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7章魔王軍団VS世界革命軍団
7章10話婚姻届
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アカリはゴブリン魔王を見た瞬間震えながら、驚愕する。
「誰?」
どうやら、元に戻ったことに気づいない様子。
そして、俺が魔王であることを気づいていない。
「アカリ……俺だ」
アカリは震える声で、顔を上げる。
「その声は魔王。でも、その顔は私で……え……よく分からない」
「これなら、分かるか」
魔王はゴブリンの血を右手に圧縮し、元の黒色の皮膚をした、坊主、青眼の本来の姿に戻った。
「魔王……」
そして、アカリは痛みで立ち尽くしていたドラグロワの元から一目散に魔王の懐に飛び込んだ。
「私……私……醜い顔に……ゴブリンに」
魔王はアカリのクリーム色の金髪を触りながら、囁く。
「俺がお前の醜い、悪の物を全て消し去った。汚れ仕事は俺の専売特許のようなものだから」
「ありがとう……あなたになんとお礼を言ったら、何を返せば良いか分からない」
溢れ出る、止まることを知らない涙が少女の頬を何度も伝う。
すると、ドラグロワは悲しみと狂ったように粉々になったリアの細胞を集めるが、風に揺られ彼方へと吹き飛んで行く。
「リア! リア! ワシのリアがぁぁぁぁぁぁ!」
ドラグロワは絶望の両眼で、嗚咽をし、その風に吹かれる黒い粉を見送る。
魔王とアカリは悲しみと憎しみが入り混じった何とも言えない感情で、その光景を目にした。
「ドラグロワよ。そこにリアはもういない。リアは死んだ」
ガッと黄金の両眼を見開き、感情を露わにするドラグロワ。
「死んでおらん! リアは生きてるのじゃ!」
「自分のことしか考えられないのか貴様は。貴様の勝手な悲しみで、リアを意味の無い延命で、生きらせ、このようにリアの生きた証を踏みにじる行為をするのか」
「ワシは……」
「もう、リアを温かく天国へ行かせてやれ」
「しかし……」
「あいつをずっと化け物にする気か?」
ドラグロワは両手を握り締め、涙の絶叫をした。
「あああああああああ」
そして、魔王は冷徹な青眼をしながらゆっくりとドラグロワに近づく。
アカリは魔王の意図した行動に、
「待って!」
その制止しきれていない声は魔王に届くはずもなく、魔王の右手は緑色の弾丸を蓄え、ドラグロワの後頭部に向ける。
リアの死を今更ながら受け止め、悲しみに暮れたドラグロワに反撃の意思は無い。
「貴様がノアの本体だな。この大災害を起こしてるのが貴様ということだ」
「ワシを殺せば、この世界の自然環境は崩壊する。世界は終わる。ワシの意図したことになる」
「そんなことを俺が知らないとでも思ったか?」
右手を下げ、左手を差し出し、そこから黒い線が渦のように回転し、改造スキルを発動させる。
その瞬間、黒い線がドラグロワに巻きつき、身体の中に浸透した。
ドラグロワに様子は変わりは無く、疑問を浮かべるのみ。
「何をした?」
「貴様の所有権をアカリに移した」
急に名前を呼ばれ、びっくりするアカリ。
ドラグロワは怒りの両眼で、魔王を睨む。
「ワシを殺せ! 世界を滅ぼせ! リアのいないこの世界に興味は無いのじゃ」
「敗北者が意見をするな。それに、貴様は俺の代わりにアカリを守ってもらう必要がある」
その言葉に誰よりも先に、疑問を浮かべ、口走ったのはアカリ。
「どういう意味なの?」
「アカリ……俺はもうお前を守れない」
「どうして? 私が嫌いになったの? どこか病気でもあるの?」
「そうじゃない。俺はゴブミと結婚することにした、そして、どこかの異世界で二人で暮らすんだ」
「はい?」
アカリは困惑した様子。
魔王が本気なのか、ふざけているのか分からない。
ただ、魔王の青眼は幸せのようなものを浮かべていた。
