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ウエスタンな異世界
学習能力
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ロキから着させられた服のポケットに手を突っ込みながら街を歩く弟は、この世界が本当に自分達がいた世界と違うという事をまざまざと見せつけられた。
街道にはレンガが敷かれ、建物も全部レンガ。
そして、走っているのは車ではなく馬が引く馬車。
街の人々は全員金髪や、茶髪で正に外国という感じがした。
しかし、街行く人々の会話を理解できるのが違和感を引き立たせた。
弟は少し外れた路地に入ると、壁を蹴って建物の上に飛び乗った。
「……すぅ……ゲホッゲホッ!」
喉にイガイガしたものを感じ、涙ながらにむせると周りを見渡して納得がいった。
街の外れの方から何やら緑色の煙が上がっているので有る。
弟はすぐさま引き返して、元いた屋敷に戻り兄の所に向かう事にした。
「あっ……ども……」
「………っ」
屋敷の中を歩いて、無言ですれ違いに眼鏡をかけた少し太った本を山ほど持った人とすれ違いざまに挨拶をして……。
「いやいやいや、にーちゃん何してんの?」
「リーチェに設計図を借りた。この世界のマスィーンの仕組みを知るためにちょっとお借りしたのさ」
そう言って、これでもかというほど持っている本と紙を持ち上げた。
「はぁ……にーちゃん……ここやばいかもやで?」
「ワァィ?」
「なんでって、街にちょっと行ってみてんけど、工場から緑色の煙が出ててんで?絶対体に悪いやん」
「もしかしたらそうじゃ無いかもしれんで?」
「あるに百万円」
「無いに十円」
「自信ないのにアホみたいな事抜かすなや」
「だぁってぇ?」
「うるさいわ、さっさとやれ!」
「へいへい、とっちーから絶版キックが飛んで来ーへんうちに仕上げまさぁ」
「ハイは一回!」
「へいへい」
と、言いながら兄は眼鏡をもう一度しっかり掛け直して、その書類を読み始めた。
そして、10分後、
「うっし、じゃあやりまっかー」
「全部読めたん?」
「多分大体何とかなる」
「おいおい……」
兄は弟のを無視して工場に向かった。
「おーい、何処まで進んだ?」
「あっ、ヨイチ、全部読め……たの?」
「おう、で、ここなんだよな……あーなるほどな」
兄は屈みこんでその場所を覗き込むと、その場所に手を突っ込んだ。
「ちょっと!何するの!?」
「にーちゃん!」
弟が無理やり引き剥がそうとすると、兄はそれをシッシと追い払った。
ガチャガチャと音がして暫くすると兄は手を引き抜き、油まみれの手に何かを握っていた。
「何を取ったの!?」
悲鳴をあげるリーチェにヨイチは澄ました顔で、
「管に詰まってたオイルの塊を取っただけや」
と、言って掌を開け、ドロドロの塊を二人に見せた。
「無理やりオイル流し込んだやろ?あそこの機関部にそれが固まってもうてて、うまく動かんようになっててんやろ……そして、後はそれはめたら終わりやろ?」
そう言って兄はリーチェの後ろにある小さなパーツを顎で指した。
「……確かにコレがハマるならそうだろうけど……」
そう言ってリーチェはさっき、よいちが手を突っ込んでいた所にパーツを持っていった。
カチャリといい音がして、リーチェは手を引っ込めた。
すると、急に蒸気機関車の炉に火がついた。
「嘘……できちゃった……」
リーチェはカランと手に持っていたスパナを落として、
「おじいちゃんに知らせなきゃ!」
と言って、嬉しそうに出て行った。
「にーちゃん……マグレやろ?」
「バカヤロウ、この俺を誰やと思ってんねん?」
「マグレやろ?」
「んなわけないやろが馬鹿、ちゃんと勉強したわ」
「それを大学受験の時に活かせたらよかったのにな!」
「うっさいわ!それに俺にはロキ様から貰った物作りの能力があるからな」
「人から貰った能力で威張り倒すって兄として人としてどーなんですかー?」
「威張ってへんやろ?」
「威張ってますー、俺にめっちゃ威張ってますー!」
「そりゃお前やから威張るねやん、お分かり?」
「知るかデブ!クソキモオタク!」
「はっ!オタクで悪いか!」
「可愛いフィギュア買ってきて飾るのを、なんていうと思いますか!?」
「オタク!」
「やろ!?」
「「………イェーーエビ!カニ!タコ!フゥー!」」
と、そう言って兄弟は高らかに笑いあった。
「ちなみににーちゃん?」
「へい?」
「何で石投げられた時反撃しーへんかったん?」
「だって、石投げられたからって暴力振るうのは何か……にーちゃんが嫌やったんよ」
「馬鹿やなぁ」
「うるさいなぁ……」
「まぁ、ちゃんと我慢したにーちゃんに免じて、コレ分けたるわ」
そう言って弟は兄に茶色の液体が入った冷たい瓶を兄に投げ渡した。
「ん?………あっ!」
「一杯飲まん?」
「何でこの世界に……まっ、いっか!」
