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高火力に転生したけど、コントロールがダメでした 4話
しおりを挟む「儂はモーセス、この魔法学院の学院長じゃよ」
白髭をたくわえたおじいさんは、予想通り学院の一番偉い人だった。
「は、はじめましてハレルです!」
僕はびしっとしせいを正しくして名乗る。
「ははは、そんなに緊張しなくても大丈夫。
ピリポからの報告で君のことは知っているよ。
習ったこともないのに魔法を使ったそうだね」
「はい、その時のことはあんまりはっきり覚えていないんですけど……」
ポリポリと頬を掻きながら答える。
「ハレルよく聞きなさい。
君のように習ったこともないのに魔法を使える子供は、珍しい例ではない。
けれど、そのみんなが君のように五体満足でいられるとは限らないんだ」
深刻な、それでどこか憐れむみたいな声でモーセス学院長は言った。
「それって、ひょっとして、魔力が暴走して死んだりするからですか?」
僕は言われて思い当たった可能性を口にした。
両手を炭化させ半狂乱になってた僕だけど、
この世界の他に僕と同じような子供がいたとして、
その子供が全身炭化してしまってるのを想像して震えあがる。
「その通り。
君がそうならないよう、この学院に連れて来られるのは決定事項だった。
いいかい、ハレル。
人間は魔法に限らず自分が振るった力を生身で受け止めることができない。
力が強大になればなるほど、受け止める力を上回るのだよ。
君は、これからここで力を制御することを覚えなければならない」
「はい……」
モーセス学院長の諭すような言葉に、神妙に僕はうなづく。
「ここで学べば、力とどう付き合って生きていくべきか、
力を何に使うべきか見つかるだろう」
「はい」
「さぁ、これで難しい話はここまでだ。
長旅で疲れただろう。
今日のところは宿舎で休みなさい」
モーセスさんはにこりと笑い、それで僕は肩の力が少しだけど抜けた。
「ピリポ、宿舎に案内を」
「わかりました」
モーセスさんに指示されると、ピリポさんは「こちらですよ」と言ってきびすを返した。
「失礼しました!」
僕はピリポさんの後を追いながら、退出の挨拶をし学院長室を去った。
それからまたあの鳥かご型のレベーターに乗ると、塔のあちこちを歩く。
あちこち……といっても、僕に土地勘がないからそう感じるだけで実は
一番まっすぐ向かってるかもしれない。
……迷子になりそうだけれど、道、ちゃんと覚えられるかな?
こうして見えてきた塔の一つを指さしてピリポさんは「あれが宿舎塔です」と言った。
説明されても正直、ほかの塔となにが違うのかまるでわからない。
宿舎塔の扉をくぐると、エントランスには受付カウンターみたいなものがあって、
そこにローブを来たやせた男性が座っていた。
「おっ、ピリポ。帰ってたか!」
「はい、新しく院生となる子を連れてきましたのでよろしくお願いします。
ハレル、こちらはシモン。
宿舎塔で院生たちの世話係をしています。
何か困ったことがあったら彼を頼るように」
「はい、えっと、ハレルです。よろしくお願いします!」
「ご丁寧にどうも。まっ、気軽にやっていこうや、よろしくな!」
シモンさんは、悪い言い方をするとかなり緩い感じで、
良く言えばきさくな感じでそうやって挨拶してきた。
「では、自室までの案内はシモンにお任せします」
「おいよ」
「あれ? ピリポさんはこれからどうするんですか?」
さっき、入ってきたばかりの扉を再びくぐろうとするピリポさんの背中に疑問を投げかけた。
「私はまた各地をまわる仕事に戻るのですよ。
学院内にいれば、また会うこともあるでしょう。
では、元気にやっていくのですよ?」
「は、はい。ピリポさんも気を付けて」
ピリポさんが去ってしまうと、途端に寂しくなってしまった。
短い期間とはいえ旅をしてきたのに、ずいぶんアッサリとした別れにちょっと薄情じゃないかと思った。
それが顔に出ていたのか、横でシモンさんが「ははは、あいかわらずだなー」と言った。
「アイツ真面目で切り替えが早いからな。冷たく見えるが別にそうじゃないんだ。
さて、部屋に案内してやる。
ついて来い」
僕はシモンさんにうながされ、歩き出した。
受付から少し歩くと、先ほどと同様のエレベーターがあり僕たちは乗り込む。
「『上昇』」
「あの、このコントローラー……じゃない、操作する装置ってどうやって使うんです?」
僕はこれから必須になるらしい鳥かごの操作方法を訊くことにした。
「ああ、わりぃわりぃ。そこから説明しなきゃだな。
これの操作に何か魔法を使う必要はねぇ。
この柱に手をかかざして『上昇』か『下降』って言えばいい。
ただ、目的の階まで自動ではないから、適切な高さで『停止』しないとダメだ」
「自動では止まってくれないんだ」
僕は操作柱を覗き込んでそうもらす。
「操作が心配なら、ちと大変だが通路の奥に階段もある。
そっちも後で案内するよ」
「はい、ありがとうございます。
あの、僕の部屋は何階なんですか?」
「八回だ。階段で行くには大変だが、眺めはいい場所だぞ?
ほら、つくぞ。
『停止』!」
シモンさんは流石慣れてるのか、ピッタリいい位置に鳥かごを止め、ささっと降りる。
僕も後に続いた。
到着した八階の廊下は、ビジネスホテルみたいにおんなじデザインのドアがずらりと並ぶ。
シモンさんは廊下をずんずん歩いていき、一番奥で右側のドアの前で立ち止まるとローブのポケットから鍵を取り出すと鍵穴に差し込んだ。
「一番端っこだ。わかりやすいだろ?
さぁ、ここが今日からお前の根城だ」
「わぁ!」
部屋の中は意外と広かった。
前世風の表現するなら六畳ほどの広さがあり、簡素なベッドと机と椅子、それから本のつまった本棚があった。
そして窓からは、学院全体が見渡せた。
その景色を見ると「いよいよこの学院で魔法を学ぶんだ!」という実感がわいてくる。
一体どんな授業を受けれるんだろう?
不安ももちろんあったが期待からくるドキドキの方がまさっている。
「絶対すごい魔法使いになるぞー!」
気合を込めずにはいられなかった。
つづく
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