すると、魔王の真上から緑色の髪をし、桃色の虹彩をし、エルフのような両耳をした、美しい女が降りてきた。
お淑やかで、清楚な、静かだがよく笑う女だ。
ゴブリンではない、正真正銘の人間。
魔王はその美女に肩を回し、作ったまたは本気かは分からない笑みで、
「婚約者のゴブミだ」
「ゴブミさん……あのゴブリン女王……呪いが……」
「いや、違う。俺はこいつと結婚したいから結婚するんだ。なぁゴブミ?」
二人は微笑ましく笑みを浮かべる。
嫉妬のようなものを抱きながらも、このままではどこか魔王が遠くへ行ってしまうような気がした。
アカリは首を左右に振り、涙を滲ませながら必死で制止する。
「目を覚まして、魔王、いや、クリムト! あなたはゴブミの呪いに掛けられて、おかしくなっているのよ!」
「俺は呪いも掛けられてもいないし、おかしくもない。ただ、俺はこいつの性格に惚れて好きになった。だから、結婚するんだ」
「違う! 違う! 違う!」
魔王は微笑みを浮かべ、ゴブミと共に、向こう側の方へ歩く。
「ここは寒い。さあ、行こうゴブミ」
「はい」
「待って! 待って! 待って! 待って!」
二人を追い掛けるが、追い付かない。
二人の後ろ姿はとても幸せそうだった。
温かい夫婦、カップル。
でも、これは違う。
魔王の隣は私ではなくて、なんであいつ何だと。
私は美しい女神で、あいつは醜いゴブリンのはずだ。
何で魔王は私ではなくて、あいつを選ぶんだ。
嫉妬が渦巻き、醜い心が私を苦しめる。
アカリは全力で追い掛けるも、ふらついて、転んでしまう。
でも、それでも、尚も手を伸ばす、しかし、届きはしない。
悲痛な彼女の訴えが響く、
「置いていかないで!!!! 私を……」
しかし、魔王は一度も振り返ることない。
幸せな夫婦。次第に夫婦と子供になる。
温かい三人のゴブリン親子がそこにあった。
それから、ゴブリンの息子、ゴブリンの娘、ゴブリンの孫と増えていくのだ。
ゴブリンの大家族は楽しそうに笑い声を上げながら、風と共に消えた。
「誰?」
どうやら、元に戻ったことに気づいない様子。
そして、俺が魔王であることを気づいていない。
「アカリ……俺だ」
アカリは震える声で、顔を上げる。
「その声は魔王。でも、その顔は私で……え……よく分からない」
「これなら、分かるか」
魔王はゴブリンの血を右手に圧縮し、元の黒色の皮膚をした、坊主、青眼の本来の姿に戻った。
「魔王……」
そして、アカリは痛みで立ち尽くしていたドラグロワの元から一目散に魔王の懐に飛び込んだ。
「私……私……醜い顔に……ゴブリンに」
魔王はアカリのクリーム色の金髪を触りながら、囁く。
「俺がお前の醜い、悪の物を全て消し去った。汚れ仕事は俺の専売特許のようなものだから」
「ありがとう……あなたになんとお礼を言ったら、何を返せば良いか分からない」
溢れ出る、止まることを知らない涙が少女の頬を何度も伝う。
すると、ドラグロワは悲しみと狂ったように粉々になったリアの細胞を集めるが、風に揺られ彼方へと吹き飛んで行く。
「リア! リア! ワシのリアがぁぁぁぁぁぁ!」
ドラグロワは絶望の両眼で、嗚咽をし、その風に吹かれる黒い粉を見送る。
魔王とアカリは悲しみと憎しみが入り混じった何とも言えない感情で、その光景を目にした。
「ドラグロワよ。そこにリアはもういない。リアは死んだ」
ガッと黄金の両眼を見開き、感情を露わにするドラグロワ。
「死んでおらん! リアは生きてるのじゃ!」
「自分のことしか考えられないのか貴様は。貴様の勝手な悲しみで、リアを意味の無い延命で、生きらせ、このようにリアの生きた証を踏みにじる行為をするのか」
「ワシは……」
「もう、リアを温かく天国へ行かせてやれ」
「しかし……」
「あいつをずっと化け物にする気か?」
ドラグロワは両手を握り締め、涙の絶叫をした。
