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1章魔獣になりましょう
46話失態
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「ふふふ……あなたがいけないのよ」
「どうして……どうして」
「あなたが人間の臭いを漂わせてるからよ」
「それは……」
アタマカラは激しい背中の痛みで言葉はおろか、意識すらはっきりしない。
一方、鬼童子は驚きはなく、ただ冷静に事の次第を収集に努めようとする。
「ヤハリ……キサマモ……クマイチゾクノスパイか……」
「……」
「アノトキ……コロシテオケバヨカッタ」
しかし、鬼童子には答えない。
百熊一族達も鬼童子の能力は熟知しているため、いないかのように扱っている。
そして、シエラが起き上がろうとするアタマカラの右手を踏み、再起を妨害する。
「あなたを殺さないと……私が殺されちゃうの」
「俺が……助け」
「気持ち悪い……人間になんて助けられたくないの!!」
シエラはしゃがみこみ、狂気の顔で訴え、ナイフでアタマカラの背中を何度も刺し、その傷口から苦しみの叫ぶ声を響かせた。
アタマカラが動こうとする度に何度も何度も、凶器のナイフを振り下ろして、血肉まで刺し、血飛沫を発生させる。
シエラの人間への恨みはどこまでも深く、アタマカラが知らない辛い過去なのだろう。
きっと、彼女は誰からも救われず今まで生きてきたのだろうか。
だとしたら、彼女を責めるのは違うだろう。
それはこのような彼女にさせてしまった奴に裁きを下すべきだ。
そんな彼女を救いたいと訴えるも、反発してその良心を打ち消すかのように続けられる異常な憎しみの斬撃。
右手を動かせば、右腕を。
左手を動かせば、左腕を。
あらゆる神経を駆逐し、器官を全て破壊しようと、目を背けたくなる程の殺戮。
「やっぱりあなた人間なのね!! フフフフ」
「あああああ!!……やめ……」
「痛い?」
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「フフフフフ」
「シエラ……」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
その時、その狂気に満ちた叫び声でやっとカイザーが目を覚ました。
今起きてる現状を確認しようとするが、頭が追いつかない。
一体何が起きたと必死の形相で叫ぶも、返答するのは金色を光らせる恐熊。
「……てめら15番隊はここで全滅することになったでやんす。もちろん鬼団の了承も得たでやんす」
「何だと」
「ハハハ……つまり売られたでやんす……てめぇらは……ハハハハ……残念隊長殿」
恐熊はカイザーの絶望の姿に腹を抱えて嗤い出す。
おかしくておかしくて仕方がないのだ。
追い討ちを掛けるようにして、鬼童子が厳しい目つきで付け足す。
「以前から鬼団上層部ではオマエの単独行動が問題視され……不要論が出ていた……カイザーは内部の情報を知り過ぎているため脱退させることはできなかった。そこで、危険因子として抹殺することが決定した。よってこの恐熊暗殺依頼を企てた……上層部は成功しない……無謀な依頼だと分かりきっていた……だからここでせめて功労者として称え、殉職という形で葬り去ってやろうと決めた……」
「どうしてだ……うちは鬼団のために……うぅうぅぅぅ……ああああああ」
「キサマハ……身勝手過ぎた……だから鬼団に裏切られた」
「どうして……どうして」
「あなたが人間の臭いを漂わせてるからよ」
「それは……」
アタマカラは激しい背中の痛みで言葉はおろか、意識すらはっきりしない。
一方、鬼童子は驚きはなく、ただ冷静に事の次第を収集に努めようとする。
「ヤハリ……キサマモ……クマイチゾクノスパイか……」
「……」
「アノトキ……コロシテオケバヨカッタ」
しかし、鬼童子には答えない。
百熊一族達も鬼童子の能力は熟知しているため、いないかのように扱っている。
そして、シエラが起き上がろうとするアタマカラの右手を踏み、再起を妨害する。
「あなたを殺さないと……私が殺されちゃうの」
「俺が……助け」
「気持ち悪い……人間になんて助けられたくないの!!」
シエラはしゃがみこみ、狂気の顔で訴え、ナイフでアタマカラの背中を何度も刺し、その傷口から苦しみの叫ぶ声を響かせた。
アタマカラが動こうとする度に何度も何度も、凶器のナイフを振り下ろして、血肉まで刺し、血飛沫を発生させる。
シエラの人間への恨みはどこまでも深く、アタマカラが知らない辛い過去なのだろう。
きっと、彼女は誰からも救われず今まで生きてきたのだろうか。
だとしたら、彼女を責めるのは違うだろう。
それはこのような彼女にさせてしまった奴に裁きを下すべきだ。
そんな彼女を救いたいと訴えるも、反発してその良心を打ち消すかのように続けられる異常な憎しみの斬撃。
右手を動かせば、右腕を。
左手を動かせば、左腕を。
あらゆる神経を駆逐し、器官を全て破壊しようと、目を背けたくなる程の殺戮。
「やっぱりあなた人間なのね!! フフフフ」
「あああああ!!……やめ……」
「痛い?」
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「フフフフフ」
「シエラ……」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
その時、その狂気に満ちた叫び声でやっとカイザーが目を覚ました。
今起きてる現状を確認しようとするが、頭が追いつかない。
一体何が起きたと必死の形相で叫ぶも、返答するのは金色を光らせる恐熊。
「……てめら15番隊はここで全滅することになったでやんす。もちろん鬼団の了承も得たでやんす」
「何だと」
「ハハハ……つまり売られたでやんす……てめぇらは……ハハハハ……残念隊長殿」
恐熊はカイザーの絶望の姿に腹を抱えて嗤い出す。
おかしくておかしくて仕方がないのだ。
追い討ちを掛けるようにして、鬼童子が厳しい目つきで付け足す。
「以前から鬼団上層部ではオマエの単独行動が問題視され……不要論が出ていた……カイザーは内部の情報を知り過ぎているため脱退させることはできなかった。そこで、危険因子として抹殺することが決定した。よってこの恐熊暗殺依頼を企てた……上層部は成功しない……無謀な依頼だと分かりきっていた……だからここでせめて功労者として称え、殉職という形で葬り去ってやろうと決めた……」
「どうしてだ……うちは鬼団のために……うぅうぅぅぅ……ああああああ」
「キサマハ……身勝手過ぎた……だから鬼団に裏切られた」
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