自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
653 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第776話 迷宮都市 ガーグ老達との昼食『ビーフシチュー』&茜の家をホームに設定

 結婚式で現れた妖精さんの人数を考えると、多目に作った方がいい。
 槍のLv上げで倒したミノタウロスの肉を消費するため、メニューは『ビーフシチュー』にした。
 茜には人数分の『ナン』を焼いてもらう。
 お代わり出来るよう、業務用寸動鍋を出し大量の具材を赤ワインで煮込む。
 時々、灰汁あくをすくいながら1時間後。
 ルーを加え、とろみが付くまでかき混ぜれば完成。

 工房内にいる父達に食事の用意が出来た事を伝え、私は木の下へお供えに向かった。
 『ビーフシチュー』を器に入れた後、冷めないよう順番に取って下さいねと声を掛ける。
 すると器が次々消えていく。
 妖精さんの生態は謎だな……。
 50枚の『ナン』を置いて戻ると、三男のキースさんがテーブルと椅子を庭に設置しているところだった。
 配膳を任せ席に着く。
 待っている間に、工房からガーグ老達が出てきた。

「サラ……ちゃん、食事を作ってもらい悪いの」

「お代わりもありますから、沢山食べて下さい。それでは頂きましょう」

「頂きます!」

 父といつきおじさんの表情が思わしくない。
 ガーグ老と相談した内容が解決しなかったんだろうか?
 家具職人のお爺さん達が早々にお代わりをする中、ガーグ老と長男のゼンさんは考え込んでいる様子だった。
 食事を済ませ、木の下へ器を回収にいく。
 お礼が書かれた羊皮紙には人数分の署名? があった。
 妖精さん達の名前かな?

「沙良。少し時間が掛かりそうだから、夕方迎えに来てほしい」

 父にそう言われ、私は茜と工房を後にした。
 魔法陣の件で忘れていた奏屋かなでやへ果物を卸し、一度ホームに戻る。
 通信の魔道具を起動させ、兄と連絡を取った。

『お兄ちゃん、何処どこにいる?』

『病院で旭と勉強中だ』

『お昼は済ませた?』

『あぁ、もう食べた。何かあったか?』

『薬師ギルドに行くのを忘れてたよ』

『……今から戻る』

 父達の騒動があり、兄も忘れていたようだ。
 病院からは10分もあればマンションへ着く。
 その間に、雫ちゃんのお母さんを呼んでこよう。
 幸い、お母さんは家にいた。
 薬師ギルドへ向かうと伝え、兄達と異世界に移転する。

 遅い時間になったけど、薬師ギルドの受付嬢は嫌な顔も見せず応接室へ案内してくれた。
 テーブルの上に準備されたポーションへ、3人が浄化とヒールを掛けていく。
 浄化で淡く光るポーション瓶をながめながら、召喚するあかねの旦那さんの事を考える。
 早崎さんは異世界に驚くだろうな。
 一緒に冒険者をすると言ってくれるだろうか?
 ゼリアさんが部屋にきて、浄化とヒール代を3人へ渡す。
 私もハニー達が採取した薬草を換金してもらい、代金を受け取った。

 薬師ギルドを出てホームに戻ると、茜が住んでいたマンションへ向かう。
 早崎さんを召喚するなら、家をホームに設定する必要がある。
 兄のマンションから、50km離れた場所にあるマンションは10階建て。
 こちらは賃貸で、ごく普通のマンション。
 茜は私達の住んでいる空き部屋に住めばいいと言っていたけど、自宅がなくなったら不便だろう。
 預金も使えるようになるし、お気に入りの物もあるはずだ。

「じゃあ、ホームに設定するね!」

 設定した瞬間、目の前のマンションが劇的に変わる。
 原状回復で外壁が新築の状態になった。
 妹が住んでいた5階の部屋へ入ると、茜は早速さっそく財布を仕舞っていた。
 それから幾つかの日用品に洋服や下着を、アイテムBOXへ入れている。
 うん?

「茜、そんなに家から持ち出してどうするの?」

「私は姉さんと一緒に住むから、必要な物を回収しただけだよ」 

「えっ!? 早崎さんと暮らさないの?」

「家は寝に帰るだけだったし、別にあいつと一緒じゃなきゃいけない理由がない」

 偽装結婚なら2人共、割り切った共同生活をしていたのかなぁ。
 本人達がそれでいいなら、私は別に口出ししないけど……。
 茜の部屋を用意した方がいいか。
 ベッドや家具はどうするか聞くと、アイテムBOXがあるから必要ないらしい。
 ずっと客用布団で寝るのはどうかと思ったけど、張り込みをして車の中で寝るのが多い妹は、横になり眠れるだけましだと笑っていた。
 
 茜の家以外のマンションの部屋から劣化を防ぐため、ある物をアイテムBOXに回収する。
 全部で49部屋分。
 駐車場の車も全てアイテムBOXに入れた。 
 兄のマンションで回収した物も、まだ忙しく調べてない。
 生活に不便を感じないから、詳しく調べるのは当分先だろうな。

 用事を済ませた私達は自宅に戻り、商業ギルドで貰った世界地図と魔法陣の移転先を見比べてみた。
 獣人が住む中央大陸を中心に、ドワーフの国がある北大陸、アシュカナ帝国がある南大陸、カルドサリ王国がある西大陸、まだ行った事のない東大陸がある。
 大きな大陸は5つあり、他に大小様々な島も記載されている。
 国名が書かれていない場所は、商業ギルドも把握していない国かしら?
 交易を行っていない国もありそうだ。
 玄武げんぶがいた北大陸の上にある島はなかったから、地図に追加しておこう。

「132階からは、この南大陸がある国の可能性が高いな」

 茜が地図を見ながら南大陸を指す。
 アシュカナ帝国以外に、30は国名が書かれていた。
 その中でも国名の後に(属国)とあるのは、既に侵略されたと思っていい。
 属国となっている国が20か……。
 帝国は、かなり軍事力があるんだな。
 カルドサリ王国へ戦争を仕掛けるなら、属国になっている国の兵も戦力と考えないと駄目だろう。
 移転先が属国の場合は、帝国人がいるかも知れない。
 国名を把握したら長居は無用だ。

「茜。結婚式に襲撃してきた帝国人は、どの程度の強さか分かる?」

「冒険者でいえば、Lv50くらいじゃないかな?」

「Lv50か……」

 ステータス的には500前後なのか。
 私達ならLv10の値だ。
 
「ケスラーの民は、どうだった?」

「あれは、相当強い種族だな。Lvは150を超えてると思う」

 帝国人の3倍!?
 
「茜が見て一番強い人は誰?」

「多分、セイさんだ。あの人は、ガーグ老より強い」

「えっ、そうなの?」

 私は意外な答えに驚いた。
 一番強いのはガーグ老だと思っていたのに……。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