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ウィンドウィスパー村と新たな出会い
しおりを挟む日記 二十四日目
星見の丘の輝く夜を後にして、僕たちはウィンドウィスパー村にたどり着いた。
エルフの森の入り口に近い小さな村は、静かで温かな雰囲気で溢れている。
地元のハーブや果物を手に、村の人たちと交流しながら新しいレシピのアイデアが湧いてくるね!
キラのピピッという鳴き声が、まるで「村の匂い、僕がチェックするよ!」って言ってるみたいだ。
エルフの森はもうすぐそこ。
どんな食材、どんな絆が生まれるんだろう?
---
朝、星見の丘の清々しい空気の中、テントを畳んで馬車に荷物を積み込む。昨夜の夜露の花のお茶とスタードロウのグリルが、チームの元気をチャージしてくれた。
キラが馬車の荷台でピピッと鳴き、ふわふわの羽を揺らす。まるで「次の冒険、行くよ!」と張り切ってるみたいだ。
リナがエナジーバーをかじりながら、馬車の窓から外を眺める。
「星見の丘、すーっごい綺麗だったね! ウィンドウィスパー村ってどんなとこ? なんか美味しいものあるかな?」
カイラが地図を手に穏やかに言う。
「ウィンドウィスパーはエルフの森の入り口に近い村よ。エルフと人間の交流がある場所だから、珍しいハーブや果物が手に入りそうね。セリナ、村の名物って何かある?」
セリナが窓の外の緑豊かな風景を見ながら答える。
「ウィンドウィスパーには、ウィンドベリーっていう小さな青い果実があるの。少し酸っぱくて、気分をリフレッシュする効果があるわ。エルフの森のハーブも村の市場で買えるから、試作にぴったりよ。」
トムが追跡ランタンを手に、ニヤリと笑う。
「ウィンドベリー、いいな! 村の近くに魔獣とかいるか? スタードロウみたいなのがいたら、また狩ってグリルにしようぜ、優!」
エリックが御者台から豪快に笑う。
「ハハッ! トムは狩りばっか考えてるな! ウィンドウィスパーの市場でいい食材見つけたら、優の料理で宴会だぜ! 馬車は順調だから夕方には村に着くぞ!」
ローラが微笑んで付け加える。
「ウィンドベリーはシロップやサラダに合うわ。リナ、市場でハーブの使い方を村の人に聞いてみる?」
「うん! ウィンドベリーで何かキラキラしたの作りたい!村で新しいレシピ試そうよ! キラは匂いチェックよろしくね!」
キラがピピッと鳴いて、荷物の上で跳ねる。まるで「新しい果実、僕がバッチリ嗅ぎ分けるよ!」って言ってるみたいだ。
---
夕方、馬車がウィンドウィスパー村に到着した。小さな村は木造の家々と花壇に囲まれて風にそよぐ草木が静かなハーモニーを奏でている。村の市場はこぢんまりとしているが、エルフの影響を受けたハーブや果物が並び、色とりどりの布で飾られた屋台が温かな雰囲気を醸し出す。遠くにはエルフの森の深い緑が見え、微かな魔力が空気に漂っている。
リナが市場の屋台に駆け寄り、目を輝かせる。
「見て、優! この青い果実、ウィンドベリーだ! めっちゃキラキラしてる!ね!サラダかドリンクにしたら絶対美味しいよね!」
カイラがウィンドベリーを手に取って魔力をスキャンする。
「この果実は気分をリフレッシュする効果が強いわね。クリムゾンミントと合わせたら、旅の疲れを癒すドリンクになりそうね。どんなレシピにする?」
セリナが屋台の店主と話しながら微笑む。
「ウィンドウィスパーの市場は、エルフの森から持ち込まれたハーブが多いの。このシルクハーブは、風味が優しくてサラダやスープに合うわ。村の人たちも優さんの料理に興味津々よ。」
村の市場で、年配の女性店主がシルクハーブの束を手に話しかけてくる。
「あなたたちがルミエールのコンテスト優勝チームね! セリナから聞いたわ。シルクハーブはエルフのレシピでよく使うの。サラダにすると、体が軽くなるわよ。試してみなさい。」
リナが跳ね回りながら言う。
「シルクハーブ! めっちゃ気になる! 優、ウィンドベリーと一緒にサラダ作ってみようよ! 村の人にも食べてもらいたい!」
トムが市場の奥を覗き込み、ニヤリと笑う。
「村の外に何か面白い魔獣いるかな? セリナ、森の入り口近くって、スタードロウ以外に何がいる?」
セリナが穏やかに答える。
