時空魔術操縦士の冒険記

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1章魔戦操縦士学院

30話代償

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 大会2日目の午前中に、俺、マシュ、ロン、アイリスは魔術治癒総合病院にいた。
 リオラは大会の審判員の仕事が忙しいので一緒に来ることができなかった。
 病院は学校近くに、徒歩で行ける距離にある。
 なぜ病院にいるのかというと、ある人物のお見舞いである。
 両手にはたくさんの果物と漫画やゲームを抱え、誰か手伝えよとツッコミを入れたくなったが、今暗い雰囲気が漂っているので、ことさら病院なので、静かにこの時と場は受け入れるしかない。
 俺はこう見えても空気の読めるタイプであり、常識人なのである。
 そして、大きな病院の入口に入り、何百人かの患者が座っている座席を通り過ぎ、受付で病室を聞き、いま目の前にある人物がいるであろう病室の扉を開け、開口一番先に声を掛けたのはそのある人物だった。

「みんな揃ってるやんか」

 腹部分が包帯で巻かれたある人物は笑顔で言う。
 茶髪短髪、つんつんとした頭頂部、つり目の少年。
 それは弱々しい声のカバーニだった。
 俺は優しく笑みを浮かべ返答する。

「元気そうで何よりだな」

 皆が病室に入ってくるのを確認してから、カバーニは次の言葉を発する。

「皆ごめん」

 顔を俯かせながら、歯を食い縛りながら、カバーニは謝罪する。
 もう既に事の経緯は聞かされている。
 カバーニは全治三週間の怪我だそうだ。
 カバーニに腹部分に与えられたダメージが思ったよりも大きかった。 
 通常はゲームなので、ある程度のダメージ補正されているはずだが、昨日はされなかった。
 誰かが故意に操作したとしか考えられなかった。
 よって明日の再試合はカバーニは出場できない。
 また団体戦は三人一組が義務付けられ、追加補欠は認められないそうだ。
「追加補欠が認められないっておかしいだろ」と審判員に訴えた俺だったが「規則ですから」と一蹴された。
 ロンはそれを知った上で慰める。

「早く怪我を治すことが優先ですな」

「本当にすんまへん」

 俯いたまま顔を上げようとしないカバーニ。
 マシュも声を掛けようとするが、あまりのカバーニの落ち込みっぷりにそれができない。
 アイリスは心配そうな顔でその様子を見守っている。
 そして、病室を後にし、病院から出た。
 ロンが咄嗟に溜息をつく。

「ふっ。カバーニ君があんなに落ち込むとは」

 普段は熱くがやがやうるさい男があんなしょぼくれた覇気のないじいさんになるとはな。

「Fクラスの奴に散々な事を言われそうだな。大変そうだ」

 その気はなかったのだが皮肉めいた言葉に聞こえたらしい。
 マシュは、強い態度で、反論した。

「もしかしたら私とアルも同じような目に遭ってたかもしれない。カバーニだけが責められるのはおかしいわ。みんなで戦ってるのよ。ねぇ?」

「全くだ」

「それにまだ個人戦があるじゃないの。みんなで頑張ればいけるわ」

 アイリスが同調する。

「そうですよ! まだまだ希望はあります!」

 ロンが鋭い指摘をする。

「個人戦はFクラスの人達にとって不利ですな。なぜならお世辞にもFクラスの生徒は魔戦操縦能力は高いとは言えないですな」


 個人戦は男女に別れてトーナメント戦。
 一回勝てばポイントが貰えるが果たしてFクラスの生徒に勝利することができるのか。
 カバーニの魔戦操縦の能力程度でできる奴と言われてるんだぜ。
 でも、あいつには才能があると俺は思う。
 それが後々徐々に才能が開花していく大器晩成型というだけ。

「そうだな」

「ねぇ。アル。弱音吐ないでくれる? 士気が下がるわ」

 俺に対して厳しい言葉をぶつけるマシュ。
 こいつ何故俺に対していつも攻撃的なんだ。

「ロンの言う通り。現実問題そうだろうが」

「がっかりだわ」

 俺に何を期待をしてるんだ。

「はいはい」

「あなたが個人戦で優勝すれば。何とか退学阻止できるかもしれない」

 あれ? チームプレイとか言ってなかったかマシュ。

「俺には無理だって」

「駄目」  

 そんな冷たい目で言われてもな。

「アル君は私と一緒に鍛錬所訓練していたんですけど、戦闘用ロボットレベル6簡単に倒していました」

 ああそうだったな。
 俺は油断し、ついつい力を解放し、アイリスに見られてしまった。
 眉を釣り上げるマシュ。

「二人で特訓なんて聞いてない!」

    そこはどうでもいい。
 アイリスは首を傾げる。
 マシュは俺に向かって頬を膨らませながら言い放つ。

「どういうことなの? 二人仲良くって訳なの? 別に何とも思ってないけど」

 急にどうしたんだ。

「今そこはどうでもいいだろ」

「私も誘いなさいよ! 団体戦一緒にやってるんだから!」

「分かった分かった」

「絶対だからね!」

 こいつ、ついにツンデレを出してきやがったな。
 ロン、アイリスも、マシュの普段の印象とは違う姿に呆気に取られていた。

「個人戦で優勝を目指すならば強敵を倒さなければいけませんか。Cクラスのカルヴァン・アーサー。彼はCクラスに甘んじて在籍していますが実力はAクラスですな」

「ん? なぜCクラスにいるんだ?」

「彼は素行が悪く、Cクラスに入れたというのですな」

 ロンの情報力には恐れいるな。

「そうか」

「彼には気つけたはほうがいいでしょうな」

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