転生したらダンジョン雲になった訳

一色

文字の大きさ
58 / 177
1章魔獣になりましょう

58話予想外

しおりを挟む
 その瞬間、恐熊の雷の横殴りがアタマカラの右顔側面に直撃し、吹き飛ばす。
 光が強烈に煌めき、あまりの威力で、周囲に鳥のような形状の電気が迸る。
 アタマカラは地面に背中を強く殴打し、荒れたった地面にごろごろと転がり、草や土まみれになる。
 やはり、恐熊の攻撃力、魔力、敏捷力は恐ろしい程高い。
 そこいらの強いと云われる魔獣と比べると、この恐熊は桁外れの強さだ。
 あの、鬼の子である鬼童子よりも強いと感じる。
 長年の野生の培った、修羅場を幾度も潜り抜けてきたであろう強さ。
 それはこの短時間の戦闘だけで分かる。
 危険だ。
 攻撃はまだ終わらない。
 恐熊は休憩させてはならないと判断し、全速力で地面を駆け、迫っていき、突如として雷の魔力を全身に発揮させ、光明する。

【雷獣《ライジュウ》】
 雷の魔力を惑わせ、魔力、攻撃、敏捷力を更に高める。

 それは光の如し速さで進む、雷の猛獣が翔け、目を見張るアタマカラに強烈な雷電《ライボルト》を全方位360度に発生させ、怒りのアッパーを顎へとぶち込む。
 あまりの衝撃で白目を剥き、空に吹っ飛ばされる。
 反撃もできず、回避も、声さえも出ず、あまりの衝撃で気絶寸前。
 離れて戦闘を黙視する村人は強過ぎると声を漏らす。

「ハハハハハハ。まだまだでやんす」

 攻撃は止まらない。
 雷猛獣の咆哮と共に、光の一本線が屈折をしながら、跳び、獲物を通り過ぎた瞬間、そこで回転して、溜まった雷と共にアタマカラの腹に脚をぶち込む。
 その瞬間、驚嘆する他ないの衝撃と光とともにアタマカラは地面へ落下した。
 たなびく爆発と強風が周囲の草原を襲う。
 雷猛獣は下を見るが、すぐさま上を見た。
 強烈な攻撃をした瞬間、アタマカラの微細な雲を上へ上昇させ、実体を2体創造した雲の分身。
 気迫の籠もった二撃を炸裂させる。
 強烈な2つの拳が雷猛獣の顔面を襲い、直撃した。
 だが、直撃したものの、雷猛獣の分厚い顔面にはその拳程度では通用しなかった。
 その時、雷猛獣はニ体の手首をがっしりと掴み、その場で回転しながら、更なる上へと吹き飛ばす。
 離れた瞬間、アタマカラは何か策を講じようと判断するが、もう既に遅かった。
 雷猛獣は次の攻撃に移り、雷弾《サンダン》の巨大な雷の玉がアタマカラの全身を襲い、直撃した。
 回避する術はなかった。
 攻撃から次の攻撃への展開力、的確な位置と、発射、全ての戦闘力で雷猛獣が上だった。
 そして、アタマカラは既に戦意は無く、ボロボロになり、気絶した瞬間、地面へと悲しく落下した。
 やがて、正常に戻り、草原に降り立った恐熊は吐き捨てる。

「まだまだ手前と勝負するにはまだ若かったようでやんすな……ハハハハハ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

悪役令嬢ではありません。肩書きは村人です。

小田
ファンタジー
 6才までの記憶を失った村人の少女ルリが学園に行ったり、冒険をして仲間と共に成長していく物語です。    私はポッチ村に住んでいる。  昔、この村にも人が沢山いたらしいけど、今はだいぶ廃れてしまった。  14才を迎えた私はいつも通り山に薬草採取に行くと、倒れている騎士を発見する。  介抱しただけなのに、気付いたら牢屋に連れて行かれていた!?  どうしてだろう…。  悪いことはしていないのに!

処理中です...