時空魔術操縦士の冒険記

一色

文字の大きさ
31 / 175
1章魔戦操縦士学院

31話代償

しおりを挟む
 学校の魔戦闘技場へ向かって歩いていると、手を上げながらボサボサの金髪で白衣を着用した男が笑顔を向けていた。
 Fクラスの担任であるタイターだ。

「カバーニは元気だったか?」

「ええ。元気でした」

「それを聞いてひと安心だ」

「で? ゲームに細工した犯人は分かったんですか?」

 俺は目を細めながらタイター先生に問い掛ける。
 先生は、腕を組み、一呼吸置く。

「犯人は特定した……」

 押し黙る先生に痺れを切らしたマシュが真意を突こうと尋ねる。

「誰です?」

「Cクラスカルヴァン・アーサー、アシュリー・ヨメスらが指示し、幾人かの生徒の仕業だ」

「なら、その人達に何らかの処罰はくだされるのですか?」

「ああ。だが学校側はアーサー、ヨメスには何のお咎めはない」

 目を細めマシュは反論する。
 正義感溢れる眼差し。

「それはおかしくないですか? 首謀者が罰せられないのは……」

「そうですな」

「そうです!」

 ロン、アイリスも頷き同調する。
 だが、俺は頷かなかった。
 なぜ両名が処罰されないか知っていた、このアーサーという名前に見に覚えがあった、また会ったことがあるのかもしれない。

「貴族連中から圧力がかかった。アーサーは有力な貴族でな、学校側は逆らえない」

「学校の大会に貴族が関与して良いのですか?」

「この国は有力な貴族によって成り立っている。従って学校側は従うしかない」

「仕方ないですな」

 貴族という言葉が出た時点でこの国の人間は「Yes」と答えるしかない。
 ロン、アイリス納得するしかなかった。
 マシュは悔しさを露わにし、納得していないようだった。
 タイター先生は俺の顔を向け、「お前が一番この中で理解してるか」と呟く。

 カバーニの見舞いのために病院に行っている間に、団体戦一回戦第一試合Fクラス対Dクラス、一回戦第二試合Cクラス対Eクラス。
 第一試合はFクラス棄権によるDクラスの不戦勝。 
 先程も言った通りカバーニの怪我により俺らFクラスは棄権を余儀なくされた。
 第二試合では開始十分でCクラスのヨメスがEクラス代表者のライフをゼロにした。
 俺と同じ土系統の属性の魔力を大規模に使用し、Eクラスの代表者が気づいた時には身体全身が土に埋められていたそうだ。
 危うく死ぬところだったと。
 決勝Dクラス棄権によるCクラスの不戦勝。
 ヘスティアの体調不良によりDクラスは棄権を余儀無くされた。
 準決勝Fクラス棄権によるEクラスの不戦勝。
 カバーニの怪我のためFクラス棄権。

 団体戦の順位 優勝Cクラス ニ位Dクラス 三位Eクラス
四位Fクラス。
 当初予想されていた結果となった。
 現時点でFクラスの退学が濃厚という学校側と生徒側での見方だ。
 ならばFクラスは個人戦でいかにポイントを稼ぐかが重要となってくる。
 絶対に退学は阻止なければならないのだ。
 という訳で俺とアイリスで個人戦一回戦が行われる魔戦闘技場Bに来ていた。
 一方マシュとロンは魔戦闘技場Cに向かっている。
 また既に他の生徒の個人戦一回戦は行われている。
 一回勝てばポイントが貰えるので、Fクラスの皆には是非とも取って欲しいが、そう簡単に上手くいく訳もない。
 先程Fクラスの皆で今後について話し合いしようと思ったが、
 不満の捌《は》け口はカバーニではなくマシュでもなく俺だった。

「どうせお前がカバーニの足を引っ張ったんだろうが!」

 お前はDクラスとの試合絶対見てないだろ。
 特に俺頑張ってたんですけど。
 とか。

「アル君っていつも授業中とか一人でクスクス笑ってて気持ち悪いのよ……やめて」

 それはこの大会とは何の関係もねぇだろうがよ。
 そういう苦情は授業後にこっそり耳打ちしてくれよ。
 このクソ女が。

「俺は入学当初からお前はいつかやらかすと思っていた!」

 お前それいつも言ってんな。

「犯人は君だ!……21:00に就寝…0:00に突然コンビニでエッチな本を購入し……帰宅。0:00~2:00にエッチなDVDを鑑賞し……就寝していたことは分かっている!」

 何で俺の昨日の行動を知ってんだ。
 つーか犯人って何だ!
 散々不平不満やトンチンカンな事を皆に言われた。
 俺はそれに耐えてこうして個人戦に臨もうとしている。
 自身のメンタルの強さに再認識した所だった。
 いや少し傷ついているんですよ。こんなにクラスメートから嫌われてるとはね。
 すると、アイリスが俺の背中をさすって慰めてくれる。

「アルは頑張っていましたよ。私は見てましたから」

「あ……ありがとう」

 俺は悲しそう表情で、さらにアイリスの優しさに触れ、涙が出そうになる。
 アイリスだけは俺の味方だ。
 アイリスさえいればいい。
 まあ、カバーニが一番可哀想であるのは確かだ、怪我をして、皆に迷惑を掛けていた少なからず責任を感じていた。
 正直普段は自信過剰で嫌な奴だと思っていたが、あんな小さくなったカバーニを見るのは辛い。
 ならば怒りの矛先がカバーニではなく、俺に向けられたのは案外良かったのかもしれない。
 現在のカバーニにそんな不平不満の辛い言葉を耐えられるはずがないのだから。
 次の試合があるということなので、アイリスは手を振って、その場から離れる。大会一日遅れたということで、試合日程が早めに組み込まれている。
 そろそろ俺も向かわないとな。
 
 
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

転生してもオタクはなおりません。

しゃもん
恋愛
 活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...