「森の入り口には、ウィンドラビットっていう小さな魔獣がいるの。素早いけど、肉は柔らかくてグリルにぴったり。トムさんの追跡ランタンなら、簡単に見つけられるわ。」
エリックが豪快に笑う。
「ウィンドラビット! そいつはいいな! トム、狩り行くか? 優、グリルの準備しといてくれよ!」
---
村の宿「ウィンドソングイン」に荷物を下ろし、宿の小さな厨房で試作開始。ウィンドベリーを潰してシロップにし、クリムゾンミントとクリスタルハニーを加えて、スターオーブンで冷やしたスパークルドリンクを作る。カイラが風魔法で泡に星屑のようなエフェクトを施すと、まるで村の夜空を閉じ込めたような輝きだ。
シルクハーブとクリアリーフ、ウィンドベリーを組み合わせ、サンライムのドライフルーツをトッピングしたサラダも作る。爽やかな風味と軽い魔力回復効果が、旅の疲れを癒してくれる。
村の子供たちが厨房を覗き込み、興味津々に話しかけてくる。
「ねーねールミエールから来た料理人さん? 」
「このサラダ、キラキラしてる! 」
「食べてみたいな!」
「お願いー!」
「わかったわかった!お皿を持っておいで!」
「やったー!」
「わーい!」
リナが子供たちにサラダを配りながら目を輝かせる。
「優!このサラダってば村の人にも大人気だね!せっかくだしさ、ウィンドベリーのドリンクもあげちゃおう!」
カイラがシルクハーブを分析しながら言う。
「このハーブは魔力のバランスを整える効果があるわね。エルフの森の料理に使ったら、どんな風になるのかしら? ねえセリナ、村のレシピをもっと教えて欲しいわ。」
セリナが子供たちにドリンクを渡しながら答える。
「シルクハーブはエルフの森でスープやサラダに使うの。ムーンストーンフルーツと合わせると癒し効果が強まるわ。明日、森の入り口に着いたらもっと詳しく話すね。」
トムが市場から戻って来てウィンドラビットを一匹持ってくる。
「よっしゃ! ウィンドラビットゲットしてきたぜ!優!この肉、グリルで何かやってくれよ!」
出たよトムのグリルフェチ……作りますけどね!
グリルの準備開始。ウィンドラビットの肉を薄く切り、ルナペッパーとファイアペッパーで味付けして焚き火で焼く。甘い香りとスタミナアップ効果が村の夜にぴったりだ。
エリックがグリルを食べて豪快に笑う。
「んー! このウィンドラビット、柔らかくて最高だぜ! 村の宴会でこれ出したら、みんなぶっ飛ぶな!」
ローラがスパークルドリンクを飲みながら微笑む。
「ウィンドベリーのドリンクも爽やかで素敵ね。リナ、シロップの作り方はちゃんと覚えたわね?優、森でもこんなドリンク作ってみて。」
キラがピピッと鳴いて、ウィンドベリーのシロップを舐めながら跳ね回る。まるで「村の味、僕も大好き!」って言ってるみたいだ。
---
宿の食堂で、村人たちと焚き火を囲む。星空の下、ウィンドウィスパーの穏やかな風が頬を撫でる。セリナが地図を広げて明日の計画を話す。
「明日は森の入り口に着くわ。そこから奥に進むと、ムーンストーンフルーツが採れる場所があるの。夜に摘むと一番輝くから、夕方までに準備を整えましょう。」
リナが目を輝かせて言う。
「んんー!ムーンストーンフルーツ、めっちゃ楽しみ! 優、森でどんなデザート作る? ウィンドベリーも持って行こうよ!」
カイラが星空を見上げながら言う。
「ウィンドウィスパーのハーブは魔力が強いわね。森の食材はもっとすごいのかしら? セリナ、エルフの料理のコツをもっと教えて欲しいわ。」
セリナが穏やかに答える。
「エルフの料理は食材の魔力を活かすのが大事なの。ムーンストーンフルーツはシンプルにジュースやムースにすると、癒し効果が引き立つわ。優さんのアイデアも楽しみよ。」
トムがニヤリと笑う。
「森の奥に何かレアな魔獣いるかな? ウィンドラビットみたいに、グリルに合うやつ頼むぜ、優!」
エリックが豪快に笑う。
「ハハッ! 森の食材で、優の料理がどうなるか楽しみだな! 明日も馬車、ガンガン飛ばすぜ!」
---
ウィンドウィスパー村の温かな灯りと、ウィンドベリーの爽やかな香りが、旅の2日目を特別にしてくれた。
明日、エルフの森の入り口に到着し、ムーンストーンフルーツの輝きに近づく。
どんな魔法の食材、どんな新しい絆が生まれるんだろう?
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