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1章魔獣になりましょう
17話一目玉
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そして、闘牛チームは連帯が取れていないまま、出発することになった。
事質、ミノルとオガは先へ行きどの道へ進んだかは不明なので、玄奘、アタマカラ、ゴブリン姉妹の計四名。
両脇の松明の炎を頼りに、マップと睨めっこしながら、黙々と歩き続ける。
丁度夕刻を回り、この異世界に来てから食事を摂取していないためお腹が減って仕方がない。
雲人間ならば、空気中の水蒸気で腹を満たすかと思ったらそうではないようだ。
とにかく食べ物が欲しい、このままでは倒れてしまう。
ところで、冒険者が狩猟帰りの時間なのだが、一向に冒険者に出逢う気配が無く、それどころか魔獣にすら会わない。
ただ、水滴の音が洞窟内に反響したり、何かいたと思ったら小さな蝙蝠が飛び回っているだけだった。
アタマカラは腹を押さえながら、口を開く。
「どのくらい歩いた?」
「一時間っちゅところや」
「他の連中の声とか聞こえてもいいはずだよな」
「ああ……確かにな……異様に静か過ぎる……この洞窟は広いと言ってもたかが知れてる。しかも、下から微かだが血の匂いがするわ」
その直後、前方の右側の通路から魔獣の絶叫が聞こえた。
アタマカラ達に緊張が走り、すぐさまその方角へ向かったのは正義感溢れるコブリン姉妹。
アタマカラ、玄奘もこの二人だけ任せて置くのは心配だと判断し、追従する。
その行った先の光景は予想を超える悲惨な光景だった。
皆が絶句し、硬直するのも無理もない。
十体程の魔獣達が首や脚を斬られ、大量の血を流し、死んでいた。
血の匂いは強烈で、さらに生暖かい空気が漂う、数十分程の前に犯行が行われたのは明らか。
どうやら一目玉《サイクロン》の集団で、Cブロックの増援組らしく、冒険者狩りの道中に加勢するつもりだったらしい。
「まさか冒険者にやられたのか……」
「いや、プレミア級に生息し、今勢いのあるサイクロンが駆け出し冒険者にやられるはずがねぇ」
「そうね……私も玄奘さんと同じ考えよ」
「お姉ちゃんの言う通り!」
「じゃ一体誰がこんなことをした?」
アタマカラの率直な疑問に誰一人として完璧な解答をする者はいない。
その沈黙をかき消すように、聞き覚えのある不敵な笑い声が聞こえきた。
暗闇からミノルが首を動かし、金棒を壁にぶつけて、獰猛な右目の巨眼をカッと開き、出鱈目な歯を見せ、笑い叫んだ。
それは静寂だった洞窟内に煩く反響し、今から殺す宣告を放ったのだとここにいる誰もが思った。
「フハァァァァァァァァァァ!!!!」
「……ミノルお前……」
初めて見るだろう玄奘の怒りの目は充血し、黒い縮れた毛は針金のような直毛へと変わり、緑の魔力を漂わせている。
察するにミノルと玄奘は遠征を何回か共にし、それ以前から何か因縁があるのだろうか。
「どうした? 何か言いたいことがあるか? 玄奘……それともその雲野郎かぁ?」
「正直に答えろ……これはミノルがやったんか!?」
「だったら何だ!? フハハハハハハ」
「てめぇ」
玄奘は今にも飛びかかろうかの戦闘態勢入り、ミノルも金棒を強引に引っこ抜き迎撃の準備。
しかし、玄奘を制止するのは意外に冷静なアタマカラ。
明らかに戦闘経験の差でこのままミノルと対決し、敗北するのは目に見え、仮に勝ったとしてもミノルは何か企んでいるに違いないことは確実。
だからこそ、この勝負を受ける訳にはいかない。RPGゲーム慣れしているからこそ分かる直感。
「離せアタマカラ」
「玄奘……どうしたんだ? 冷静になれ」
「何だと? こんな惨状を目の当たりにして冷静になる方がおかしいやろ!」
「それはそうだけど」
「フハハハハハハ……玄奘やめとけ……お前がこの俺様に勝てる訳がねぇ」
「!?」
「まあ顔馴染みのあるお前を殺すのは心が痛む……そこで提案だ……そこの雲野郎と俺様と勝負して俺様に勝ったらこの惨状の真犯人を教えてやるよ……」
「真犯人だと? ミノルがやったんやろ」
「フハハハハ……さてどうする雲野郎? 勝負を受けるか、あるいは受けずにここにいる全員皆殺しか選べ……フハハハハハ」
「アタマカラこんな勝負受ける必要はない! ミノルはワイが殺すんや」
やはり、ミノルが理不尽な要求をしてきたようだ。
さて、どうする。勝負を絶対受けないとは言ったたものの、状況は最悪。
ミノルは本気で全員を殺す気だろう。
すると、更なる女の子の悲鳴が真近に聞こえ、不意を付かれたと思った時には遅かった。
後ろから忍び寄ったオガがゴブリン妹の頭をわし掴みにし、鋭利な刃物を光らせる。
