平凡な自分から、特別な君へ

暇神

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俺、運命の出会いを果たす。

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 自分の存在理由とは?

 誰しもが、そんな疑問を抱く。
 現代社会における、もっとも大きな疑問の一つは、間違いなくこれであり、その原因は、現代の人間の置かれた『環境』にある。
 別に、地球温暖化とかオゾン層破壊とか、ああいう話じゃない。ここで言う『環境』とは、その人間が置かれた、成長した地域、グループ。つまり、その人間の『周囲』を指す。
 生まれ、育った地域や、所属しているグループの違いなんて、数えていけばキリが無い。しかし、最も大きなくくりとして、俺達人間は『地球』という、現在生物が確認されている、唯一の惑星の住民である事が挙げられる。
 その中でも近代国家では、情報化やグローバル化によって、世界中のありとあらゆる知識、情報が共有される。その大半は、一部の『有名人』が登場する物で、それを見た人間は、「何で自分はこうなっているんだろう」と考える。
 全員がそうとは言わない。こう考えない人も、他人を気にしない人も居るだろう。問題は、ここで自分の存在価値の薄さに気付いてしまうという事にある。
 小市民程度であれば、いくらでも替えが利く現代。特筆すべき物が無い人間は、自身が価値の無い人間でると考え、先程述べた疑問を持つ。近年の自殺率の増加は、現実、ネット上でのイジメだけでなく、ただの新聞の一面にさえ、劣等感を感じる人間が増えたとも考えられる。
 俺もその一人だった。新聞とかニュースとかじゃなく、ただの他人同士の会話にさえ『羨ましい』と感じた。
 自分が、世間一般から見て、『特筆すべき存在』ではない事に、幼いながらも気付いた俺は、『自分が生きる意味』を考えた。
 結論として、そんな物は無い。『生きる』という行為は、生物に課せられた『種の保存』という目的を果たす為の手段でしかない。そこに意味は存在せず、ただ死なないだけの人生も『生きる』に入るとするならば、俺はそれでも良いと考えている。
 平凡で恵まれた環境で育った俺は、無事、世間一般で言う『日本人らしい』、事なかれ主義の偽善者に育った。
 そんな俺は、何事も起こらず、ただ平和な日常を送れれば、それで満足だと考えている。

