時空魔術操縦士の冒険記

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2章ダンジョンへ向かおう

三体の戦機

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 レッドアルバローザは懐に近づき、下からのアッパーを繰り出す。
 ボロボロで覇鬼は回避する事は出来ない。
 赤い巨眼を目を剥き出しにする。
 瞬間。

「ズン!!!!!!!!!!」

 直撃した。重い拳が。
 圧倒的な威力を食らった覇鬼は上空へ吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、身体全身はボロボロで熱気を帯びた。
 後方で待機していた騎士や魔戦操縦士のどよめきが起きる。

「おおおおおお!!!!」

 あいつ。カバーニはいつの間にこんなに強くなっていたんだ。
 そういえばマシュが言ってたな、毎朝、カバーニは魔戦の訓練をしているって。
 レベル100は超えてるはずだ。
 シャルマンが笑みを浮かべる。

「参ったな……相当強いね……あの子……さて僕も行かなくちゃ」

 聖魔白騎士は白い翼を羽ばたかせ、急接近し、聖王大剣《エクスカリバー》を振り上げる。
 もう一体の覇鬼は赤い両眼を見開き、咆哮する。

「アアアアアアアアアア!!!!」

 凄まじい風圧が白翼《ハクヨク》を襲い、即時に翼を翻し、回避する。そして、隙をつき、覇鬼の胸に聖王大剣を突き出す。

「っーーーーーーー!!!!!」

 しかし、金棒で振り払れる。
 即時に上昇し降下し、横一閃に斬る、金棒と激突。
 更に左から一閃、右から一閃を連続で攻撃していき、金属音が鳴り響く。
 火花がバチバチバチと両者の間を彩る。

「さすがに魔術なしだときついよ……こりゃアルが苦戦する訳だ!!!!」

「アァ! アァ! アァ! アァ! アァ!」

 隙をつき喉元へ突き出す。
 躱わされる。

「ふんっ!!!!!!」

 早い。
 次は背後へ回り、背中を斜めに斬攻撃。
 回って金棒で防御される。
 更に右へ移動し、斬攻撃。
 弾かれる。
 左へ。
 弾かれる。
 真上に上昇。
 振り下ろす。
 しかし、金棒で受け止められる。
 激突する。
 押し込む白翼。
 苦悶を浮かべる覇鬼。

「ギィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」

 一気に振り下ろす、真っ二つに斬る白翼。 
 覇鬼の頭部が割れ、血飛沫が空中を染め上げる。

「アァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 苦し紛れの覇鬼も金棒で一心不乱に振り回する。
 その出鱈目な攻撃は予測できずに回避するのに苦戦する白翼。
 それでも白翼は回避し、攻撃していく。
 凄まじい攻防戦が続く。

 カバーニを見ると乱打戦に入っているようだ。
 皆無事と願う。


 さて、俺もやらなくちゃいけない。
 四体の覇鬼が俺を見つめていた。
 恐ろしい顔で。

「バーストモード・ファイブ 解放」

 銀翼は黒翼《コクヨク》に変貌し、全身が黒に染まり、立派な翼が大きく羽ばたく。
 黒龍のフォルムで敵を睨みつける。
 キィィィィィィィィンと光沢のある黒い龍が飛び立つ。

「本気で行く」

「アアアアアアアアアア!!!!!!」

 黒翼は高速で接近する、龍王大剣《アルババ》を振るい、瞬時に右の覇鬼に右斜め、左斜め、右薙ぎ、左薙ぎ、唐竹、逆風の全種類の攻撃を何千回と行う。
 高速。
 敵や傍観者には見えていない。
 見えているのは黒翼だけ。
 一秒もかかっていない。
 時間を制する龍。
 覇鬼の赤い両眼は見開き、驚愕の表情で後ろに倒れ、身体は既に何千回もの斬撃が加えられ、焼けただれ、肉片は黒く壊死していた。
 目は開かれたまま死んだ。

「…………」

 残酷な程の強さだ。
 隣にいた覇鬼は金棒を振ろうとする前に黒翼の上から下の斬撃を浴びて、血飛沫が跳ぶ、真っ二つになって死んだ。

「…………」

 更に三体目には威嚇。
 あまりの恐怖に後ろ姿を見せ逃げ出す覇鬼。
 愚か。
 即座に黒翼袈裟斬り、逆袈裟斬りで仕留めた。
 無様に前のめりになって地面に倒れた。

「…………」

 四体目は果敢に攻めてきた右や左や斜めや下から上からと金棒を振り回していく。だが、黒翼は遊んでいるかのように躱わしていく。
 一瞬で黒翼は懐に接近し、胸に龍王大剣を突き出す。
 覇鬼は最後の抵抗とばかりに左拳を振るう。
 黒翼は龍王大剣を深くグリッと一回転させ、完全に仕留めた。

「…………」

 傍観者は固唾を呑んで見ていた。
 時が止まっているような光景。
 いや、止まっていたのだ。
 一連の流れに驚愕を隠せない。
 圧巻の強さ。
 シャルマンやカバーニも何とか倒したようだ。

「ふっ……アル……すごい君は……」

「はぁはぁはぁ……ホンマや」
 
 
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