ガーランド大陸魔物記  人類が手放した大陸の調査記録

#Daki-Makura

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命懸けの美食 チャージダック①

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 魔物データNo. FA-022
 種族名:チャージダック
 種族:鴨系鳥型魔物
 寿命:6~8年
 身長:40~70cm
 体重:成体で800~2,500g
 通称:突撃兵
 特記:卵がこの上なく美味しく、多くの美食家が求めた。その為、200年前に絶滅した。多くの冒険者が一攫千金を目指して卵を求めたが……チャージダックの高速突撃の前に撤退を余儀なくされた。その見事な突撃に敬意を込めて、いつしか冒険者達は〝突撃兵〟と呼ぶようになった。

 ▲▲▲

 私はチャージダックの卵が好きだ。
 いや……大好きだ。
 
 チャージダックの卵のオムレツが好きだ。
 ゆで卵が好きだ。目玉焼きが好きだ。
 プリンが好きだ。
 ケーキに使えば、フォークが止まらない。
 濃厚で食欲をそそる芳醇な匂いが大好きなのだ。
 
 チャージダックの卵を手に入れる為に、200人の冒険者を投入したが……無惨にも撤退してきた。
 何百羽の突撃の前に撤退した?いや!あいつらは絶対、持ってくる前に食べたに違いない!!
 
 それなのに持ち帰りもしないで金を払え?
 ふざけたことをほざくなと言いたかったが、国が支払いを認めた。
 
 もう、我が公爵家に払う金はない。残るのはこの館だけだ。

 まさか私の代でこの公爵家が無くなることになるとは。
 これも全て美味しすぎるチャージダックの卵のせいだ……。

 チャージダックの卵が食べたい。
 チャージダックの卵が……食べたい……。
 チャージダック……のたま……た……べたい……。
 チャー……ック……の……ま……た…………い…………

 その後の文字は解読不可。

 世界の美食物語より ダゾ王国公爵の手記

 ▲▲▲

 トレント達が持ってきてくれる食料は、木の実や野生の野菜だけではない。時折、仕留めた魔獣の肉も混じる。
 その中に、なぜか妙に頻繁に混ざるものがあった。

 とてつもなくまずい鳥――いや、鳥系魔獣の肉である。

 脂はほとんど感じられず、繊維ばかりが口に残る。
 噛めば噛むほど水分を失い、鼻の奥に残る獣臭が、飲み込むたびに逆流してくる。

 正直に言えば、食事とは呼びたくない代物だった。

 だが、この大陸では選り好みなど許されない。
 私は顔をしかめながらも黙って捌き、干し肉にして冬の備えに回していた。

 あまりにも回数が多いため、ここでは当たり前の鳥なのだろうと思っていた。
 そう思って姫に名を尋ねた瞬間、返ってきた言葉に、私は手を止めた。

 チャージダック。

 通称〝突撃兵〟。
 私の国では200年前に絶滅したとされる鳥系魔獣であった。

 その卵は、かつて「食の頂点」とまで称された。
 一口で価値観が変わる、美食家の舌を狂わせる味。
 その欲望が連鎖し、やがて狩り尽くされた……そう、私は学んできた。

 だが〝突撃兵〟は、その通称の通り従順な獲物ではない。
 危険を察知すれば、群れを成し、高速で飛行し突撃する。
 
 卵の入手は命懸けで、当時は一個につき金貨千枚。
 噂では、それ一つで屋敷が一つ買えたとも言う。

 卵を求めて身を滅ぼした者。
 争奪戦となり、共倒れした貴族。
 一攫千金を夢見て串刺しになった冒険者。
 この卵を携え、姫にプロポーズした魔法使い。
 
 逸話は尽きない。
 その伝説の魔物が……今、薪小屋の軒先で、無造作に干されている。
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