 少し前置きが長くなった。この話がどういう話か、少し俺個人の意見を述べさせてもらおう。

 諸々すっとばして言うと、これはありふれた学生たちの日常である。

 地元から電車に揺られる事四時間。俺は大学に通う為、故郷から遠く離れた、大都市東京へ来ていた。
 俺の名前は海田亮太かいだりょうた。今年から大学一年生。
 故郷から離れたい思いが無かったと言えば、俺は嘘吐きだ。あの狭い田舎から、俺は東京に来た。
 別に、故郷に不満があったとかじゃない。そこそこ楽しかったし、まあ良い思い出もある。お気に入りのファミレスもある。だが、俺はあの町を、あの家を出て、楽しそうな場所に行きたかったのだ。
 長時間の移動は疲れるというのは本当の話で、ただ椅子にすわっていただけの筈だった俺の体は、何をするでもなく疲れていた。
 兎に角、今はこれから住むアパートに行って、一刻でも早く休みたい。今日一日は荷解きと近所の皆様へのご挨拶だけで終わりそうだ。
 ところがどっこい。疲労でくたくたの俺の耳を、鋭い怒声が貫いた。
「何だあ手前!」
「だから!貴方がぶつかったこの子に謝って下さいと言っているんです!」
 野次馬精神から、俺は声がした方向を見てみる。どうやら、いかにも不良な男性と、落ち着いた格好をした女性が言い争っているようだ。女性は男性に、先程男性とぶつかったのであろう青年に謝るように言っており、男性はそれに反発しているようだ。
 しかし、部外者である俺にできる事などたかが知れている。ここは巻き込まれない内に、さっさと逃げよう。
「ああもう!うざってえんだよお前え!」
 男性が女性に向かって拳を振り上げる。俺は咄嗟に女性と男性の間に割って入り、男性の拳を背中で受け止めた。
 背中に鈍い痛みが走る。ああもう引っ越し初日からこんな目に遭うのかよ。いや自分から行ったんだけどさ。
 男性は見ず知らずの男を殴った事に、少し驚いた素振りを見せたが、すぐにさっきの調子に戻り、俺に怒声を浴びせる。
「何だお前!何の用だ!」
「いやあ貴方が彼女に暴力を振るおうとしていたんで、『暴力ダメゼッタイ』の教えの下、彼女を暴力から守ったんですよ」
 ふふふ。そんな態度で良いのかな?俺には罪無き市民を、悪漢から救うと言う大義名分があるのだ。正義は我にあり。
 俺は持っていたスマホを取り出し、彼に見せつける。
「俺、さっき彼女に暴力を振るおうとした辺りから録画してたんすよ。これを警察に出したら、どうなるんでしょうねえ」
 ハッタリである。俺にそんな事ができる度胸も判断力も無い。ただまあ、これで何とかできればと思った。
 どうやら、彼にはちゃんとビビッてもらえたらしく、彼は「覚えてろ!」とだけ言って、走り去って行った。その捨て台詞言うヤツ初めて見た。
 うん。やっちまったな。引っ越し初日から、こんなトラブルに自分から突っ込んで行くとか、正気の沙汰じゃなかった。
 そんな結構どうでも良い事を考えている俺に、先程の女性が話しかけて来た。
「あの、大丈夫ですか?」
 彼女は、背丈や風貌からして、恐らく高校生か大学生。俺よりも大分背は小さく、人は良さそうだ。実際あんな事やってんだから良いのだろう。苦手なタイプだ。こういう人間は、善意でおせっかいをしてくるから苦手なのだ。さっさとここを離れよう。
 俺は「大丈夫です」とだけ答え、その場を後にした。彼女はまだ何か言おうとしていたが、まあ、ここは東京だ。学生なんて腐る程居る。彼女と会う事はあっても、彼女と同じ大学なんて事は無いだろう。

 その後、無事にアパートに着いた俺は、最低限の荷物だけ出した俺は、ご近所への挨拶だけやって、少し部屋に寝転んだ。
 疲れた。移動しただけなのに疲れるとか、人間の体は不思議だなあ。あの男性に殴られた背中が痛い。安いアパートの床は冷たくて、若干気持ちが良かった。
 一先ず、働き口を見つけたい。色々やって、少し落ち着いてからになるだろうが、地元で貯めた軍資金も、多い訳ではない。なるべく早く、できれば給料が良い場所を見つけたい。死活問題だ。コンビニのバイトでも探すかな。
 しかし、その日の俺は何もせずに眠ってしまった。疲れていたのだろう。仕方が無い。

 それから、荷解きやら道を覚えるやら、色々な事をやっている内に、大学の入学式の日が来てしまった。
 初日から授業がある訳ではないので、俺は身形を整えて、俺がこれから通う大学へ向かった。このアパートが安い訳の一つとして、駅から少し離れている事が挙げられる。お陰で、俺は少し歩く事になった。

