時空魔術操縦士の冒険記

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2章ダンジョンへ向かおう

怪しげな人物

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 突然、外から獣の叫び声がする。
 何だ今のは。カバーニか。
 暴れているのか。
 オオモモンガさんは夕食の調理の最中だった。
 手を止めて、頬に手を当てて心配する表情。

「うちのモモンガの声だモンガ」

 俺は椅子から立ち上がり、反射的に口を開く。

「俺行ってきます」

「私も行くわ」

 そして、外へ。
 まだ獣の鳴き声がする。悲痛な叫びだ。
 牛舎の方からだ。
 駆け足で行き、牧草が積んでいる場所を真っ直ぐ通り過ぎ、右角を曲がる。
 ダッダッダッダッ。
 そこには何頭かの牛の後ろ姿と、牧草がずらっと横に並べられている。
 左には柵を隔てて広大な草原がある。周りを見渡すが誰もいない。
 俺とマシュは目を合わせる。

「何だったんださっきの音は?」

「分からないわ」

 ふと、視線を牛の方へ。

「!?」

 いつ間にいたんだそこに。牛の頭を撫でる怪しげな人物。
 カラフルなシルクハットの帽子を被り、顔には仮面つけた者がいた。
 首もとに包帯が巻かれ、二つの穴から妖しげな赤光を煌めかせる。
 また、俯いた。
 見るかに怪しいな。
 俺は目を細めながら、近づく。

「アル……危険よ……気つけなさい」とマシュが囁く。

「分かってる」

「あなたここで何をしているんですか?」

「これは勝手に侵入して失礼ザス……道を伺おうとチャイムを鳴らしたんザスがいやがらりゃあせんものでしたから……ヒヒヒヒィ」

 不気味な声でそう述べる。
 微かにその声には背筋がぞわぞわとさせる気味悪さがあった。
 俺は冷静に対応した。

「そうでしたか……どこへ?」

「ララナ村ザス……ヒヒヒヒィ」

「あっ……ならこの道を真っ直ぐに進めば60階層にあります」

「やはり……そうでしたかありがどうこざいました……ヒヒヒヒィィィィ」

 そして、怪しげな仮面の者は柵を跨いで、草原の方をへ歩いて行き、冷たい風が吹いた。

 マシュが目を細めながら、「気味が悪いわ……あの人」

「まあただ道を聞いただけだろう」

 ふと、足元を見ると、無数の傷がある一匹のモモンガが死んでいた。
 驚愕する。突然、後ろの牛達もバタバタと倒れていたのだ。
 俺達はその場に呆然と立ち尽くし、ぼそり呟く。

「何だこれ……」

 そして、草原を見ると、そこには誰もいなかった。


            *

 その日の夕食、先程のモモンガ殺しの件が話題になり、オオモモンガさんは我が子のモモンガを殺されて、泣いていた。
 沈痛な表情で、哀しみの姿。

「うちの子が……ぁぁぁ……痛かったろうにモンガ」

「オオモモンガさん……」

「何かおいしもの作ってあげましょうねっ」

 リオラとアイリスが何とか優しげな声で慰める。
 俺とマシュ、ロペスはその件について話していた。

「怪しげな男と何か関係があるかもしれません」

「何か知ってるガァ…ほぼそいつがモモンガや牛を殺したガァ」

「切り裂いたような傷がありましたが……何か知ってますか?」

「さぁ知らんガァ」

「しかしそいつ何のためにモモンガや牛を殺したんガァ」

「この家に来た目的はララナ村の行き先を知りたかったからと言ってましたけど」

「はぁ……分からんガァ」

 マシュが目を細め、重々しく話す。

「まさか……そいつがエキドナ?」

 重い沈黙が訪れた。
 ロペスはやっと口を開く。

「ワガァもエキドナについてはあまり知らんガァ……魔女とも怪物のような男とも色々とあるガァ……ここに殺しに来た奴は仮面を被ってたんなら分からんガァ……恐らくそいつがエキドナ」

「ララナ村へ向かおう」

 カバーニは事の経緯を知り、食事も摂らず、別室で籠ったままだ。
 
 
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