優の異世界ごはん日記

風待 結

文字の大きさ
45 / 80

ウィンドウィスパー村と新たな出会い

しおりを挟む


日記 二十四日目


星見の丘の輝く夜を後にして、僕たちはウィンドウィスパー村にたどり着いた。  
エルフの森の入り口に近い小さな村は、静かで温かな雰囲気で溢れている。  
地元のハーブや果物を手に、村の人たちと交流しながら新しいレシピのアイデアが湧いてくるね!  
キラのピピッという鳴き声が、まるで「村の匂い、僕がチェックするよ!」って言ってるみたいだ。  
エルフの森はもうすぐそこ。
どんな食材、どんな絆が生まれるんだろう?  


---


朝、星見の丘の清々しい空気の中、テントを畳んで馬車に荷物を積み込む。昨夜の夜露の花のお茶とスタードロウのグリルが、チームの元気をチャージしてくれた。
キラが馬車の荷台でピピッと鳴き、ふわふわの羽を揺らす。まるで「次の冒険、行くよ!」と張り切ってるみたいだ。  

リナがエナジーバーをかじりながら、馬車の窓から外を眺める。  

「星見の丘、すーっごい綺麗だったね! ウィンドウィスパー村ってどんなとこ? なんか美味しいものあるかな?」  

カイラが地図を手に穏やかに言う。  

「ウィンドウィスパーはエルフの森の入り口に近い村よ。エルフと人間の交流がある場所だから、珍しいハーブや果物が手に入りそうね。セリナ、村の名物って何かある?」  

セリナが窓の外の緑豊かな風景を見ながら答える。  

「ウィンドウィスパーには、ウィンドベリーっていう小さな青い果実があるの。少し酸っぱくて、気分をリフレッシュする効果があるわ。エルフの森のハーブも村の市場で買えるから、試作にぴったりよ。」  

トムが追跡ランタンを手に、ニヤリと笑う。  

「ウィンドベリー、いいな! 村の近くに魔獣とかいるか? スタードロウみたいなのがいたら、また狩ってグリルにしようぜ、優!」  

エリックが御者台から豪快に笑う。  

「ハハッ! トムは狩りばっか考えてるな! ウィンドウィスパーの市場でいい食材見つけたら、優の料理で宴会だぜ! 馬車は順調だから夕方には村に着くぞ!」  

ローラが微笑んで付け加える。  

「ウィンドベリーはシロップやサラダに合うわ。リナ、市場でハーブの使い方を村の人に聞いてみる?」  

「うん! ウィンドベリーで何かキラキラしたの作りたい!村で新しいレシピ試そうよ! キラは匂いチェックよろしくね!」  

キラがピピッと鳴いて、荷物の上で跳ねる。まるで「新しい果実、僕がバッチリ嗅ぎ分けるよ!」って言ってるみたいだ。  


---


夕方、馬車がウィンドウィスパー村に到着した。小さな村は木造の家々と花壇に囲まれて風にそよぐ草木が静かなハーモニーを奏でている。村の市場はこぢんまりとしているが、エルフの影響を受けたハーブや果物が並び、色とりどりの布で飾られた屋台が温かな雰囲気を醸し出す。遠くにはエルフの森の深い緑が見え、微かな魔力が空気に漂っている。

リナが市場の屋台に駆け寄り、目を輝かせる。  

「見て、優! この青い果実、ウィンドベリーだ! めっちゃキラキラしてる!ね!サラダかドリンクにしたら絶対美味しいよね!」  

カイラがウィンドベリーを手に取って魔力をスキャンする。  

「この果実は気分をリフレッシュする効果が強いわね。クリムゾンミントと合わせたら、旅の疲れを癒すドリンクになりそうね。どんなレシピにする?」  

セリナが屋台の店主と話しながら微笑む。  

「ウィンドウィスパーの市場は、エルフの森から持ち込まれたハーブが多いの。このシルクハーブは、風味が優しくてサラダやスープに合うわ。村の人たちも優さんの料理に興味津々よ。」  

村の市場で、年配の女性店主がシルクハーブの束を手に話しかけてくる。  

「あなたたちがルミエールのコンテスト優勝チームね! セリナから聞いたわ。シルクハーブはエルフのレシピでよく使うの。サラダにすると、体が軽くなるわよ。試してみなさい。」  

リナが跳ね回りながら言う。  

「シルクハーブ! めっちゃ気になる! 優、ウィンドベリーと一緒にサラダ作ってみようよ! 村の人にも食べてもらいたい!」  

トムが市場の奥を覗き込み、ニヤリと笑う。  

「村の外に何か面白い魔獣いるかな? セリナ、森の入り口近くって、スタードロウ以外に何がいる?」  

セリナが穏やかに答える。  

「森の入り口には、ウィンドラビットっていう小さな魔獣がいるの。素早いけど、肉は柔らかくてグリルにぴったり。トムさんの追跡ランタンなら、簡単に見つけられるわ。」  

エリックが豪快に笑う。  

「ウィンドラビット! そいつはいいな! トム、狩り行くか? 優、グリルの準備しといてくれよ!」  

---



村の宿「ウィンドソングイン」に荷物を下ろし、宿の小さな厨房で試作開始。ウィンドベリーを潰してシロップにし、クリムゾンミントとクリスタルハニーを加えて、スターオーブンで冷やしたスパークルドリンクを作る。カイラが風魔法で泡に星屑のようなエフェクトを施すと、まるで村の夜空を閉じ込めたような輝きだ。  