「あー!貴方は!」
 大学に着いた俺は、突如後ろの方から聞こえて来た大声に、不覚にも少し驚いた。自分とは関係の無い事であっても、急な大声には驚く物だ。俺悪くない。
「いや貴方ですよ貴方!こっち向いてください!」
 どうやら、あの女性が言っている『貴方』というのは、あの女性を覚えていないか、それか無視してでも関係を持ちたくないらしい。可哀想に。
「貴方ですよ!そこの手提げかばんで茶髪で、若干髪が長めの人!」
 どうやら『貴方』とやらは、俺と恰好が似ているらしい。やだ親近感湧いちゃう。
「貴方ですよこっち向いてください!覚えてませんか!?」
 おっと前者が濃厚になってきたぞ。人の名前と顔が一致しないとは、育てた親の顔を見てみたい。
 まあ、俺とは関係が無い事だ。さっさと移動を済ませ、可能なら話し相手を作ってしまおう。全ては、俺の平穏なキャンパスライフの為に。
 しかし、そんな考えは一瞬で吹き飛んだ。理由は簡単。背後から突然、タックルを食らったのだ。おい俺の知り合いにラグビー部は居ないぞ。どこの誰だ。
「貴方ですよ貴方!やっとこっち向いた!」
 さっき、育てた親の顔を見てみたいと言ったな。あれは嘘だ。もう二度と見たくない。
 先程の声の主は、この町に来た日に見かけた、あの正義感の強い女性で、先程彼女が呼んでいた『貴方』は、どうやら俺の事だったらしい。
「えっと……何です?」
「貴方、こないだ私を助けてくれた人ですよね!お礼がしたくて、探していたんです!」
 これは驚いた。我を通すタイプかもなとは感じていたが、まさかここまで強引とは。感服するな。
 しかし、あの一件を知る人間と関われば、そこからあの日の事がバレるかも知れない。人助けをした良い奴とか、正義感が強い奴とか、そう言う肩書は、俺の平穏なキャンパスライフには要らない。むしろ邪魔だ。ここは逃げるが吉。さっさとこの場を去らねば。
「いえ、気にしてませんので、これで」
「いいえ!私がお礼したいのです!どうかお願いします!」
 おいおいおい。ここまでか。大分大物だな。しかし、人の目もある。逃げるのだ。
 俺はその場を足早に去り、背中で彼女の声を感じていた。

「ふう……酷い目に遭った」
 会場に着いた俺は、背もたれに体重を預けながら、溜息を吐いた。いやこうなるとは思わないだろ普通。しかし、彼女は近くには見当たらない。ここで、話し相手を作る!
 俺は、偶々近くに居ただけの人に話しかける。人間関係の構築には、先ず他人と接する事だ。これができなければ話にならない。
「やあ、初めまして。お名前は?」
「初めまして。俺は木村陽太きむらようた。丁度仲良くできそうな奴探してたんだ。これからよろしくな」
「よろしく」
 俺と陽太さんは握手をして、少し談笑する、これこれこう言うのだよ。俺が求めてるコミュニケーションは、こう言う当たり障り無い物で十分なんだよ。
 入学式が終わった後、俺はアパートに戻り、少し休む事にしたが、なぜかそのまま寝落ちしてしまった。起きる頃には、日付が変わっていた。

