時空魔術操縦士の冒険記

一色

文字の大きさ
58 / 175
2章ダンジョンへ向かおう

9話探検2

しおりを挟む
「アイリス!!」

 アイリスも砂に沈んでいる事に気づいたのか「はっ」と驚いている。
 俺はすぐさまアイリスの右手を掴み、引き上げようとするも、砂の吸い込み力は思ったより強い。
 もう既にアイリスの身体は砂に埋まり、リオラやマシュもアイリスの左手を掴みを引き上げる。

「はぁはぁはぁ……ありがとうございます」

「この砂……後々になると厄介だぞ」

「そうだよね」

「何か対策はないのかしら」

「おいお前ら早く来いや!!」

 呼び掛けるカバーニ。
 皆は冷たい目を向ける。
 そして、右端の通路へ進んで行く。
 どんどん右に曲がり、真っ直ぐ進み更に左へ曲がり、真っ直ぐ進み右へと曲がり、一向に砂嵐百蟻《タスマニアン・ヒャクアリ》がいる部屋へたどり着かない。
 幸いなことにカバーニは暴走せずに進んでいる。
 アイリスが腰を落とし、何かのモンスターを触っている。
 小さなぐるぐる巻きの茶殼を背負った白肉体のモンスター。
 白い目をきょろきょろと辺りを見渡しながら、のそのそと地面を一生懸命に這う。


『蝸牛《エスカルゴン》』
 害はなく、食用としてのモンスター。

「可愛いモンスターですね……害はないですよね?」

「ないよ……もしこんなに可愛いのが異世界神《イセカイジン》に進化したら怖いけどな」
 

 俺は返答する。
 他の蝸牛《エスカルゴン》も後ろの方で集まっていた。
 そのモンスターに目を付けたカバーニは俺とアイリスを押しのける。

「これは高級食材やぞ」 

「何押してんだよ!」

「うまそうやな」

 アイリスが両腕を広げ、蝸牛《エスカルゴン》を庇う。

「待ってください!! 食料は私の兵糧スティックがありますから……」

「邪魔や!! 邪魔や!!」

「食べるなんて可哀想ですよ」 

「何を言ってんねん!! この蝸牛《エスカルゴン》は貴重な食材や……皆食ってるんやぞ」

「それはそうですけど……」

「どけ!」

 アイリスを更に突き飛ばす。

「アイリスを突き飛ばすなよ!」

 そんな俺の言葉を無視して、カバーニは蝸牛《エスカルゴン》をナイフで殺生していく。
 そしてカバーニは殺生した蝸牛《エスカルゴン》を抱えて、
アイテムボックスから肉焼き機を取り出し、蝸牛《エスカルゴン》を焼き、殻は丸焦げになり赤い炎へと消えていく、白い肉体がこんがり焼きになったらタイミング良く引き揚げる。
 カバーニは微笑を浮かべ、唇には涎《よだれ》が出ている。
 アイリスは涙を拭いながら、焼かれていく蝸牛《エスカルゴン》を見ていた。
 リオラと俺は口を開けて黙って見てるしかなかった。
 マシュも腕を組みながら嫌そうな表情だ。
 そんな空気など全く知らない気にしないとばかりに焼かれた蝸牛《エスカルゴン》を串刺しにしてカバーニは貪りつくように食っていた。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...