時空魔術操縦士の冒険記

一色

文字の大きさ
23 / 175
1章魔戦操縦士学院

23話少女の特訓

しおりを挟む
 数日後の放課後。
 俺とアイリスは学校内の魔戦鍛錬場へと足を運んでいた。
 こんな美少女に誘われ、二人っきりになるとは思いもよらなかった。

「アル君! 待ってください!」

 その際に桃髪セミロングのアイリスに呼び止められたのだ。
 俺は(てっきり告白か、ついにモテ期到来)と淡い期待をしつつ、爽やか風に応じた。

「ど……どうした?」

 アイリスは顔を赤らめ、焦点が定まらない、もじもじとしていて、言葉を探しているようだ。

「あの……あの。特訓見てもらえないですか?」

 瞳をうるうるさせて、言う。
 断られたらどうしよう、どうしようと表情から伝わってくる。
 誰だそんな奴、断る奴がこの世にいるはずがないだろう。

「行こう!」

 強引にアイリスの手を引っ張り、鍛錬所へ向かったのであった。
 アイリスは強引さに「ええぇ」みたいな声を発しながらも、素直につれていかれたというわけだ。

 魔戦鍛錬場。
 最新鋭の戦闘用ロボットが揃い、あらゆる魔戦の鍛錬ができる。
 広間には白に包まれ、ホログラムの文字が浮かび上がり、魔力らしき青色の光が絶え間なく上から下へと流れている。
 何とも不思議な空間である。
 科学の力はすごいと言わざる負えない。
 その広間にはいくつもの透明なガラスに覆われた扉があり、進むと部屋がある。
 それぞれに戦闘用ロボットが配置されているようだ。
 どうやらここで鍛えるようだ。
 このような広間は先へ進むといくつもあるそうだ。
 俺とアイリスは仲良く手を繋いだまま、その広間を見渡していた。
 視線をアイリスにやると体をもぞもぞとして、落ちつかない様子。

「アイリス?」

「手ずっと握ったまま……」

「あっ……ごめん」

「アル君忙しいのにごめんなさい。こんなことに付き合わせちゃって」

「いやいや全然忙しくないよ。むしろアイリスと一緒に特訓できるなんて土下座してお願いするくらいだからな」 

「あ……ありがとう」

 顔を赤らめ、笑顔を見せるアイリス。

「アイリスは実技が苦手なのか?」

「そうかもしれません……知識の方が得意です」

「俺も教えるのが上手いって訳じゃないんだ。まあ習うより慣れろ言うし。まあ早速だが、アイリスやろうか?」

「そうですね」
 
 そして、アイリスは部屋に入室、俺はガラス窓からアイリスを見守る。
 アイリスは一度ここで特訓したそうなので、やり方は知っているようだ。
 アイリスは全身に眩い光を纏い、魔戦を巨大サイズに具現化した。
【灰銃撃機《グレイラグドルカ》】。
 体長10メートル。
 重量10トン。
 新型ブリティッシュ製。
 銃特化専用機。二丁銃を装備できる。
 連射、多種類弾を備える。
 扱い易く多くの人が使用している人気の機体。
 グレイ色の魔戦。銀色がかかった灰色の戦闘機。
 中型銃を手にし構える。
 少女は「レベル3銃撃戦」とロボットに言い放つ。
 ロボットは人型。
 ロボットはレベル1から6まであるらしい。
 分野には挑戦者は銃でロボット本体に命中させれば勝利、ロボットは回避行動や魔力攻撃をするという対魔戦銃撃戦。
 挑戦者が一方的に魔力をロボットに放つ、ロボットは反撃しないという射撃戦。
 初心者はレベル1を推奨。慣れてくればレベル3へ。
 レベル6になるとさすがに一年生にはクリアできないらしい。


      アイリスの体内で魔力を構築し、すぐさま銃に注入し、ここまで華麗なスピードでこなしている。
 グレイラドグルカの銃から魔力の散弾がロボットに向けて発射する。

「バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!」

 ロボットは放たれた弾を右左上下と動き瞬時に超人のように回避する。
 たった数秒間で回避できる能力はロボットの高性能さが窺える。
 反撃するロボット。
 両手から魔力を無数に放ち、それは横一線に光の群衆が向かってくる。
 アイリスは横一線に一発二発三発四発と打っていく。