「いや~まさか同じ授業を受けるとは、思ってもみませんでしたよ。世の中、ご縁ってある物ですね」
「そうだね俺は持ちたくなかったよ」
 俺の隣に座る彼女は「またまた~」と言って笑った。健全な男子諸君が見たら、少しドキっとする光景だろうが、今の俺には悪魔の微笑みに見える。
 彼女は、飯島心海いいじまここみと名乗った。この名前を知る前と、知った後の数分間で、俺は彼女の人柄を少し理解した。彼女は優しく、責任感が強い、所謂良い人だ。凄い人種だ。俺とは対極にある存在だ。
 なぜこうなったか。それは余り長い話ではない。むしろ短い。ほんの数時間前の話だ。
 今日の朝、しっかり起きれた俺は、初めての大学授業に胸を躍らせていた。特段何が楽しみとかは無いが、人間、『初』という物には弱い。俺もその例に漏れなかっただけの事。
 そして教室に入ると、何と、昨日の彼女が居たのだ。俺は直感で、「最悪だ」と思った。実際そうだ。縁を切りたい相手が、まさかの同じ学科だったなんて。しかも相手が「縁ってあるもんですね」とか言っている。絶望のどん底に叩き落とされた気分だった。
 彼女は、俺に『お礼』をすると言って折れない。こういう人間だ。仕方が無い。かと言って、「そうだね分かったよ」と諦められる程、俺も我が弱い訳では無い。
 しかし、鎖に繋がれたウサギが、自由なライオンに勝てるかと聞かれたら、百人中百人がいいえと答えるだろう。例えにしては誇張しすぎたが、まあこんな感覚だ。
 結局、俺は大学から帰った後、彼女と少し出掛ける事になった。これも彼女の『お礼』というヤツらしい。
 彼女について行った先にあった店は、有名なチェーン店でも、ゲーセンのような若者が行くような所でもなかった。そこは、少し寂れたようなお洒落さがある、小さな喫茶店だった。
 中はとても空いていて、夕方の光が窓から差し込み、余計な音楽も流れていない店内は、何だか落ち着く雰囲気があった。
 彼女は、店の奥の方へ向かって「マスター!居るー!?」と叫んだ。静かな店内には似つかないな。まあそれでも良い。俺は一応にも、彼女に連れて来てもらった立場だ。文句は言えない。
 彼女が呼ぶ『マスター』は、彼女の声が聞こえると、結構直ぐに現れた。眼鏡をかけ、少し髭を生やした、ごく普通の男性だった。見た目は三十とか四十とかに見えるが、雰囲気はそんな物ではない。何と言うか、落ち着きがある。この店と合うような、少し静かな人だ。
「おお心海ちゃん。そっちの人は?」
「彼は、亮太さんというのです!助けてもらったので、お礼をしたいのです!」
「初めまして。海田亮太と言います」
 マスターさんは、俺達を窓際の席に案内すると、メニュー表を渡した。一枚の紙には、文字と、三枚程度の写真が載っている。俺はサンドウィッチプレートを頼み、少し窓の外を見た。駅の方には、遊びに出るのか家に帰るのか、人がごった返している。
 案外早く、注文した物は来た。オシャレに盛りつけられたそれは、今風に言うなら『映える』ような見た目だった。こんな見た目なら、もう少し若者が来ててもおかしくないと思うのだが。まあ、隠れた名店というヤツなのだろう。ラッキーだと思おう。
 早速一口貰った。結構美味い。値段も、外食にしては安い方だし、彼女には少し感謝した方が良いようだ。
「ふふん。どうですこのお店。私が小さい頃からある、行きつけの喫茶店なんですよ」
 何だそのドヤ顔は。何かむかつく顔だな。しかし、ここは我慢。我慢だ。ここで怒ったら、出禁を食らうかも知れない。こんな良い店だ。ここで失うには惜しい。
 俺は黙々と食べ続け、大きいという程でもない皿の上は、直ぐに何も無くなった。そこにマスターさんが来て、皿を片付けると同時に、小さめのケーキを持って来た。
「これは?」
「サービス。今後ともご贔屓に頼むよ」
 彼は一旦店の奥へ引き、また直ぐに戻って来た。そして俺達が座っている席の横に椅子を置くと、俺達に話しかけた。
「で、お二人はどういうご関係で?」
「暴漢に襲われている所を助けてもらったので、今はそのお礼をしているのです!」
「君が暴漢に?珍しい事もあるんだね」
 彼女が小さい頃からの付き合いというだけあってか、マスターさんは彼女の事を、よく分かっているらしい。実際、襲われていたというよりかは、口論になり、殴られそうになったと言う方が正しいと思う。
 彼女が少し怒っているのをよそに、彼は俺に、確認の眼差しを向けてきた。
「まあ、おおむねそんな感じですね」
「本当かい?いや~心海ちゃんの成長を感じるよ」
「それってどういう意味なの?」
 彼は笑いながら、再び店の奥に引っ込んだ。彼女は俺に、マスターさんについての話をした。
「あの人、いつもあんな感じなの。掴み所が無いというか、自分の事を話さないというか……」
「彼は一体何歳なの?」
「あれ?そういえば知らない」
 そんな話をしていると、マスターさんが顔だけ出して、「実年齢は秘密さ」と言った。どこの芸能人だアンタは。
 その後、大した話とかはせずに、俺達は店を出て、そのまま帰った。家が別方向なのが救いだな。帰りも付き合わされては、こっちの身が持たない。
 帰った後の、いつも通りの筈の部屋は、先程までの騒がしさとの差を、無意識に感じているのか、いつもよりも寂しく感じた。
 だからと言って、どうにかできる物ではない。俺はシャワーだけ浴びて、布団を広げ、そのまま寝た。

 この日が、俺の大学生活の半分位を、決定づけた日だった。
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