コブリン姉の怒りの表情で、斧で追い払おうとするが、ミノルの醜悪に満ちた一声で、その一死報いる反撃を断念せざる負えない。
「さぁぁぁぁぁぁ? どうする雲野郎!!??」
事質、ミノルとオガは先へ行きどの道へ進んだかは不明なので、玄奘、アタマカラ、ゴブリン姉妹の計四名。
両脇の松明の炎を頼りに、マップと睨めっこしながら、黙々と歩き続ける。
丁度夕刻を回り、この異世界に来てから食事を摂取していないためお腹が減って仕方がない。
雲人間ならば、空気中の水蒸気で腹を満たすかと思ったらそうではないようだ。
とにかく食べ物が欲しい、このままでは倒れてしまう。
ところで、冒険者が狩猟帰りの時間なのだが、一向に冒険者に出逢う気配が無く、それどころか魔獣にすら会わない。
ただ、水滴の音が洞窟内に反響したり、何かいたと思ったら小さな蝙蝠が飛び回っているだけだった。
アタマカラは腹を押さえながら、口を開く。
「どのくらい歩いた?」
「一時間っちゅところや」
「他の連中の声とか聞こえてもいいはずだよな」
「ああ……確かにな……異様に静か過ぎる……この洞窟は広いと言ってもたかが知れてる。しかも、下から微かだが血の匂いがするわ」
その直後、前方の右側の通路から魔獣の絶叫が聞こえた。
アタマカラ達に緊張が走り、すぐさまその方角へ向かったのは正義感溢れるコブリン姉妹。
アタマカラ、玄奘もこの二人だけ任せて置くのは心配だと判断し、追従する。
その行った先の光景は予想を超える悲惨な光景だった。
皆が絶句し、硬直するのも無理もない。
十体程の魔獣達が首や脚を斬られ、大量の血を流し、死んでいた。
血の匂いは強烈で、さらに生暖かい空気が漂う、数十分程の前に犯行が行われたのは明らか。
どうやら一目玉《サイクロン》の集団で、Cブロックの増援組らしく、冒険者狩りの道中に加勢するつもりだったらしい。
「まさか冒険者にやられたのか……」
「いや、プレミア級に生息し、今勢いのあるサイクロンが駆け出し冒険者にやられるはずがねぇ」
「そうね……私も玄奘さんと同じ考えよ」
「お姉ちゃんの言う通り!」
「じゃ一体誰がこんなことをした?」
アタマカラの率直な疑問に誰一人として完璧な解答をする者はいない。
その沈黙をかき消すように、聞き覚えのある不敵な笑い声が聞こえきた。
暗闇からミノルが首を動かし、金棒を壁にぶつけて、獰猛な右目の巨眼をカッと開き、出鱈目な歯を見せ、笑い叫んだ。
それは静寂だった洞窟内に煩く反響し、今から殺す宣告を放ったのだとここにいる誰もが思った。
「フハァァァァァァァァァァ!!!!」
「……ミノルお前……」
初めて見るだろう玄奘の怒りの目は充血し、黒い縮れた毛は針金のような直毛へと変わり、緑の魔力を漂わせている。
察するにミノルと玄奘は遠征を何回か共にし、それ以前から何か因縁があるのだろうか。
「どうした? 何か言いたいことがあるか? 玄奘……それともその雲野郎かぁ?」
「正直に答えろ……これはミノルがやったんか!?」
「だったら何だ!? フハハハハハハ」
「てめぇ」
玄奘は今にも飛びかかろうかの戦闘態勢入り、ミノルも金棒を強引に引っこ抜き迎撃の準備。
しかし、玄奘を制止するのは意外に冷静なアタマカラ。
明らかに戦闘経験の差でこのままミノルと対決し、敗北するのは目に見え、仮に勝ったとしてもミノルは何か企んでいるに違いないことは確実。
だからこそ、この勝負を受ける訳にはいかない。RPGゲーム慣れしているからこそ分かる直感。
「離せアタマカラ」
「玄奘……どうしたんだ? 冷静になれ」
「何だと? こんな惨状を目の当たりにして冷静になる方がおかしいやろ!」
「それはそうだけど」
「フハハハハハハ……玄奘やめとけ……お前がこの俺様に勝てる訳がねぇ」
「!?」
「まあ顔馴染みのあるお前を殺すのは心が痛む……そこで提案だ……そこの雲野郎と俺様と勝負して俺様に勝ったらこの惨状の真犯人を教えてやるよ……」
「真犯人だと? ミノルがやったんやろ」
「フハハハハ……さてどうする雲野郎? 勝負を受けるか、あるいは受けずにここにいる全員皆殺しか選べ……フハハハハハ」
「アタマカラこんな勝負受ける必要はない! ミノルはワイが殺すんや」
やはり、ミノルが理不尽な要求をしてきたようだ。
さて、どうする。勝負を絶対受けないとは言ったたものの、状況は最悪。
ミノルは本気で全員を殺す気だろう。
すると、更なる女の子の悲鳴が真近に聞こえ、不意を付かれたと思った時には遅かった。
後ろから忍び寄ったオガがゴブリン妹の頭をわし掴みにし、鋭利な刃物を光らせる。
コブリン姉の怒りの表情で、斧で追い払おうとするが、ミノルの醜悪に満ちた一声で、その一死報いる反撃を断念せざる負えない。
「さぁぁぁぁぁぁ? どうする雲野郎!!??」
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