いそうだがな」
「俺は見たくない! それに、子供の事も反対されちゃうし……」
旭は兄との子供が欲しかったから、ショックを受けたんだろう。
私も、どうして2人が口を揃え反対するのか分からない。
「何か考えがあるんだろう。結婚式は襲撃が予想されるから、沙良の身代わりになってもらうのは良い案だ。ベールを被れば顔も分からないし、誓いのキスはしないんだろう?」
この世界の挙式は披露宴だけなので、指輪の交換も誓いのキスも不要だ。
「花嫁がずっと顔を隠したままって訳には、いかないんじゃないかな? 最初の入場時は、それでもいいと思うけど……」
「まぁ、当日になったら考えよう」
兄はそう言って話を終わらせた。
翌日、日曜日。
父と奏伯父さんを迎えにいき、その後旭家へ向かう。
昨日いなかった従魔のフォレストラビット2匹が待機していた。
従魔達は放し飼いにしているのかな?
樹おじさんは、「これに乗るのか?」と絶句している。
普通は可愛いからという理由で、飛び跳ねるウサギを騎獣にしたりしないだろう。
源五郎の後ろに乗ったおじさんが、振り落とされないか心配していた。
メンバーが揃った所で、異世界の家の庭へ移転。
毎週日曜日は、子供達に炊き出しをしている事を伝え待ってもらった。
朝8時、大勢の子供達が集まってくる。
また増えた従魔に目をキラキラさせ、山吹を撫でていた。
兄達が従魔の背に乗せ遊ばせてくれている。
騎獣が増えたので、順番待ちも短くて済むだろう。
具沢山スープとパンを配り、食後にバナナとショートブレッドを渡し子供達を見送る。
祖父を迎えにいく前に、奏伯父さんから奥さんの父親だと聞かされ樹おじさんが驚いていた。
「じゃあ、結花は美佐子さんの姪になるって事? なんだかややこしいな。えっと、今から会うのは美佐子さんの父親だから、俺には義祖父か……」
父と親戚になるのは問題ないのか、樹おじさんは奏伯父さんへ緊張気味に挨拶をする。
「結花の夫です。お義父さん、これからよろしくお願いします」
「あぁ、知らない内に娘が結婚済みで夫と子供がいるとはなぁ。前世があると複雑な気分だ……」
それは樹おじさんも同じだろう。
義父が、突然もう1人増えたのだから……。
事情を話した所で王都へ移動し、バールの武器屋へ従魔で向かった。
店の前に到着すると、看板を見て樹おじさんが声を上げる。
「えっ! この店って……」
あぁ、祖父が鍛冶職人だと言ってなかったから驚いたのかな?
「祖父はドワーフに転生したんです。お願いすれば、武器を作ってもらえると思いますよ?」
「ええっと、名前を聞いてもいいかな?」
「シュウゲンです。日本名は木下 雅美です」
「シュウゲン……」
祖父の名前を口にした後、樹おじさんは両手を胸に当て「やべっ」と小さく呟いた。
それを見た父が大きな溜息を吐き、おじさんの頭を叩いている。
2人のよく分からない遣り取りに首を傾げ、時間がないため店の中へ入っていく。
約束していたからシュウゲンさんは、店内で待っていた。
初対面の祖父と樹おじさんをそれぞれ紹介し、ガーグ老の工房前に移転。
2人は何故か、やる気満々だ。
そんなに私の結婚相手が気になるんだろうか?
工房の門を開けると、まるで待っていたかのようにポチとタマが凄い勢いで樹おじさんへ向かってくる。
あわや激突かと思われた瞬間に減速し、2匹は両肩に乗り羽をバサバサさせ頬に顔を摺り寄せていた。
あまりの歓迎振りに見ていた私も驚いてしまう。
私や父の時より、懐き具合が半端ない。
「あ~、元気そう……な白梟だなぁ」
そう言って、樹おじさんはニコニコ笑い両肩に乗った2匹の頭を撫でている。
なんだろう? 私達は従魔に好かれる体質なのかしら?
ガーグ老の従魔に大歓迎を受け、門を一歩入った途端ザッと音がした。
見ると、ガーグ老以下9人の職人さん達が片膝を突き頭を下げている。
これは騎士の礼だよね?
パーティーメンバーがその姿に固まっていると、ガーグ老が顔を上げ樹おじさんの方を見て涙を流す。
「姫様! 再びお会い出来るとは……。どうして生きておられるのか絡繰りが分からぬが、そのお姿と何か関係があるのか……。一同、帰還をお喜び申し上げる!」
ガーグ老の声に続いて職人さん達が立ち上がり、揃って剣を捧げる仕草をした。
統制の取れた動きに見惚れながら、一体何が起こっているのかさっぱり理解出来ない。
父を見ると、困ったような顔で首を横に振っていた。
言われた樹おじさんが驚きすぎて逃げ出そうと回れ右をした瞬間、父ががっちりと手を掴む。
逃げられないと諦めたのか、ゆっくりと振り返ったおじさんは、
「……何か人違いをしているみたいだから、ちょっと話を聞いてくる!」
と言いガーグ老達を引き連れ工房の中に入ってしまった。
今、確かに姫様って言ったよね? カルドサリ王国の王女のヒルダさんだっけ?
祖父はリーシャの姿と勘違いしていたみたいだけど、私と樹おじさんの容姿に共通点は一切ない。
ガーグ老は樹おじさんの何を見て姫様と言ったの? それに、姫様はもう亡くなったのでは……。
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