時空魔術操縦士の冒険記

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1章魔戦操縦士学院

33話決闘

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 カバーニの右手の大剣が青い光芒を放ち、連続突き攻撃が炸裂する。
 それから凄まじい袈裟斬り。
 太刀筋から気合いが入っているのが分かる。
 怒りが満ちている。

「おらぁ!! おらぁ!! あ!!」

 対してアーサーは魔戦をすら具現化せずに生身で躱わし、慌てる様子もなく容易く、最小限度の動作で避けていく。
 首を傾げたり、両手を上げたり、動作に無駄がない。
 どこかやる気のなさを感じさせる。戦闘力の差や経験が圧倒的に違い過ぎる。

 俺は止めに入ろうと一歩踏み出そうとする。
 だが左手を掴み、制止するアイリス、無言で俺を見つめる。
 なぜ止める?
 このままでは。
 いや、俺がここでカバーニを止めに入ったら、カバーニの思いを踏みにじる事になってしまうのではないか。
 カバーニは自身の怪我のせいで団体戦を棄権せざる負えなくなってしまった。
 その怪我は直接的ではないにしても間接的にCクラスの妨害により結果的にはそうなってしまった。
 ならば大本の原因であるCクラスに報復をしなければならない。
 Fクラスの恨みを果たさなければならない。
 その汚れ仕事をするのは自分でいいと。
 全ての責任を自らを背負おうとしている。
 たぶんアイリスはそのカバーニの思いを既に分かっていたのだ。

 カバーニの攻撃は止まらない。

「しゃあら!!!」

 大剣を突き上げ、振り下ろし、さらに回転して右、左と大剣振り回していく、さらに連続で乱雑に振っていく。
 乱舞する紅の機体。赤色の狂気さ。
 闘牛が暴れ出す。全身から相当な魔力を感じ取れる。
 カバーニの荒々しさが魔力に表れている。
 対するアーサーは魔戦すら出さない。
 ただ後ろに仰け反ったり、しゃがんだりするだけ。
 ニヤリと笑うアーサー。

「弱いな……見せてやる……貴様の弱さを」

 アーサーの反撃が始まり、魔戦を具現化させる。
【金獅子《キンジシ》別名アルファロメオ】。
 黄金と白を基調とした外観。
 高級感溢れる金の輝きは異形を思わせる。
 頭部は猛獣のような顔をした豪奢な造り。
 立派な鬣《たてがみ》。頑丈そうな胴体。黄金の獅子に相応しい。
 体長12メートル。重量20トン。最新型ドイツ製。非売品オーダーメイド。
 全て部品が高価である。値段は国家予算程に匹敵する代物。
 特殊加工された脚部分から発射される高出力の風圧は重量のある機体の移動を高速スピードを実現してくれる。
 敵を見据えたら、一気に加速して、捕らえ、敵を粉々になるまで破壊する様は破壊の王。
 攻撃は格闘するように拳や脚を自由自在に使い分け、さらに背後にはマシンガンを装備し、近距離、中距離と幅広く対応する。


 カバーニは攻撃の連続で疲労し、後退する。
 後退してる隙にアーサーが真っ正面に急接近し、消えたと思ったら、下から上の綺麗なアッパーがカバーニの顎に直撃する。

「フハハハハハ!!! ズシッ!!!」

 カバーニは天高く飛んだ。
 既に頭部は破損し、砕け散っていく赤い機体。圧倒的破壊力。

 「うぅ」

 というアイリスの声が漏れる。
 あまりの痛々しさに衝撃を受けたのだろう。
 無理もない、あれだけ魔力の拳を喰らったらと想像しただけ、気分が悪くなる。

「完敗だな」

 瞬時にアーサーは上空へ急上昇し、カバーニの頭上へ跳ぶ。
 動作は停止どころか破損し、為す術なしの紅闘牛。
 勢い良く右脚を上げ、思いっ切り振り下ろす。 

「ズシッ!!!」

 壊れたカバーニは地面に急降下し、叩きつけられる。
 地面は爆発でもしたかのようにコンクリートの砂煙が空高くまで上っていく。
 その砂煙は俺達の視界にも襲う。
 また叩きつけられた衝撃が周りに振動となって伝わってくる。
 凄まじい破壊力。
 アーサーは急降下し、カバーニの元へ。破壊の限り尽くす気か。
 カバーニは頭部部分は既に消えて、生身の人間の顔。
 身体は横たわり、顔が血だらけで、腫れ、口から血が漏れ出す。

「おぇっ……おぇっ……はぁはぁ」

 モニター越しのアーサーは笑みを浮かべる。

「おいおいこれでまさか終わりか? 白騎士を倒した時みたいに力だしてくれよ。なぁ?」

「白騎士を倒したのワイやない……はぁはぁ」

「つまらねぇな……」

 アーサーはカバーニの胴体を何度も蹴る。
 狂ったように。ライオンが獲物をいたぶるように紅の機体は凹ませ、壊す。

「うぐっ うぐっ うぐっ うぐっ」

「フハハハハハハ。弱者は必要ねぇな」

 俺は我慢できなかった。
 俺はアイリスの手を振り払い、前へと動き出した。
 カバーニには悪いが俺はこの光景を黙って見逃す事は出来ない。
 何も一人で抱えこむ必要はない。
 責任なら俺も取ってやる。

「やめろ」

 アーサーは睨むようにして俺の方を振り向く。
 俺も睨み返す。

「あぁ? 誰だ貴様?」
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