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「ばあさん ここで何をしているんだ」
「何してるって ロクと話をしているんだ
お前こそ ロクを放っておいて何をしている」
俺は二人のやりとりを聞いていた
テオが俺の方を向く
「どうした 気分が悪いのか それとも…」
「少し気分が悪くなっただけです
大丈夫です 元帥は戻ってください」
「でもな」
「お戻りください 元帥閣下」
仕事は仕事 テオの邪魔はしたくない
「心配するな 私がロクの相手をしている お前はお前の仕事をしろ」
とニヤリと笑う
チィっと大きな舌打ちをして
「いいな無理をするなよ 体がツラいなら部屋で休め いいな」と頬を撫でてくれる
少しだけ 気分が楽になる
「はい」と頬をすり寄せる
「すいませんが ロクをお願いします」
と頭を下げて バルコニーから広間へと戻って行った
バルコニーに残ったふたり
じっと男装の麗人を見ると
「ああ 自己紹介がまだだったな 私はアニタだ テオの祖母だ」
「えっ あっ 失礼しました」
立ちあがろうとしたが 足に力が入らない 立てない
足にぎゅっと爪をたてた
「ダメだ そんなことをしては」とやさしく手を包んでくれる
「足が傷ついてしまうよ」
そして人を呼び 俺を部屋まで運んでもらおうとする
「大丈夫です ここで元帥閣下を待ちます」と慌てて言うと
「ここでは休めないだろう」とアニタ様は心配そうな声を出すが
「大丈夫です しばらく休めば足も動きますから」と返事をする
「補佐官としての返答は満点だな」とアニタ様は笑い
膝掛けを持ってくるようにと使用人に声をかけてくれた
アニタ様との会話は楽しい
会話の中に「ロクはどう思う?」「ロクならどうする?」と聞かれるが
「そうですね 私なら・・・」と自分の考えを伝える
「なるほど」とうなずいてくれる時もあれば
「いやそれではだめだな」と言われるときがあったりと会話が弾む
おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってから
また少し外が怖くなった
人は死んでしまう 親しくなった人がもし・・・と考えてしまう
ブルっと寒気が走る
「・・・・ロクは賢い子だなぁ」とアニタ様が言う声が
『ロクは賢い子だなぁ』とおじいちゃんの声とだぶる
グニャリとアニタ様の顔がゆがみ 声が遠くなっていく
あっ まずい と思ったときには暗い闇が俺を覆っていった
ロクの体が急に私の方へ倒れ込んだ
顔色が悪い 貧血か
「悪いが 元帥閣下を呼んできてはくれないだろうか?」と使用人に頼む
「ロク 大丈夫か」と声をかけるが返事がない
小さく体が震えている
「・・・・・・たすけて」と小さな声が聞こえた
テオが部屋のベットまでロクを運んだ
貧血だな 少し疲れが出たんだろとテオがロクの頭を撫でながら言った
「ありがとう 助かった」とテオが私に頭をさげた
「お前が私に頭を下げるなんてな」と少し笑った
「ミアから少しは聞いてる つらい別れをしたんだろ
思い出させてしまったかな」
「ロクが生まれて初めて『死』と言うものを意識したんだ
今まで自分がしてきたこと 自分がゆるせないって」
「ロクが悪いわけじゃないのにな」
「ああ そう何度も言ってるんだが それでもたくさんの人を殺したのは自分だって
だからやっぱり許せないって苦しんでる」
テオがやさしくロクの頭を撫でている
「手放せないか?」
「ああ」
「そうか お前が幸せならそれでいい」
ふたりでロクをみつめる
ロクの目がゆっくりと開く
「気分はどうだ 気持ち悪くないか」
すぐに起き上がろうとするロクをとめる
「今日はこのまま休め」
「・・・テオ」と手を伸ばしてくる
冷たい手を握ってやる
「ちゃんと仕事してきたよ 何も心配しなくていいよ」
「ん」と言ってロクは目をつむった
「明日は 私の馬車にロクを乗せなさい 私の話し相手になってもらおう
そういえば ロクも馬車に乗ってくれるだろ」
「そうしてもらえたら 助かります」
「明日の朝 発つぞ」
