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国境近くへ視察のため 二週間ほど家を空けた
「変わりなかったか」アランに聞く
「それが・・・」
「ん?」
「旦那様 申し訳ありません」とアランが頭を深く下げる
「何があった」思ったより低い声が出てしまった
アランが下を向いたまま答える
「ロクの調子がよくないのです 食事を受け付けなくなってしまって 何を食べても吐いてしまう
夜眠れないようで 眠れてもすぐに魘されて起きてしまいます
ソウテツ先生に来ていただいて ずっと見ていただいたのですが・・・
ロクが自分の足の腱を斬ってしまいました・・・」
「ああ おかえり」ソウテツが玄関まできた
薬で眠らせたから 見ててやってくれと アランに言う
「はい」とアランが部屋へ向かった
アランの背中が小さく見える
ちょっとこっちで話そうと庭に連れ出された
「何があった 薬で眠らせてるって 腱を切ったって」
「ああ そうでもしないとひどく魘される」
「何があった どう言う事だ 何でだ 何があった」
掴みかかりそうな勢いで ソウテツに言った
「石を投げられたそうだ ミアと買い物へ行ったとき 護衛にはクリスが付いてたんだがな」
立つだけで精一杯のロクは 外へ行くときなど車椅子を利用していた
狭い店だったので ロクは外で待っていた時 クリスは道を尋ねられて少し目を離したと言っていた
小さな男の子が いきなりロクに石を投げて 『父ちゃんを返せ』と
俺の父ちゃん殺したのおまえだろ 俺の父ちゃんは死んだのに
なんでお前は生きてんだ とロクを押して その子は逃げて行ったらしい
ロクは車いすごと倒れた 体は打ち身だけだったんだが
次の日からだんだん調子が悪くなった ロクは何ともないと言ってたがな
おまえに連絡しようかとも言ったんだが 大丈夫 テオの邪魔になりたくないと言ってな
不安定なのはわかっていたから 目を離さないようにしてたんだ」
ソウテツの顔が歪む そして息をひとつ吐いて
「 自分の右足の腱を斬ったんだ 」
なんでこんなことしたって聞いたら
『前までなら 死ぬの怖くなかったんだ でも今は 死ぬのが怖い
死ななきゃいけないのはわかってるんだ 俺が生きてるのはダメなんだ
わかってる でも 怖いんだ みんなに会えなくなると思うと 怖いんだ
俺の足なんかで許されることじゃないけど でもどうしていいかわからない』
って泣くんだ まいったよ」
握りしめた手から血が流れる
明日の朝また来るから そばにいてやれよ と帰ろうとしたソウテツが
振り返って
「ああ クリスが ずっと私がそばにいたのに ってしけたツラでロクのそば離れないから
フェルに頼んで引き取ってもらった さっき連絡が来て熱出しで寝込んでるって
まあ あっちはフェルがいるし大丈夫だと思うが 声かけてっやてくれ」じゃあと帰って行った
空を見上げる 星が見える
『星がきれいって ここに来て初めて知ったんだ』と言っていたロクの顔を思い出したら
鼻の奥がツンとした 泣くわけにはいかない
何度でも伝えよう 俺はロクに生きていてほしい
世界中の人がロクが生きていることを許さないと言っても
俺はロクに生きていてほしいし 一緒に生きていきたい
生きようロク そして一緒に考えよう どうしたらいいのかを
ロクは俺の寝室で寝ていた 側にいたアランに声をかけ交代する
「アラン 城に連絡を頼む 俺は体調不良でしばらく休む
隊はヒューに指揮をとらせる あとは全部クリスに回せ
クリスに さっさと熱を下げて 俺の分まで働けと
文句は 国王に言えと伝えろと」
「はい」ではお願いしますと言って 部屋をでるアランを見送る
寝ている ロクの顔をみて
少し丸みが出ていた顔が 頬がこけている
「ロク ただいま 側にいてやれなくて すまんな」寝てるロクの頬をなぜる
二週間ぶりのロクの体温 やっぱり落ち着く
「一人にして悪かった また一緒に頑張ろうな」
深く眠っている
ロクを抱きしめて俺も眠った
次の日
「おはよう ロク よく眠れたか」
「テオ テオ」
小さな声で俺を呼んで ロクが手を伸ばしてくれる
それだけでも嬉しい
「ただいま 遅くなって悪かった」
