転生したらダンジョン雲になった訳

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1章魔獣になりましょう

48話四鬼の思惑

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 暗黒世界墓地。
 魔獣の巣窟として知られる大闇の森林を抜けると、そこには何千メートルあろうか高さと幅のある長方形の大墓石がある。
 まるで黒い巨塔が倒れているようにも見える。
 その墓石の周りにはツタや苔が侵食し、こびりついている。
 周辺は骸骨の頭や半身付随のミイラや、古びた剣や血に染まった盾が無造作に置かれている。
 また、先程戦闘が行われていたであろう冒険者の亡骸が手を上げたまま、黒い塊になっていて、どっと崩れ落ちた。
 その様が面白かったのか魔獣の叫び声がどこからともなくする。
 そして、不気味に染まった赤黒い空模様、わだかまりのある雲の流れ。
 その下の元で墓石の頂上で黒い影を漂わせて鬼団上層部、四鬼《シキ》が豪奢の椅子に座り、話をしていた。
 恐ろしい両眼と莫大な魔力を背に四体の鬼の称号を持つ魔獣が一同に対峙する。
 その真ん中には地獄の赤い海を漂わせた円卓。何千度あろうか分からないマグマが沸々に煮えたり、まるで四鬼の首を欲しがっているかのように波立っている。
 対して四鬼はその様を興じるかのように手を当てたり、引いてたりし、不気味に嗤う。
 鬼団序列第四位である現四鬼の酒呑鬼《バルトロキア》。
 大きな影が揺れ、野太く、腹から声を出す。

「どうやらカイザーは死んだようだぁ……呆気ないな……クッカカカカカカ」
 
 鬼団序列第三位である現三鬼の閃光馬《ロシュラン》。
 縦に流れるような格好の良い影が口を挟む。

「殺すに惜しい人材だと思いますがね……」

「何を言ってんだだぁ? あいつは生意気だから死んで当然だぁ?」

「生意気という問題で必要不要を判断すべきではない」

「なんだとこらぁ?」

「もういい! それ所ではないはすだ!」

 一喝をするのは鬼団序列第二位である現ニ鬼のカオナシ。
 人間体の影がゆらゆらと漂い、重みのある、中年男の声。
 即座に現三鬼は平伏す。
 一方、四鬼は腕を組み、興奮を抑えられない。

「申し訳ありません」

「分かってらぁ」

「我々の当初の目論みが失敗していることを問題視しなければならない……表立ってはガイザーの暗殺であるが、本来は鬼童子の抹殺……当初は恐熊がガイザーと共に鬼童子を殺る手筈だったはず……しかし、結果は逃げられた」

「どうやら恐熊が鬼童子との戦闘を拒否したようです」

「やはり闘牛と肩を並べる恐熊でも鬼の子に敵わぬか……だが、おかしい。恐熊は鬼童子と面識はなかったはず……故に能力を知る由は無かったはずだ」

「どうやら部下の中に鬼童子の能力を知り得る者がいたようです」

「そうか。あわよくば恐熊と鬼童子共に相討ちを願っていたがそう簡単にはうまくはいかないものか」

「しかしながら、鬼童子とその他一体が魔力を使い果たし、逃げ出した模様です」

「それは朗報だ……」

 その企みは成功したと不敵に笑い合うが、そこへ鬼団一鬼ボスである悪魔鬼《デモニオ》が凄みのある声で水を差す。
 畏れの陰翳を漂わせ、三獣の士気を強制的に高まらせる。
 高い統率力の能力を発揮し、圧巻の魔力で震撼させる。

「15番隊は全滅と言ったはずだが?」

「それは……申し訳ございません。ですが、取り逃がしたと言っても隊には関係のない雲の魔獣でこざいます」

「全滅せよと命じたはずだ!」

「はっ……善処致します」
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