「はい」とテオが返事をした
「何してるって ロクと話をしているんだ
お前こそ ロクを放っておいて何をしている」
俺は二人のやりとりを聞いていた
テオが俺の方を向く
「どうした 気分が悪いのか それとも…」
「少し気分が悪くなっただけです
大丈夫です 元帥は戻ってください」
「でもな」
「お戻りください 元帥閣下」
仕事は仕事 テオの邪魔はしたくない
「心配するな 私がロクの相手をしている お前はお前の仕事をしろ」
とニヤリと笑う
チィっと大きな舌打ちをして
「いいな無理をするなよ 体がツラいなら部屋で休め いいな」と頬を撫でてくれる
少しだけ 気分が楽になる
「はい」と頬をすり寄せる
「すいませんが ロクをお願いします」
と頭を下げて バルコニーから広間へと戻って行った
バルコニーに残ったふたり
じっと男装の麗人を見ると
「ああ 自己紹介がまだだったな 私はアニタだ テオの祖母だ」
「えっ あっ 失礼しました」
立ちあがろうとしたが 足に力が入らない 立てない
足にぎゅっと爪をたてた
「ダメだ そんなことをしては」とやさしく手を包んでくれる
「足が傷ついてしまうよ」
そして人を呼び 俺を部屋まで運んでもらおうとする
「大丈夫です ここで元帥閣下を待ちます」と慌てて言うと
「ここでは休めないだろう」とアニタ様は心配そうな声を出すが
「大丈夫です しばらく休めば足も動きますから」と返事をする
「補佐官としての返答は満点だな」とアニタ様は笑い
膝掛けを持ってくるようにと使用人に声をかけてくれた
アニタ様との会話は楽しい
会話の中に「ロクはどう思う?」「ロクならどうする?」と聞かれるが
「そうですね 私なら・・・」と自分の考えを伝える
「なるほど」とうなずいてくれる時もあれば
「いやそれではだめだな」と言われるときがあったりと会話が弾む
おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってから
また少し外が怖くなった
人は死んでしまう 親しくなった人がもし・・・と考えてしまう
ブルっと寒気が走る
「・・・・ロクは賢い子だなぁ」とアニタ様が言う声が
『ロクは賢い子だなぁ』とおじいちゃんの声とだぶる
グニャリとアニタ様の顔がゆがみ 声が遠くなっていく
あっ まずい と思ったときには暗い闇が俺を覆っていった
ロクの体が急に私の方へ倒れ込んだ
顔色が悪い 貧血か
「悪いが 元帥閣下を呼んできてはくれないだろうか?」と使用人に頼む
「ロク 大丈夫か」と声をかけるが返事がない
小さく体が震えている
「・・・・・・たすけて」と小さな声が聞こえた
テオが部屋のベットまでロクを運んだ
貧血だな 少し疲れが出たんだろとテオがロクの頭を撫でながら言った
「ありがとう 助かった」とテオが私に頭をさげた
「お前が私に頭を下げるなんてな」と少し笑った
「ミアから少しは聞いてる つらい別れをしたんだろ
思い出させてしまったかな」
「ロクが生まれて初めて『死』と言うものを意識したんだ
今まで自分がしてきたこと 自分がゆるせないって」
「ロクが悪いわけじゃないのにな」
「ああ そう何度も言ってるんだが それでもたくさんの人を殺したのは自分だって
だからやっぱり許せないって苦しんでる」
テオがやさしくロクの頭を撫でている
「手放せないか?」
「ああ」
「そうか お前が幸せならそれでいい」
ふたりでロクをみつめる
ロクの目がゆっくりと開く
「気分はどうだ 気持ち悪くないか」
すぐに起き上がろうとするロクをとめる
「今日はこのまま休め」
「・・・テオ」と手を伸ばしてくる
冷たい手を握ってやる
「ちゃんと仕事してきたよ 何も心配しなくていいよ」
「ん」と言ってロクは目をつむった
「明日は 私の馬車にロクを乗せなさい 私の話し相手になってもらおう
そういえば ロクも馬車に乗ってくれるだろ」
「そうしてもらえたら 助かります」
「明日の朝 発つぞ」
「はい」とテオが返事をした
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