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2章英雄と龍魔王
盗賊のいいかがり
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「この国は七大国の一つ……グラード王国……。小国とは違い、恵まれた軍事、資源、人々があるわ。そして、この王国で、皇帝の次に絶大な権力を誇っているのが……七英雄団……あなたも冒険者なら……英雄まで登り詰めなさいよ」
「へぇ……英雄ね」
適当な相ずちを打ちながら聞いてると、急にレイナが上の時計を見て、不安そうな表情を見せる。
それにしても、はだけた衣服の隙から見える大きな谷間。
レイナはアタマカラの視線に気づいて、一瞬ムッとし、立ち上がる。
「ちょっと、外見てくる」
「そうか」
「言っておくけどね。婆さんと店の武器に手出したら、許さないからね」
レイナは強く釘を刺した後、華麗にカウンターを飛び越え、店の玄関まで走って行く。
走るなという注意書きがあるんだが。
まあ、活発な女の子だから仕方ないか。
やがて、時は一時間が経過し、アタマカラも睡魔に襲われ、うたた寝をするところだった。
はっと目を覚まし、周囲を見ると、老婆は居なく、ただ、時計の針の音が鳴っているだけだった。
突如、男の怒鳴り声が外から聞こえてきた。
アタマカラは気になって、店の玄関の方へと向かう。
「何だ一体?」
※
「何遍も言ってるが、あんたに売る武器は無いんだ!」
「あぁ? てめぇふざけんじゃねーよ。こっちは大金まで用意したんだぞぉぉぉ!」
「どうせ、弱いもんから強奪した金だろ!」
「てめぇぇ……女だからっていい気になりやがって」
額に傷のある、盗賊風の男が長い紫髪の少女レイナの胸倉を掴む。
男は、大柄で、凶暴な筋肉を持っている。
威勢は良いが、明らかに細身のレレイナでは勝ち目は無い。
男はレイナの全身を舐めるように見て、小さく笑った後、背後にいた二人組の仲間に合図をする。
一方、レイナは何かを察して、顔を歪める。
それは、犯せの合図と受け取り、二人組の男はニヤニヤと笑い、光るナイフを取り出す。
次の瞬間、盗賊の男が手始めに、胸元の服を破ろうと力を入れようとする。
が、盗賊の男は白い拳に顔面を強打し、地面に吹き飛ばされた。
野次馬達の悲鳴や、盗賊への笑いが聞こえる。
盗賊の男は右頬に血を拭きながら、目の前に突如現れた白い鎧の者を睨む。
「いってぇぇ……な……てめぇぇ……」
「手が滑った……悪かったな」
アタマカラは倒れそうになるレイナを支え、背後に下がらせた。
思わぬ登場に目を見張るレイナ。
「あんた……どうして」
「茶菓子のお礼だ」
とそんなに息を撒いたものの、こちらには戦う道具を無い。
だから、素手でここを乗り切るしかない。
だが、果たして、この三人組の盗賊達を追い払えるのだろうか。
そして、三人組の盗賊の男達はナイフを光らせ、戦闘態勢をとる。
盗賊の男は逞しい髭を触りながら、アタマカラを品定めするような目つきをする。
「おぉ? 何だヒーロー気取りか?」
「世話になった人には礼をしろって両親から言われてな」
「ふははは……ガキみてぇなこと言ってんじゃねぇぇぇぇ!」
次の瞬間、盗賊の男がアタマカラ目掛けて襲いかかってきた。
だが、思った以上に遅く感じ、ナイフの起動が読める。
カーブを描き、中央で上に来たのをアタマカラはひょいと回避する。
「あっ……くそっ」
「へぇ……英雄ね」
適当な相ずちを打ちながら聞いてると、急にレイナが上の時計を見て、不安そうな表情を見せる。
それにしても、はだけた衣服の隙から見える大きな谷間。
レイナはアタマカラの視線に気づいて、一瞬ムッとし、立ち上がる。
「ちょっと、外見てくる」
「そうか」
「言っておくけどね。婆さんと店の武器に手出したら、許さないからね」
レイナは強く釘を刺した後、華麗にカウンターを飛び越え、店の玄関まで走って行く。
走るなという注意書きがあるんだが。
まあ、活発な女の子だから仕方ないか。
やがて、時は一時間が経過し、アタマカラも睡魔に襲われ、うたた寝をするところだった。
はっと目を覚まし、周囲を見ると、老婆は居なく、ただ、時計の針の音が鳴っているだけだった。
突如、男の怒鳴り声が外から聞こえてきた。
アタマカラは気になって、店の玄関の方へと向かう。
「何だ一体?」
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「何遍も言ってるが、あんたに売る武器は無いんだ!」
「あぁ? てめぇふざけんじゃねーよ。こっちは大金まで用意したんだぞぉぉぉ!」
「どうせ、弱いもんから強奪した金だろ!」
「てめぇぇ……女だからっていい気になりやがって」
額に傷のある、盗賊風の男が長い紫髪の少女レイナの胸倉を掴む。
男は、大柄で、凶暴な筋肉を持っている。
威勢は良いが、明らかに細身のレレイナでは勝ち目は無い。
男はレイナの全身を舐めるように見て、小さく笑った後、背後にいた二人組の仲間に合図をする。
一方、レイナは何かを察して、顔を歪める。
それは、犯せの合図と受け取り、二人組の男はニヤニヤと笑い、光るナイフを取り出す。
次の瞬間、盗賊の男が手始めに、胸元の服を破ろうと力を入れようとする。
が、盗賊の男は白い拳に顔面を強打し、地面に吹き飛ばされた。
野次馬達の悲鳴や、盗賊への笑いが聞こえる。
盗賊の男は右頬に血を拭きながら、目の前に突如現れた白い鎧の者を睨む。
「いってぇぇ……な……てめぇぇ……」
「手が滑った……悪かったな」
アタマカラは倒れそうになるレイナを支え、背後に下がらせた。
思わぬ登場に目を見張るレイナ。
「あんた……どうして」
「茶菓子のお礼だ」
とそんなに息を撒いたものの、こちらには戦う道具を無い。
だから、素手でここを乗り切るしかない。
だが、果たして、この三人組の盗賊達を追い払えるのだろうか。
そして、三人組の盗賊の男達はナイフを光らせ、戦闘態勢をとる。
盗賊の男は逞しい髭を触りながら、アタマカラを品定めするような目つきをする。
「おぉ? 何だヒーロー気取りか?」
「世話になった人には礼をしろって両親から言われてな」
「ふははは……ガキみてぇなこと言ってんじゃねぇぇぇぇ!」
次の瞬間、盗賊の男がアタマカラ目掛けて襲いかかってきた。
だが、思った以上に遅く感じ、ナイフの起動が読める。
カーブを描き、中央で上に来たのをアタマカラはひょいと回避する。
「あっ……くそっ」
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