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1章魔獣になりましょう
36話悲しみの羊
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羊女は酷い傷によって衰弱をしていたが、玄奘の回復スキルによって何とか一命は取り留めた。
さらに、アタマカラが勝利したことによって、傷も癒え、背中にある奴隷契約の印は消えさり、晴れて自由の身となった彼女。
じっと見ると人間の美女と見間違えてしまうくらいの美貌。
クリーム色で少しカールがかかった髪の毛と同化するミルク色の肌。
しかしながら、彼女の受けた傷は肉体だけではなく、精神にも深い傷を負った。
そのため、鳥や森の囁きに挙動不審に怯え、透き通った青色の焦点は合わず、一言を発する度にか細く、掠れ、震える。
「あ……あ……あ」
アタマカラは彼女の状態を思い、優しい言葉を掛け、先程の経緯を懇切丁寧に説明し、首を振ると奴隷から解放されたのだと再三に渡り訴え、早く家族の元へ帰りなさいと促した。
そして、ようやく理解したのか彼女は頷き、一呼吸置いた後、突如泣き出した。
一方、我慢の限界とばかりに少し気性の荒い玄奘は苛立ちを示す。
それから、アタマカラがこの涙の意味に困惑しつつも、これまで以上に優しく問い掛ける。
「何か分からないことがあるの?」
「な……い」
「なら早く家族のところへ帰った方がいい」
さらに、アタマカラが勝利したことによって、傷も癒え、背中にある奴隷契約の印は消えさり、晴れて自由の身となった彼女。
じっと見ると人間の美女と見間違えてしまうくらいの美貌。
クリーム色で少しカールがかかった髪の毛と同化するミルク色の肌。
しかしながら、彼女の受けた傷は肉体だけではなく、精神にも深い傷を負った。
そのため、鳥や森の囁きに挙動不審に怯え、透き通った青色の焦点は合わず、一言を発する度にか細く、掠れ、震える。
「あ……あ……あ」
アタマカラは彼女の状態を思い、優しい言葉を掛け、先程の経緯を懇切丁寧に説明し、首を振ると奴隷から解放されたのだと再三に渡り訴え、早く家族の元へ帰りなさいと促した。
そして、ようやく理解したのか彼女は頷き、一呼吸置いた後、突如泣き出した。
一方、我慢の限界とばかりに少し気性の荒い玄奘は苛立ちを示す。
それから、アタマカラがこの涙の意味に困惑しつつも、これまで以上に優しく問い掛ける。
「何か分からないことがあるの?」
「な……い」
「なら早く家族のところへ帰った方がいい」
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