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第八話 湖の竜 ~チャプター4~
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突如水中から出現した触手のようなものに、水辺にいたメル、ノーラ姫、シアリーゼ姫はあっという間にとらえられてしまった。
「いやぁ!」「これが邪竜の正体ですか!?」
とても竜の首とは思えないそれだが、その裏側にあるものが無数に並んでいる。
「あれは…吸盤か!?」
そう、それは日本人の俺にとって馴染み深いもの。タコの足だ。
「八つ首の正体は、タコの足だったのか…」
そして正体が判明するや否や、水中からそのタコの本隊が姿を現した。
「くッ、放しなさいよ!ストームブラスト!」
捕われたノーラ姫が魔術を試みようとするが、一切何も起こらない。
「ちょっと!なんで魔術出ないのよ!」
「まさか、魔力が吸収されている!?」
「みんな!ウィンドスラッシャー!」
浜辺の方からリーナが魔術を放つが、相手の足のひと払いでかき消されてしまう。
「はぁッ!」
マリークレアさんが片手に風、もう片方に炎を纏わせ同時に撃ちだす。
一人で同時に2属性の魔術を行使できるあたりさすがエルフである。
しかしその合体魔術も同様にかき消されてしまった。
「やはり魔術は効きませんか…」
またしても魔術が通用しない相手に成す術が無い一同。
そしてリーナは何を思ったか、スイカ割り用に用意してあった剣を取り巨大タコに向かっていった。
「はぁぁぁッ!」「おい!無理すんな!」
使い慣れない剣で斬りかかるリーナだったが、その剣も弾かれてしまい飛ばされた剣がユウヤの目の前に突き刺さった。
「ヒェッ!」
そして浜辺で応戦していたマリークレアさんとともにリーナも触手にとらわれてしまった。
「きゃあ!」「くッ、不覚…」
仲間が成すすべなく捕獲されていくのをただ見ているしかなかった。
砂にさえ埋められていなければ…。いや、例え動けたとしても俺には大したことはできなかっただろう。
捕らわれてしまったリーナもいつもの冷静なものでなく、思いつめたような表情を見せていた。
(あの力を使えばみんなを助けられるかもしれない。でもそうしたら……)
よくわからないが、何かをしようとして躊躇っているように見える。
(……いいや、このままみんなが死んじゃう方がいやだ!)
リーナの表情が意を決したようにみえたその時だった―――
湖の沖の方で、水中から何かが飛び出した。
「あれは!?」
湖の中から現れた巨大な、長い首と尾、そして翼を持つ獣。
―――ドラゴンだ。
「ドラゴン!?」「まさか、本当にまだドラゴンが存在していたとは…」
ドラゴンは両翼を一度はためかせると、そのまま猛スピードでこちらまで突っ込んできた。
巨大タコに襲われてもう死亡確定な状況なのにドラゴンまで現れるなんてオーバーキルにも程がある!