「バン! バン! バン! バン!」

 ロボットの攻撃を相殺し、真ん中で爆発する。
 魔力弾と魔力の光。
 グレイラドグルカはすぐさま弾丸を銃に補充し、再度ストレートに一発から四発打っていく。

「バン! バン! バン! バン!」

 ロボットは余裕とばかりに三発目まで柔軟に回避した。
 だが四発目の魔力拡散弾は逃れることができなかった。
 ロボットは四発目も回避したはずだったが、右通過する弾丸は機体に反応してそこで連続で爆発した。

「ババババババ!!!! バン!」

 その爆発に巻き込まれるロボット、煙の中で倒れたロボット。
 どうやらアイリスはレベル3をクリアしたようだ。
 アイリスは息を切らしながら、俺の方を振り返る。

「はぁはぁ……ど……どうですか?」

「最初弾丸を防がれてしまったが、中盤の魔力の相殺でどちらに勝敗が転ぶか分からなかったが、そこからの機転が素晴しかった。まさか四発目に拡散弾が含まれさらに炎魔力をも合わさり、桁違いの威力だった」

 これはお世辞ではない。
 大抵の生徒は最初の弾丸を外し精神的に辛く慌ててさらに失敗を重ねる。
 だが彼女はぐっと耐えて、諦めずにチャンスを窺い、それをものにした。
 面白い戦いだった。
 彼女の夢は蔵書師(図書師)だが魔戦操縦士としても才能があるので、そちらを推薦したいくらいだ。
 灰銃撃機が銃を下げ、鎧頭部が開き、アイリスは顔を出し、地面へ降り立ち、両手を胸に当て安堵する、油断したその時。

 「危ない!!」

 煙の中からロボットが立ち上がり、魔力を横一線に放つ。
 まだロボットは「あなたはレベル3をクリアしました」と終わりの合図をしていなかった。
 まだロボットとの銃撃戦は終わっていなかったのだ。
 しかし、アイリスが恐らく今あの魔力はかわせないだろう、直撃するのは目に見える。
 まあ直撃してもロボットレベル3程度の攻撃なら体のダメージは重傷まではいかないだろうが。
勝手に俺の身体が動く、目の前の魔力のバリアに直進する。

「バリーン!!! バリーン!!!」   

 と音と共に部屋に入り、多少掠れ傷が与えられ体勢を崩すが、持ち直し足早に銀翼を纏いしまっしゃろ、全速力でアイリスの元へ向かう。
 美しきシルバーを纏った翼神が飛び散る破片の中を突っ込んでいく。
 あと0.09秒ぐらいでアイリスにぶつかる。
 間に合うのか?
 その時。
 魔力が爆発し、周り全体に影響を及ぼす全窓ガラスまで直撃する。
 爆煙が俺の視界を遮った。
 俺は爆煙と共に消える。
 間にあ……。
 直前に、俺はアイリスを抱き締める形で地面にしゃがみこんだ。
 鎧が真っ二つに開き、すぐさま俺は目の前にいるアイリスに問い掛ける。

「大丈夫か?」

「うん」

 どうやら間一髪のところでロボットの魔力から回避したようだ。
 アイリスに命に別状はないし、怪我もないようで良かった。
 でも、彼女は瞳に涙を溢れさせ、俺にぎゅっと抱きつく。

「ごめんなさい……私、アル君に迷惑を掛けて」

「アイリスが謝ることはないさ。別に俺は困っているわけじゃないんだ」

「アル君は本当に優しい」

「そんなことは……ないから。さあ泣かないで」

 二人は起き上がると、突然アイリスが涙を拭きながら俺に打ち明ける。

「私……この学校に入るのが不安でしょうがなかった……友達とか授業とか寮とか……」

「そうだったんだな……大抵皆そういうもんだから、気に病む必要はないよ」

 アイリスがいつも丁寧語で俺達に話していたり、皆に気を遣ったりしていたのは気づいていた。
 続けるアイリス。

「でもね寮でカレー作りした時にカバーニ君が私の夢……魔法大学の蔵書室で働くことを馬鹿にしたじゃない、その時アル君が真剣に怒ってくれた事がとても嬉しかったの……それで私勇気もらってこの学校で必死に頑張って、絶対夢を叶えるんだって思えることができたの……だからアル君には感謝しています」 

「そうだったのか……アイリスが泣いていると俺まで泣けてきちゃうな」

 アイリスが俺にそんな感情を向けていることに、こうして素直に腹の内を語ってくれるってことは信頼されていることにとても嬉しく感じた。
 そして、アイリスは再度胸に飛び込む。

「これからもよろしくお願します」

「もちろんだ」



 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

転生してもオタクはなおりません。

しゃもん
恋愛
 活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...