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1章魔獣になりましょう
45話人間が嫌い
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その時、洞穴の奥から魔獣の獰猛な声が聞こえた。
鬼童子の冷静な表情で後ろを向いた。
一方、アタマカラは雨降る外から巨大な熊が金色両眼で睨みながらやってくるのを凝視する。
その体長と幅から何から何まで大きい。
何よりもその巨躯に何万倍もの魔力を凝縮しているであろうと感じることは容易。
漲る雷の魔力をバチバチと発し、周辺の木々を刃のように斬り倒していく。
倒木は黒焦げとなり、威力の凄まじさを物語る。
この怪物こそ百熊一族のボスである恐熊《アラカンタラ》。レベル400。
雷の魔力と高い攻撃力で相手を死の淵へと追いやる怪物。
右顔から手までに鉄製防具を装備し、そこから何千万ボルト雷の剣を所持し、それを自由自在に使用し、全てをなぎ倒す。
咆哮をした後、低音で、がらがらとした耳障りの声を発する。
「おや? 鬼団の下っ端の皆様方ですかな?」
「……だったら?」
恐熊は絶望的な状況にも関わらず挑戦的なアタマカラが滑稽に思え、嗤い出す。
同時に洞穴に潜んでいた舎弟熊達も奇怪に嗤い出す。
およそ5頭が眠るカイザー達を襲おうとしている。
アタマカラは闘ってやるとは思っていたが、いざあの巨漢の熊を相手にするとなると、一人では心許ない。
カイザーが目を覚ましてくれれば別だが、一向にその気配がない。
最後の頼みの綱として、鬼童子に助けを求めたが。やはり断られた。
それは敵とかそういう問題ではなく、先程カイザー達を眠らせる原因を作ったスキルで、ほとんどの魔力を失ってしまい、戦闘不可避ということだ。
また、問題はそれだけではない。
本来、こちらの依頼は恐熊の暗殺ということ。
ただし、それは鬼団が実行したということを必ず悟られないという条件があった。
もし、暗殺をしくじり、鬼団の仕業ということが発覚すれば、百熊一族と鬼団の全面抗争となり、大惨事を招く。
それは、鬼団にとって最も避けがたいことだった。
しかしながら、現にこの暗殺計画は既に百熊一族の知るところで、こうして逆襲が始まっているのだ。
どうすれば良いのだ。
すると、追手の熊一頭が恐熊に何か伝達をする。
恐熊は再び、嗤う。
それは、企みが成就したかのような表情だった。
「……羊女《シエラ》……分かってるでやんすか?」
なぜその名を……と言い切ろうとした瞬間、アタマカラの背中に鋭い痛みを覚え、頭がくらっとして前へ倒された。
アタマカラは痛みに耐えながら、刺した者を見上げる。
どうして君がこんなことをしたんだと疑問が何度も埋め尽くす。
一方、シエラは血に塗られたナイフを右手に持ち、陰影な目をし、狂気に満ちた笑いをする。
完全にこの羊女が刺したということが明らかになった。
鬼童子の冷静な表情で後ろを向いた。
一方、アタマカラは雨降る外から巨大な熊が金色両眼で睨みながらやってくるのを凝視する。
その体長と幅から何から何まで大きい。
何よりもその巨躯に何万倍もの魔力を凝縮しているであろうと感じることは容易。
漲る雷の魔力をバチバチと発し、周辺の木々を刃のように斬り倒していく。
倒木は黒焦げとなり、威力の凄まじさを物語る。
この怪物こそ百熊一族のボスである恐熊《アラカンタラ》。レベル400。
雷の魔力と高い攻撃力で相手を死の淵へと追いやる怪物。
右顔から手までに鉄製防具を装備し、そこから何千万ボルト雷の剣を所持し、それを自由自在に使用し、全てをなぎ倒す。
咆哮をした後、低音で、がらがらとした耳障りの声を発する。
「おや? 鬼団の下っ端の皆様方ですかな?」
「……だったら?」
恐熊は絶望的な状況にも関わらず挑戦的なアタマカラが滑稽に思え、嗤い出す。
同時に洞穴に潜んでいた舎弟熊達も奇怪に嗤い出す。
およそ5頭が眠るカイザー達を襲おうとしている。
アタマカラは闘ってやるとは思っていたが、いざあの巨漢の熊を相手にするとなると、一人では心許ない。
カイザーが目を覚ましてくれれば別だが、一向にその気配がない。
最後の頼みの綱として、鬼童子に助けを求めたが。やはり断られた。
それは敵とかそういう問題ではなく、先程カイザー達を眠らせる原因を作ったスキルで、ほとんどの魔力を失ってしまい、戦闘不可避ということだ。
また、問題はそれだけではない。
本来、こちらの依頼は恐熊の暗殺ということ。
ただし、それは鬼団が実行したということを必ず悟られないという条件があった。
もし、暗殺をしくじり、鬼団の仕業ということが発覚すれば、百熊一族と鬼団の全面抗争となり、大惨事を招く。
それは、鬼団にとって最も避けがたいことだった。
しかしながら、現にこの暗殺計画は既に百熊一族の知るところで、こうして逆襲が始まっているのだ。
どうすれば良いのだ。
すると、追手の熊一頭が恐熊に何か伝達をする。
恐熊は再び、嗤う。
それは、企みが成就したかのような表情だった。
「……羊女《シエラ》……分かってるでやんすか?」
なぜその名を……と言い切ろうとした瞬間、アタマカラの背中に鋭い痛みを覚え、頭がくらっとして前へ倒された。
アタマカラは痛みに耐えながら、刺した者を見上げる。
どうして君がこんなことをしたんだと疑問が何度も埋め尽くす。
一方、シエラは血に塗られたナイフを右手に持ち、陰影な目をし、狂気に満ちた笑いをする。
完全にこの羊女が刺したということが明らかになった。
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