しっかり手を握った
「変わりなかったか」アランに聞く
「それが・・・」
「ん?」
「旦那様 申し訳ありません」とアランが頭を深く下げる
「何があった」思ったより低い声が出てしまった
アランが下を向いたまま答える
「ロクの調子がよくないのです 食事を受け付けなくなってしまって 何を食べても吐いてしまう
夜眠れないようで 眠れてもすぐに魘されて起きてしまいます
ソウテツ先生に来ていただいて ずっと見ていただいたのですが・・・
ロクが自分の足の腱を斬ってしまいました・・・」
「ああ おかえり」ソウテツが玄関まできた
薬で眠らせたから 見ててやってくれと アランに言う
「はい」とアランが部屋へ向かった
アランの背中が小さく見える
ちょっとこっちで話そうと庭に連れ出された
「何があった 薬で眠らせてるって 腱を切ったって」
「ああ そうでもしないとひどく魘される」
「何があった どう言う事だ 何でだ 何があった」
掴みかかりそうな勢いで ソウテツに言った
「石を投げられたそうだ ミアと買い物へ行ったとき 護衛にはクリスが付いてたんだがな」
立つだけで精一杯のロクは 外へ行くときなど車椅子を利用していた
狭い店だったので ロクは外で待っていた時 クリスは道を尋ねられて少し目を離したと言っていた
小さな男の子が いきなりロクに石を投げて 『父ちゃんを返せ』と
俺の父ちゃん殺したのおまえだろ 俺の父ちゃんは死んだのに
なんでお前は生きてんだ とロクを押して その子は逃げて行ったらしい
ロクは車いすごと倒れた 体は打ち身だけだったんだが
次の日からだんだん調子が悪くなった ロクは何ともないと言ってたがな
おまえに連絡しようかとも言ったんだが 大丈夫 テオの邪魔になりたくないと言ってな
不安定なのはわかっていたから 目を離さないようにしてたんだ」
ソウテツの顔が歪む そして息をひとつ吐いて
「 自分の右足の腱を斬ったんだ 」
なんでこんなことしたって聞いたら
『前までなら 死ぬの怖くなかったんだ でも今は 死ぬのが怖い
死ななきゃいけないのはわかってるんだ 俺が生きてるのはダメなんだ
わかってる でも 怖いんだ みんなに会えなくなると思うと 怖いんだ
俺の足なんかで許されることじゃないけど でもどうしていいかわからない』
って泣くんだ まいったよ」
握りしめた手から血が流れる
明日の朝また来るから そばにいてやれよ と帰ろうとしたソウテツが
振り返って
「ああ クリスが ずっと私がそばにいたのに ってしけたツラでロクのそば離れないから
フェルに頼んで引き取ってもらった さっき連絡が来て熱出しで寝込んでるって
まあ あっちはフェルがいるし大丈夫だと思うが 声かけてっやてくれ」じゃあと帰って行った
空を見上げる 星が見える
『星がきれいって ここに来て初めて知ったんだ』と言っていたロクの顔を思い出したら
鼻の奥がツンとした 泣くわけにはいかない
何度でも伝えよう 俺はロクに生きていてほしい
世界中の人がロクが生きていることを許さないと言っても
俺はロクに生きていてほしいし 一緒に生きていきたい
生きようロク そして一緒に考えよう どうしたらいいのかを
ロクは俺の寝室で寝ていた 側にいたアランに声をかけ交代する
「アラン 城に連絡を頼む 俺は体調不良でしばらく休む
隊はヒューに指揮をとらせる あとは全部クリスに回せ
クリスに さっさと熱を下げて 俺の分まで働けと
文句は 国王に言えと伝えろと」
「はい」ではお願いしますと言って 部屋をでるアランを見送る
寝ている ロクの顔をみて
少し丸みが出ていた顔が 頬がこけている
「ロク ただいま 側にいてやれなくて すまんな」寝てるロクの頬をなぜる
二週間ぶりのロクの体温 やっぱり落ち着く
「一人にして悪かった また一緒に頑張ろうな」
深く眠っている
ロクを抱きしめて俺も眠った
次の日
「おはよう ロク よく眠れたか」
「テオ テオ」
小さな声で俺を呼んで ロクが手を伸ばしてくれる
それだけでも嬉しい
「ただいま 遅くなって悪かった」
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