一瞬にして接近してきたドラゴンは、口を大きく開きながら迫ってくる。俺たちをそのまま喰らうつもりなのか。
(もう、ダメか…)
絶望的な状況から、目をそらしてしまっていた俺だったが―――
「ギュイーーーーーー!!」
「な…なんだ!?」
ドラゴンが嚙みついたのは、巨大タコの頭部の方だった。
噛みつかれた巨大タコは悲鳴のようなものを上げる。かなりのダメージだったのか捕縛が緩み捕らわれていた仲間たちが浅瀬へと落ちていった。
「た、助かった…。」「このドラゴン、味方なの?」
そしてドラゴンは一度巨大タコを噛みつきから解放すると―――
「離れていろ、人の子らよ。」
「しゃべった!?」
そう話したドラゴンの口元から青白い炎のようなものが漏れ出す。
「ここは言う通りにしましょ!」
みんなは急いで浜辺の方まで避難する。
そして間もなくドラゴンは大きく口を開き、そこから青白い炎が巨大タコに向け放射される。
「あれが…ドラゴンのブレス!?」
ブレスを浴びた巨大タコは一気に青い炎に包まれた。
「いやぁ!」「これが邪竜の正体ですか!?」
とても竜の首とは思えないそれだが、その裏側にあるものが無数に並んでいる。
「あれは…吸盤か!?」
そう、それは日本人の俺にとって馴染み深いもの。タコの足だ。
「八つ首の正体は、タコの足だったのか…」
そして正体が判明するや否や、水中からそのタコの本隊が姿を現した。
「くッ、放しなさいよ!ストームブラスト!」
捕われたノーラ姫が魔術を試みようとするが、一切何も起こらない。
「ちょっと!なんで魔術出ないのよ!」
「まさか、魔力が吸収されている!?」
「みんな!ウィンドスラッシャー!」
浜辺の方からリーナが魔術を放つが、相手の足のひと払いでかき消されてしまう。
「はぁッ!」
マリークレアさんが片手に風、もう片方に炎を纏わせ同時に撃ちだす。
一人で同時に2属性の魔術を行使できるあたりさすがエルフである。
しかしその合体魔術も同様にかき消されてしまった。
「やはり魔術は効きませんか…」
またしても魔術が通用しない相手に成す術が無い一同。
そしてリーナは何を思ったか、スイカ割り用に用意してあった剣を取り巨大タコに向かっていった。
「はぁぁぁッ!」「おい!無理すんな!」
使い慣れない剣で斬りかかるリーナだったが、その剣も弾かれてしまい飛ばされた剣がユウヤの目の前に突き刺さった。
「ヒェッ!」
そして浜辺で応戦していたマリークレアさんとともにリーナも触手にとらわれてしまった。
「きゃあ!」「くッ、不覚…」
仲間が成すすべなく捕獲されていくのをただ見ているしかなかった。
砂にさえ埋められていなければ…。いや、例え動けたとしても俺には大したことはできなかっただろう。
捕らわれてしまったリーナもいつもの冷静なものでなく、思いつめたような表情を見せていた。
(あの力を使えばみんなを助けられるかもしれない。でもそうしたら……)
よくわからないが、何かをしようとして躊躇っているように見える。
(……いいや、このままみんなが死んじゃう方がいやだ!)
リーナの表情が意を決したようにみえたその時だった―――
湖の沖の方で、水中から何かが飛び出した。
「あれは!?」
湖の中から現れた巨大な、長い首と尾、そして翼を持つ獣。
―――ドラゴンだ。
「ドラゴン!?」「まさか、本当にまだドラゴンが存在していたとは…」
ドラゴンは両翼を一度はためかせると、そのまま猛スピードでこちらまで突っ込んできた。
巨大タコに襲われてもう死亡確定な状況なのにドラゴンまで現れるなんてオーバーキルにも程がある!
一瞬にして接近してきたドラゴンは、口を大きく開きながら迫ってくる。俺たちをそのまま喰らうつもりなのか。
(もう、ダメか…)
絶望的な状況から、目をそらしてしまっていた俺だったが―――
「ギュイーーーーーー!!」
「な…なんだ!?」
ドラゴンが嚙みついたのは、巨大タコの頭部の方だった。
噛みつかれた巨大タコは悲鳴のようなものを上げる。かなりのダメージだったのか捕縛が緩み捕らわれていた仲間たちが浅瀬へと落ちていった。
「た、助かった…。」「このドラゴン、味方なの?」
そしてドラゴンは一度巨大タコを噛みつきから解放すると―――
「離れていろ、人の子らよ。」
「しゃべった!?」
そう話したドラゴンの口元から青白い炎のようなものが漏れ出す。
「ここは言う通りにしましょ!」
みんなは急いで浜辺の方まで避難する。
そして間もなくドラゴンは大きく口を開き、そこから青白い炎が巨大タコに向け放射される。
「あれが…ドラゴンのブレス!?」
ブレスを浴びた巨大タコは一気に青い炎に包まれた。
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