シルクハーブとクリアリーフ、ウィンドベリーを組み合わせ、サンライムのドライフルーツをトッピングしたサラダも作る。爽やかな風味と軽い魔力回復効果が、旅の疲れを癒してくれる。  

村の子供たちが厨房を覗き込み、興味津々に話しかけてくる。  

「ねーねールミエールから来た料理人さん? 」

「このサラダ、キラキラしてる! 」

「食べてみたいな!」  

「お願いー!」

「わかったわかった!お皿を持っておいで!」

「やったー!」

「わーい!」

リナが子供たちにサラダを配りながら目を輝かせる。  

「優!このサラダってば村の人にも大人気だね!せっかくだしさ、ウィンドベリーのドリンクもあげちゃおう!」  

カイラがシルクハーブを分析しながら言う。  

「このハーブは魔力のバランスを整える効果があるわね。エルフの森の料理に使ったら、どんな風になるのかしら? ねえセリナ、村のレシピをもっと教えて欲しいわ。」  

セリナが子供たちにドリンクを渡しながら答える。  

「シルクハーブはエルフの森でスープやサラダに使うの。ムーンストーンフルーツと合わせると癒し効果が強まるわ。明日、森の入り口に着いたらもっと詳しく話すね。」  

トムが市場から戻って来てウィンドラビットを一匹持ってくる。  

「よっしゃ! ウィンドラビットゲットしてきたぜ!優!この肉、グリルで何かやってくれよ!」  

出たよトムのグリルフェチ……作りますけどね!

グリルの準備開始。ウィンドラビットの肉を薄く切り、ルナペッパーとファイアペッパーで味付けして焚き火で焼く。甘い香りとスタミナアップ効果が村の夜にぴったりだ。  

エリックがグリルを食べて豪快に笑う。  

「んー! このウィンドラビット、柔らかくて最高だぜ! 村の宴会でこれ出したら、みんなぶっ飛ぶな!」  

ローラがスパークルドリンクを飲みながら微笑む。  

「ウィンドベリーのドリンクも爽やかで素敵ね。リナ、シロップの作り方はちゃんと覚えたわね?優、森でもこんなドリンク作ってみて。」  

キラがピピッと鳴いて、ウィンドベリーのシロップを舐めながら跳ね回る。まるで「村の味、僕も大好き!」って言ってるみたいだ。  


---


宿の食堂で、村人たちと焚き火を囲む。星空の下、ウィンドウィスパーの穏やかな風が頬を撫でる。セリナが地図を広げて明日の計画を話す。  

「明日は森の入り口に着くわ。そこから奥に進むと、ムーンストーンフルーツが採れる場所があるの。夜に摘むと一番輝くから、夕方までに準備を整えましょう。」  

リナが目を輝かせて言う。  

「んんー!ムーンストーンフルーツ、めっちゃ楽しみ! 優、森でどんなデザート作る? ウィンドベリーも持って行こうよ!」  

カイラが星空を見上げながら言う。  

「ウィンドウィスパーのハーブは魔力が強いわね。森の食材はもっとすごいのかしら? セリナ、エルフの料理のコツをもっと教えて欲しいわ。」  

セリナが穏やかに答える。  

「エルフの料理は食材の魔力を活かすのが大事なの。ムーンストーンフルーツはシンプルにジュースやムースにすると、癒し効果が引き立つわ。優さんのアイデアも楽しみよ。」  

トムがニヤリと笑う。  

「森の奥に何かレアな魔獣いるかな? ウィンドラビットみたいに、グリルに合うやつ頼むぜ、優!」  

エリックが豪快に笑う。  

「ハハッ! 森の食材で、優の料理がどうなるか楽しみだな! 明日も馬車、ガンガン飛ばすぜ!」  


---


ウィンドウィスパー村の温かな灯りと、ウィンドベリーの爽やかな香りが、旅の2日目を特別にしてくれた。  
明日、エルフの森の入り口に到着し、ムーンストーンフルーツの輝きに近づく。  
どんな魔法の食材、どんな新しい絆が生まれるんだろう?  










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』

雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。 前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。 しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。 これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。 平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。

異世界ネットスーパー始めました。〜家事万能スパダリ主夫、嫁のために世界を幸せにする〜

きっこ
ファンタジー
家事万能の主夫が、異世界のものを取り寄せられる異世界ネットスーパーを使ってお嫁ちゃんを癒やしつつも、有名になっていく話です。 AIと一緒に作りました。私の読みたいを共有します 感想もらえたら飛んで喜びます。 (おぼろ豆腐メンタルなので厳しいご意見はご勘弁下さい) カクヨムにも掲載予定

処理中です...