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2章英雄と龍魔王

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 そして、玄関に明かりが唐突に光り、ネコルンはアタマカラに入るように促す。
 重厚な白い扉が視界に入る。

「すいません」

 室内はびっくりするぐらい静かで、誰も住んでいないと思えるくらいだ。
 もしかしたら、家の人は寝ているのかもしれない。
 まず、西洋風の広めの玄関に迎えられ、天井のシャンデリアが悲しく光っている。
 右側の薄暗い螺旋階段を登っていく。
 階段は幅が大きく、赤い絨毯が敷き詰められ、一般の家にはまず無いだろうと思える。
 それは、真新しいとは感じず、幾年か経過していると見られる。
 また、大きな巨大な窓から暗闇の外が映し出しされ、遠くにある尖塔が不気味に光り、家々の電光が散らばっているのが見える。
 階段を上がり終わると、そこに艶やかな長い銀髪をしたロリ顔の美女が眠っていた。
 眠る妖精。いや、眠る天使のようだ。
 パジャマ姿と見られる白い衣服を来て、壁に寄りかかりながらずっと待っていたようだ。
 その姿に可愛いと思ったのはアタマカラだけではない。
 ネコルンも目を細め、静かに微笑する。

「夜遅くまで待っていたのね」

「あの子って確か、今日キノコ駆除を手伝ってくれた……イリス」

「そうよ。それで、この家主があの子よ」

「え? じゃああの子がただでこの家に泊めてくれるの?」

 ネコルンはピクッとし、ちょっと待ったのポーズ。

「条件があるんだけど」

 アタマカラは小さく苦笑混じりに、頷く。

「それも……そうか」

「泊める代わりにイリスと一緒に冒険に行って欲しいの」

「冒険?」

 疑問に思うアタマカラ。
 
「そう。あの子いつも一人だから……心配なの」

 ネコルンのイリスを見つめる黒い両眼は母親のような、とても悲しげで、心配する気持ちが伝わった。
 ネコルンは流れる髪を掻き分け、アタマカラに再度をお願いする。

「いいかな?」

「自分は行くところは無いですし、構いませんよ」
 
 でも、なぜ、ろくに支援できそうにない自身なのかと聞こうと思ったが、ネコルンは先に行ってしまった。
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