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1章魔獣になりましょう

新たなる殺戮者達

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 少女達の小さないざこざは奇妙な女の一振りで静まり返った。
 裂帛の男の声と、短い斬撃音が鳴り、銀色の横一筋が醜い少女達の首を斬り、顔を宙へ上げ、無惨な落下となる。
 幸いにも銀髪の天使はその斬撃にはならなかったが、絶句し、崩れ落ち、その攻撃の一部始終の直視を強制を余儀無くされる。
 一筋の斬撃はそれでは治まらず、強靭な木々にまで貫通し、轟々となる音を伴い倒木し、頑丈な岩は真ん中に貫通され、枝分かれの亀裂で、崩壊した。
 一方、子供達は顔面蒼白とし、恐怖で声を出すことは出来ない。
 斬撃の主である蛇女は血に塗られた細い刀剣をぺろりと舐め、首を傾げ、表情は小悪魔のような不満顔となる。
 血の味が美味しくなったらしい。
 その艶のある白髪、透き通った白肌、蛇のような釣り上がった青い両眼、長いクネクネした舌。
 白い鱗で作られたドレスには血の一滴すら汚されてはいない。
 その瞬間、そのドレスは奇妙に蠢き、白い大蛇が露わになり、うわぁという嫌悪を上げた少年に死んだような黒い両眼が狙いを定め、シュルシュルと異常な速度で、その少年の目の前に進んでいく。
 蛇女は爪を噛みながら、小さな声、少女のような口調で呟く。

「むかつく」

 その瞬間、白い大蛇は口を大きく開け、少年を一気に飲み込んだ。
 あまりの驚愕の一瞬に、皆は絶句し、大半が気絶する。
 が、白蛇は死んだ者を食べる絶好の機会とばかりに、小さな子供達を飲み込んでいく。
 貪欲な食欲をまざまざと見せつけられ、小さな銀髪の少女は恐怖に怯え、後退ろうと試みるも、身体が動くことはできない。
 蛇女はその天使に首を傾げ、不満顔を向けたまま、残酷な宣告を告げる。

「あなたを探してたの」

 瞬間、蛇女は刀剣をその天使の少女に向けて、無情に投擲した。
 絶望的な恐怖に声を出すことが出来ない銀髪の天使の少女。
 ところが、多数の螢の妨害よって刀剣の軌道が逸れ、巨岩に衝突する。
 その見事な回避に、蛇女は両手をパチパチと叩く。
 称賛とは裏腹に白い蛇の容貌は苛立ちを体現するかのように身体中に光沢のある鱗が露わになる。
 渦の青い両瞳は人の心を無くし、獣のような憎悪の炎の渦に変わった。
 
「邪魔だね。虫」

 次の瞬間、木々に潜んでいた白い蛇の仲間達が一斉に飛び出し、強烈な牙で、螢達を丸呑みしようと襲いかかった。
 たが、それは猛烈な吹雪が、白蛇達を吹き飛ばした。
 蛇女は目をパチクリさせ、首を傾げる。 
 目の前に現れたのは白い鎧を装備した巨兵だった。
 霧が溢れ出し、勇姿の白い仮面が存在感を敵に知らしめる。
 巨兵は敵よりも先に、銀髪の天使の少女に、叫ぶ。

「逃げろ」
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