時空魔術操縦士の冒険記

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2章ダンジョンへ向かおう

中層3

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「まさか……アイリスか?」

「違います!!」

「あ……カバーニだ!!」

「ワイやないで!! 腐った肉で腹いっぱいや!!!!」

 すると、ポケットからミユミユが顔を出す。

「ボクだ!!」

「ミユミユかよ! ボクだじゃないんだよ!! 可愛いからって許されると思うな!」

「いいじゃないか!! お腹が好いていたんだ!! ボクは!!」

 そんな感じでワイワイと楽しみ、そうこうしてる内にいつの間にか俺達は寝ていた。
 地震のように揺れる列車で俺達は飛び起きた。

「え!」

「なんだこれは!」

「なんや!」

「怖いよっ」

「どうしたんですか!」

 すると、アナウンスが鳴る。
 濁《にご》った声で、「えーーただいま異世界神が出現致しました-ーお客様には緊急避難か協力をお願い致しますーーええ……」
 そのアナウンス音を聞いて俺達は目を合わせ、外へ飛び出すと、巨大な異世界神はいた。

【赤蜻蛉《レッドドラゴンフライ》】。
 何千倍も大きくしたトンボに銀色の羽にはキザギザキザキザのトゲ。
 赤の長い体躯。赤い頭部。レベル300。
 列車の先頭両の機体を鋭い口でガジガジと噛んでいる。

「振動の正体はこいつか……」

 すると、狸《たぬき》顔の車掌《しゃしょう》がこちらに慌てた様子でやってきて、濁った声を発する。

「すいません……お客様……」

「討伐しときますよ」

「あっ? ゴッドハンターの方達ですか?」

「はい」

「ではお願いします!!」

 そんな話をしてる間にカバーニは向かって行った。
 魔戦を具現化させるスピードもたいぶ早くなったな。
 レッドアルバローザは勢い良く跳び、大剣を振り上げ、がら空きになった赤蜻蛉の胴体に撃ち込む。
 しかし、赤蜻蛉は即座に羽を羽ばたかせて上空へ飛び、斬撃が地面を貫く。
 ガンッ!!
 砂の底にある岩の鈍い音が鳴る。
 レッドアルバローザは両足から魔力を放出させ、跳び、大剣を突き上げ、赤蜻蛉の体躯に直撃。
 赤蜻蛉は痛みで悶えて、悲鳴をあげる。

「ゲラァァァァァァァ!!!!!!」

 そして赤蜻蛉が怒りの赤い目を光らせ、反撃とばかりに体躯を回転させ、トゲのある羽で攻撃する。
 レッドアルバローザはかなり接近していたために、逃げられない。
 だがしかし、赤蜻蛉にいくつか銃弾が連続で直撃し、黒煙が昇っていく。
 グレイラドグルカの正確な銃弾が見事に赤蜻蛉に命中した。
 遠距離からこれ程正確に命中できるとはたいしたものだ。
 さすがアイリス。

「間に合って良かったです」

 赤蜻蛉は黒煙を上げながら、落下する、しかし地面に落下する寸前にいきなり、俺達の方向へやってくる。
 さっきの攻撃で相当な怒りを買ったようだ。
 すかさず、蒼幻影は杖を振り回してから下ろす。

「雷電《サンダーブラスト》!!!!」

 電光が走り、斜めや横や縦と様々な動きの電撃は赤蜻蛉に直撃。

 更に「溶岩《エクスプローション》!!!!」

 杖から炎の塊が発生し、次第に大きくなり、マグマの波のような塊が出来き上がり、溢れるようにして崩れ落ち、赤蜻蛉を飲み込んだ。
 そして、赤蜻蛉は丸焦げになり動かなくなった。

「よし!!」

 ガッツポーズをするマシュ。
 どうやら俺の出番はないようだな。
 俺の背中をバンバンと叩き、不満顔のリオラ。

「私だって戦いたかったよっ!!」

「リオラは回復専門だからさ……その時になったらで良い」

「なにその……おまけな感じは!!」

「そういう風に言ったつもりはないが」

 すると、狸顔の車掌は「ありがとうございます……さぁ皆さんお乗りください」と言って、電車の中へ戻っていく。
   

そして、電車に揺られながら進んで行く。
 窓の景色を見ながらうとうとしていた矢先、突然視界に白い顔が映る。
 何だ。俺の顔か。ずいぶん眠たそうだな。笑っちゃうぜ。
 って。
 俺じゃない!!
 羊か?
 眠たそうな顔、やる気のない顔、口をもぐもぐさせている。
 白い羊。つーか足早すぎだ。馬並みの脚力だな。
 首がものすごい長い。
 隣でカバーニが睨みつけながら。

「子羊駱駝《アルパッカ》や」

「どうしたんだろな? なんかムニャムニャ言ってるけど」

「ミユミユなら分かるやろ」

「なぁ! ミユミユ出てこい?」

「なんだ!! ボクはお昼寝中だぞ!!」

「このアルパッカはなんて言ってる?」

 ミユミユはじっとアルパッカの口を見る。
 俺も交互にミユミユとアルパッカの顔を見る。
 にらめっこ対決ならアルパッカが勝ちだな。
 ミユミユはふむふむと頷く。

「何でも仲間が捕らえたから助けて欲しいと言っておる!!」

「そうか……しかしなあまり長居する訳にはいかないしな」

 アルパッカは頭で何度も窓を頭突く。
 ミユミユはまた頷く。

「助けなかったら食い殺すぞコラァ! と言っておる」

「嘘だろ? こんな可愛い顔してこんな事言ってんのかよ。ていうか、アルパッカは俺達の言語分かるのな」

 更にアルパッカは何度も窓を頭突く。

「どうする! と言っておるぞ」

「いや……つーかあいつ頭から血で出してるよ……もういいからやめろやめろやめろ……助けるから」

 そして、俺は仕方なく車掌に一時停止してくれるように頼み、車掌は快諾してくれた。
 幸いにも次の駅で停車し、夕方近くになったら発車する予定なのだそうだ。
 プシューと質素な駅に列車は止まり、俺達は外へ出る。
 先程と景色は変わらない砂漠地帯だ。
 そこへ先程の白いアルパッカがやってきて、茶色や黒や白のアルパッカが続いていく。
 五体から七体程のアルパッカの群れだ。
 白いアルパッカは眠たそうな顔で俺とミユミユを見つめる。

「さぁ? 話せ」

「……」

「ん? ミユミユ何って言った?」

「何も喋っていないのだ」

 

  
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