学習能力スキルを使ってチートスキルを覚える魔術の商人

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2章魔術師学院(閑話)

23話フレスの訓練

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 数日後の放課後。
 俺とフレスは学校内の鍛錬場へと足を運んでいた。

「ゼルフォード君! 待って!」

「……どうした?」

 フレスは顔を赤らめ、焦点が定まらない、もじもじとしていて、言葉を探しているようだ。

「大会前だし、あの……特訓を見てもらえない?」

「もちろん、大丈夫だ。行こう」

 鍛錬場。
 最新鋭の戦闘用ロボットが揃い、あらゆる魔術の鍛錬ができる。
 広間には白に包まれ、ホログラムの文字が浮かび上がり、魔力らしき青色の光が絶え間なく上から下へと流れている。
 何とも不思議な空間である。
 科学の力はすごいと言わざる負えない。
 その広間にはいくつもの透明なガラスに覆われた扉があり、進むと部屋がある。
 それぞれに戦闘用ロボットが配置されている。
 気づくと俺はフレスと仲良く手を繋いだまま、その広間を見渡していた。
 フレスは体をもぞもぞとして、落ちつかない様子。

「?」

「手ずっと握ったまま……」

「あっ……ごめん」

「ゼルフォード君忙しいのにごめんね。こんなことに付き合わせちゃって」

「全然忙しくないさ。さあ、やろう」 

 俺はガラス窓からフレスを見守る。
 そして、フレスは入室し、魔甲をボックスから出現させ、中型銃を構える。
 
「レベル3銃撃戦」

 対する敵ロボットは人型。
 挑戦者は銃でロボット本体に命中させれば勝利、応じてロボットは回避行動と低威力の銃撃を放つ。
 ロボットの強さはレベル1から6まである。
 初心者はレベル1を推奨。慣れてくればレベル3へ。
 レベル6になるとさすがに一年生にはクリアできないらしい。
 フレスの体内で魔力を構築し、すぐさま銃に注入し、魔力の散弾が放たれる。
【弾丸強化】レベル5
【身体強化】レベル5 
【速射強化】レベル5

「バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!」

 ロボットは放たれた弾を右左上下と動き、瞬時に超人のように回避する。
 たった数秒間で回避できる姿はロボットが如何に高性能かが窺える。
 反撃するロボットは両手から魔力を無数に放ち、それは横一線に光の群衆で向かってくる。
 対してフレスも横一線に1発から4発と打ち返す。

「バン! バン! バン! バン!」

 ロボットの攻撃を相殺し、真ん中で爆発する。
 魔力弾と魔力の光が見られる。
 フレスはすぐさま弾丸を銃に補充し、再度ストレートに1発から4発打っていく。

「バン! バン! バン! バン!」

 ロボットは余裕とばかりに3発目まで柔軟に回避した。
 だが、4発目の魔力拡散弾は逃れることができなかった。
 ロボットは4発目も回避したはずだったが、右通過する弾丸は機体に反応してそこで連続で爆発した。

「ババババババ!!!! バンンンンン!」

 その爆発に巻き込まれ、倒れたロボット、
 フレスはレベル3をクリアした。
 息を切らしながら、振り返った。

「はぁはぁ、ど……どうっ?」

「スキル発動が適材適所で、高いものだった。最初、弾丸を防がれてしまい、中盤の魔力の相殺でどちらに勝敗が転ぶか分からなかったが、そこからの機転が素晴しかった。まさか、四発目に拡散弾が含まれいたとはな……さらに炎魔力も合わさり、桁違いの威力だったよ」

 これはお世辞ではない。
 大抵の生徒は最初の弾丸を外し精神的に辛くなり、慌ててしまい、失敗を重ねる。
 これならAクラス枠で入学したのも頷ける。
 でも、どうして、彼女は本番のテストでこのように本領を発揮できないのだろうか。
 フレスが銃を下げ、両手を胸に当て安堵した。
 油断したその時、煙の中からロボットは立ち上がり、魔力を横一線に放つ。
 ロボットは終わりの合図を宣言していなかったのだ。
 銃撃戦はまだ終わっていない。
 今あのスピードと魔力をフレスにはかわせない。
 生身の身体で直撃してもロボットレベル3程度の攻撃ならダメージは重傷まではいかないだろうが、確実に怪我はする。
 そして、勝手に俺の身体が動き、目の前の魔力のバリアをぶち破る。

「バリーン!!! バリーン!!!」

 掠れ傷が多少与えられ、体勢を崩すが、持ち直し銀色の魔甲を纏い、翼で飛び立ち、全速力でフレスの元へ向かう。
 美しきシルバーを纏った翼の仮面魔術師が飛び散る破片の中を突っ込んでいく。
 間に合え。
 俺はフレスを抱き締め、即座にその場から離れた。
 爆煙が俺の視界を全てを覆った。
 やがて、煙や装甲が消える頃には俺はフレスを抱き締めた状態で転がっていた。
 フレスは掠り傷程度済んだようだ。

「大丈夫か?」

「私なんかより……ゼルフォード君が傷だらけ……」

 フレスは眼に涙を溢れさせ、俺にぎゅっと抱きつく。

「これぐらいの傷すぐ治るさ」

「本当にごめんね……私、ゼルフォード君に迷惑を掛けてばっかで……」

「フレスが謝ることはない。別に俺は困っていない。お前に頼られるのは嬉しい」

「ゼルフォード君は本当に優しいね」

「そんなことはない」

「私……やっぱり、魔術師の才能無いんだよね……んんん……何やっても駄目なんだよね」

「そんなことはない……」

「ありがとう……ゼルフォード君…………」




 

 
 
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