「あああああああああ」
そして、魔王は冷徹な青眼をしながらゆっくりとドラグロワに近づく。
アカリは魔王の意図した行動に、
「待って!」
その制止しきれていない声は魔王に届くはずもなく、魔王の右手は緑色の弾丸を蓄え、ドラグロワの後頭部に向ける。
リアの死を今更ながら受け止め、悲しみに暮れたドラグロワに反撃の意思は無い。
「貴様がノアの本体だな。この大災害を起こしてるのが貴様ということだ」
「ワシを殺せば、この世界の自然環境は崩壊する。世界は終わる。ワシの意図したことになる」
「そんなことを俺が知らないとでも思ったか?」
右手を下げ、左手を差し出し、そこから黒い線が渦のように回転し、改造スキルを発動させる。
その瞬間、黒い線がドラグロワに巻きつき、身体の中に浸透した。
ドラグロワに様子は変わりは無く、疑問を浮かべるのみ。
「何をした?」
「貴様の所有権をアカリに移した」
急に名前を呼ばれ、びっくりするアカリ。
ドラグロワは怒りの両眼で、魔王を睨む。
「ワシを殺せ! 世界を滅ぼせ! リアのいないこの世界に興味は無いのじゃ」
「敗北者が意見をするな。それに、貴様は俺の代わりにアカリを守ってもらう必要がある」
その言葉に誰よりも先に、疑問を浮かべ、口走ったのはアカリ。
「どういう意味なの?」
「アカリ……俺はもうお前を守れない」
「どうして? 私が嫌いになったの? どこか病気でもあるの?」
「そうじゃない。俺はゴブミと結婚することにした、そして、どこかの異世界で二人で暮らすんだ」
「はい?」
アカリは困惑した様子。
魔王が本気なのか、ふざけているのか分からない。
ただ、魔王の青眼は幸せのようなものを浮かべていた。
すると、魔王の真上から緑色の髪をし、桃色の虹彩をし、エルフのような両耳をした、美しい女が降りてきた。
お淑やかで、清楚な、静かだがよく笑う女だ。
ゴブリンではない、正真正銘の人間。
魔王はその美女に肩を回し、作ったまたは本気かは分からない笑みで、
「婚約者のゴブミだ」
「ゴブミさん……あのゴブリン女王……呪いが……」
「いや、違う。俺はこいつと結婚したいから結婚するんだ。なぁゴブミ?」
二人は微笑ましく笑みを浮かべる。
嫉妬のようなものを抱きながらも、このままではどこか魔王が遠くへ行ってしまうような気がした。
アカリは首を左右に振り、涙を滲ませながら必死で制止する。
「目を覚まして、魔王、いや、クリムト! あなたはゴブミの呪いに掛けられて、おかしくなっているのよ!」
「俺は呪いも掛けられてもいないし、おかしくもない。ただ、俺はこいつの性格に惚れて好きになった。だから、結婚するんだ」
「違う! 違う! 違う!」
魔王は微笑みを浮かべ、ゴブミと共に、向こう側の方へ歩く。
「ここは寒い。さあ、行こうゴブミ」
「はい」
「待って! 待って! 待って! 待って!」
二人を追い掛けるが、追い付かない。
二人の後ろ姿はとても幸せそうだった。
温かい夫婦、カップル。
でも、これは違う。
魔王の隣は私ではなくて、なんであいつ何だと。
私は美しい女神で、あいつは醜いゴブリンのはずだ。
何で魔王は私ではなくて、あいつを選ぶんだ。
嫉妬が渦巻き、醜い心が私を苦しめる。
アカリは全力で追い掛けるも、ふらついて、転んでしまう。
でも、それでも、尚も手を伸ばす、しかし、届きはしない。
悲痛な彼女の訴えが響く、
「置いていかないで!!!! 私を……」
しかし、魔王は一度も振り返ることない。
幸せな夫婦。次第に夫婦と子供になる。
温かい三人のゴブリン親子がそこにあった。
それから、ゴブリンの息子、ゴブリンの娘、ゴブリンの孫と増えていくのだ。
ゴブリンの大家族は楽しそうに笑い声を上げながら、風と共に消えた。
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