転生したらダンジョン雲になった訳

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1章魔獣になりましょう

32話野牛を倒せ

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 そして、沼地にてアタマカラと野牛が対峙した。 
 周囲の大半は野牛の勝利に疑いわない。
 数々の修羅場をぐぐり、何体もの強敵を打ち破ってきたのだから。
 よく知る蜥蜴炎兵も同様だった。自らの15番隊長として率いる隊の部下である将来を有望視された野牛が負けるはずがないと。
 いや、負けてはいけない。
 そうでなければ、この隊に明日からいないと非情な思いも持ち合わせていた。
 そして、両者の間で戦火の灯火が燃える。
 先手を打ったのは野牛。
 駆け引きを考えず猪突猛進で鉈を手に襲いかかる。
  へばりつく泥を強靭な足腰で全てを追い払い、大きく腕を振り上げ、斜めと振り下ろす。
 しかし、一瞬の雲集霧散によって、攻撃は霧が分散しただけだった。
 この高度な回避に野牛だけでなく、周囲も驚き、称賛するものもちらほら。
 だが、大半が回避したのはまぐれと囃したてる。 
 そんな声を掻き消すようにアタマカラは霧散した先で、分身のスキルを発動させ、雲人間を四体変化させ、同時の雲の拳で勝機を賭ける。
 そして、そのまま雲の拳が顔や腹に直撃し、野牛がうぅと少し唸るも、ニタリと笑い、強靭な肉体が突如として倍化し、血管が凄まじく浮き上がり、鉈を円状に振り回す。
 咄嗟に苦し紛れのアタマカラは雲集霧散で何とか回避する。
 しかしながら、その回避した先で休憩《インターバル》の実体が戻ることを予測していた野牛がアタマカラの背後を取り、鉈の斜め斬りを炸裂させ、押しの足蹴で腹を蹴り後ろへと追いやり、激痛で硬直状態にさせる。

「はぁはぁはぁはぁ……」

「なかなかやるな……お前……これだけオレとやれるなら相当だ」

「そうか……じゃ俺もまだまだ弱いってことか」

「随分威勢が良いなぁぁあ!!」

 
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