転生したらダンジョン雲になった訳

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1章魔獣になりましょう

111話閃光馬と対決

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 そこには白いもくもくとした雲の魔獣がぐったりとした黒髪の女を抱えていた。
 アタマカラが流れる煙を纏い、何かを悟った黒い両眼。
 虫女は今にも消え入りそうな表情で、アタマカラの頬に手を掛け、妖艶に笑った。

「素敵」

 そして、虫女は気絶した瞬間、黒い虫へと変貌し、アタマカラの右肩に止まった。
 その後、アタマカラの視線は自ずと怒りの寄り目になった閃光馬へと向けられた。

「俺はお前らを倒しに来た……雲は消えても、また、存在して、流れ続けなければならないから」

 閃光馬は怒りと同時に、今が何かが起きたのか状況を整理していた。
 あの光のクラスの攻撃は完全に回避できない速度だったはず。
 完全に仕留めたと思った。
 しかし、現実は目の前にいる奴が虫女を救い出し回避した。
 自身の光よりも、早い奴が存在するのかという驚きが生じる。
 いや、これは驕りではない。
 光よりも、早いものなど存在しない。
 それに今だかつて、光の攻撃スピードが原因で打ち損じた経験は無い。
 このような屈辱感を味わったのは初めてだ。
 自らの得意な自負した力が他者よりも劣っていると証明されることをこうまざまざと見せられるとは……。
 耐えられない。

「お主を殺す」
 
 突如として、閃光馬は光の拳を両手に携え、アタマカラ目掛けて、襲いかかる。 
 刹那の瞬間、光の馬が一歩、二歩で跳び上がり、拳を振り上げ、下ろした。
 回避不可避のスピード。
 だが、その攻撃は幻に終わり、雲の幻影が煙になって消えていく。
 光を超える異常な速度に閃光馬は驚愕する。 
 一時、アタマカラは背後を取り、消えた雲を再生し、閃光馬の全身を捉える。
 やがて、白い雲はどす黒い雲へ変色し、完全に閃光馬の身動きを封じる。
 体内から莫大な光の魔力を放出し、もがいても、蜘蛛の糸のように何度となく身体にへばりつき、逃さない。
 そして、アタマカラは閃光馬に巻きついた雲を残し、分離し、全身から雷の六芒星の陣を構築し、放つ。

【大六雷雲《ダイロクライウン》】
 高火力な雷を放つ。威力は災害レベル。
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