そう言って兄は弟の肩を組み、陽気な足取りで息をし始め、リーチェとおじさんが戻ってきてワイワイ騒いでいるのを後ろにその場を後にした。
街道にはレンガが敷かれ、建物も全部レンガ。
そして、走っているのは車ではなく馬が引く馬車。
街の人々は全員金髪や、茶髪で正に外国という感じがした。
しかし、街行く人々の会話を理解できるのが違和感を引き立たせた。
弟は少し外れた路地に入ると、壁を蹴って建物の上に飛び乗った。
「……すぅ……ゲホッゲホッ!」
喉にイガイガしたものを感じ、涙ながらにむせると周りを見渡して納得がいった。
街の外れの方から何やら緑色の煙が上がっているので有る。
弟はすぐさま引き返して、元いた屋敷に戻り兄の所に向かう事にした。
「あっ……ども……」
「………っ」
屋敷の中を歩いて、無言ですれ違いに眼鏡をかけた少し太った本を山ほど持った人とすれ違いざまに挨拶をして……。
「いやいやいや、にーちゃん何してんの?」
「リーチェに設計図を借りた。この世界のマスィーンの仕組みを知るためにちょっとお借りしたのさ」
そう言って、これでもかというほど持っている本と紙を持ち上げた。
「はぁ……にーちゃん……ここやばいかもやで?」
「ワァィ?」
「なんでって、街にちょっと行ってみてんけど、工場から緑色の煙が出ててんで?絶対体に悪いやん」
「もしかしたらそうじゃ無いかもしれんで?」
「あるに百万円」
「無いに十円」
「自信ないのにアホみたいな事抜かすなや」
「だぁってぇ?」
「うるさいわ、さっさとやれ!」
「へいへい、とっちーから絶版キックが飛んで来ーへんうちに仕上げまさぁ」
「ハイは一回!」
「へいへい」
と、言いながら兄は眼鏡をもう一度しっかり掛け直して、その書類を読み始めた。
そして、10分後、
「うっし、じゃあやりまっかー」
「全部読めたん?」
「多分大体何とかなる」
「おいおい……」
兄は弟のを無視して工場に向かった。
「おーい、何処まで進んだ?」
「あっ、ヨイチ、全部読め……たの?」
「おう、で、ここなんだよな……あーなるほどな」
兄は屈みこんでその場所を覗き込むと、その場所に手を突っ込んだ。
「ちょっと!何するの!?」
「にーちゃん!」
弟が無理やり引き剥がそうとすると、兄はそれをシッシと追い払った。
ガチャガチャと音がして暫くすると兄は手を引き抜き、油まみれの手に何かを握っていた。
「何を取ったの!?」
悲鳴をあげるリーチェにヨイチは澄ました顔で、
「管に詰まってたオイルの塊を取っただけや」
と、言って掌を開け、ドロドロの塊を二人に見せた。
「無理やりオイル流し込んだやろ?あそこの機関部にそれが固まってもうてて、うまく動かんようになっててんやろ……そして、後はそれはめたら終わりやろ?」
そう言って兄はリーチェの後ろにある小さなパーツを顎で指した。
「……確かにコレがハマるならそうだろうけど……」
そう言ってリーチェはさっき、よいちが手を突っ込んでいた所にパーツを持っていった。
カチャリといい音がして、リーチェは手を引っ込めた。
すると、急に蒸気機関車の炉に火がついた。
「嘘……できちゃった……」
リーチェはカランと手に持っていたスパナを落として、
「おじいちゃんに知らせなきゃ!」
と言って、嬉しそうに出て行った。
「にーちゃん……マグレやろ?」
「バカヤロウ、この俺を誰やと思ってんねん?」
「マグレやろ?」
「んなわけないやろが馬鹿、ちゃんと勉強したわ」
「それを大学受験の時に活かせたらよかったのにな!」
「うっさいわ!それに俺にはロキ様から貰った物作りの能力があるからな」
「人から貰った能力で威張り倒すって兄として人としてどーなんですかー?」
「威張ってへんやろ?」
「威張ってますー、俺にめっちゃ威張ってますー!」
「そりゃお前やから威張るねやん、お分かり?」
「知るかデブ!クソキモオタク!」
「はっ!オタクで悪いか!」
「可愛いフィギュア買ってきて飾るのを、なんていうと思いますか!?」
「オタク!」
「やろ!?」
「「………イェーーエビ!カニ!タコ!フゥー!」」
と、そう言って兄弟は高らかに笑いあった。
「ちなみににーちゃん?」
「へい?」
「何で石投げられた時反撃しーへんかったん?」
「だって、石投げられたからって暴力振るうのは何か……にーちゃんが嫌やったんよ」
「馬鹿やなぁ」
「うるさいなぁ……」
「まぁ、ちゃんと我慢したにーちゃんに免じて、コレ分けたるわ」
そう言って弟は兄に茶色の液体が入った冷たい瓶を兄に投げ渡した。
「ん?………あっ!」
「一杯飲まん?」
「何でこの世界に……まっ、いっか!」
そう言って兄は弟の肩を組み、陽気な足取りで息をし始め、リーチェとおじさんが戻ってきてワイワイ騒いでいるのを後ろにその場を後にした。
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