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星の谷と新たな魔法の味
しおりを挟む日記 二十八日目
エルフの集落の温かな夜を後にして、僕たちは星の谷へ足を踏み入れた。
星屑のような光が舞う谷で、スターダストミントの爽やかな香りに包まれた。
エルフの新しい仲間と、料理で笑い合い絆を深めた。
キラのピピッという鳴き声が、まるで「このミント、僕も大好き!」って言ってるみたい。
森の魔法と新しい食材はどんな冒険を連れてくるんだろう?
---
朝、エルフの集落の木々の間を抜け、セリナの案内で星の谷へ向かう。森の小道は苔むした石畳が続いて朝露がキラキラと光る。キラが荷台でピピッと鳴き、ふわふわの羽を揺らす。まるで「谷、どんな匂いかな!」とワクワクしてるみたいだ。
リナが小道の花を摘みながら、鼻歌まじりに言う。
「優! 昨日のムースはエルフの人たちめっちゃ喜んでたね! スターダストミントってどんな味?だろうね?キラキラしたドリンクにしたいな!」
カイラが魔力スキャナーを手に、ちょっと皮肉っぽく笑う。
「リナ、鼻歌やめて集中しなさい。スターダストミントは名前からして魔力強そうじゃない?セリナ、谷の環境ってどんな感じ?」
セリナが小道の先を見ながら答える。
「星の谷は夜に星の光が集まる場所よ。スターダストミントはそこで育ち、爽やかな香りと魔力回復の効果があるの。ムーンストーンフルーツと合わせると、味も魔力も引き立つわ。」
トムが追跡ランタンを肩にかけ、ニヤリと笑う。
「ミントもいいけど、谷に何かグリルできる魔獣いねえかな? 優、俺が狩ったら、なんかスパイシーなの頼むぜ! なあ、リナ、デザートばっかじゃ力出ねえぞ?」
あ、はじまった。
リナがムッとして反撃。
「トム、うっさい! グリルばっか食べてると、口から火吹くよ! 優、スターダストミントでさっぱりしたの作って、トムの舌リセットしてやろう!」
「なんだと?!」
エリックが御者台から爆笑する。
「ハハッ! リナ、いいパンチだ! 優、ミントで何かスッキリしたの作って、トムの火吹き舌を冷ましてやれ! 谷には昼過ぎには着くぞ!」
ローラがクスクス笑いながら言う。
「リナはトムをからかうの楽しそうね。優、スターダストミントで新しいデザートを試してみない? エルフの仲間にも喜ばれそうよ。」
「いいね、そうしよう!」
---
昼過ぎに馬車が星の谷に到着した。谷は開けた盆地で、昼間でも微かな星屑のような光が空気中に漂っている。スターダストミントの小さな緑の葉が、谷のあちこちでキラキラと輝いてて綺麗だ。エルフの集落から来た若いエルフのシエルヴェインが迎えてくれる。長い銀髪を揺らして穏やかに微笑む。
シエルヴェインがスターダストミントの茂みを指差す。
「セリナ、ルミエールの料理人たちを連れてきたのね。スターダストミントは摘みたてが一番よ。どんな料理にするかを見せてくれる?」
リナがミントを手に取り、目を輝かせる。
「わあー!シエルヴェインさん! このミント、めっちゃいい香りだね!優、ドリンクにしたらキラキラするよね? ねえ、シエルヴェインさんの好きな食べ物って何?」
シエルヴェインが少し照れながら答える。
「私は、甘酸っぱいのが好きかな。ムーンストーンフルーツのジュースに、スターダストミントを入れると爽やかよ。リナ、トムさんはグリル派みたいだけど、あなたは?」
トムが割り込んで、ムッとした顔で言う。
「おい、なんで俺がグリル派ってバレてんだよ! シエルヴェイン、俺だってミントも食うぞ! 優、グリルも忘れんなよ! 谷に何か魔獣いるか?」
シエルヴェインが笑いながら答える。
「谷にはスターフォックスって小さな魔獣がいるわ。素早いけど、肉は軽い甘みがあって、グリルにすると美味しいよ。追跡ランタンなら追えるわ。」
カイラがミントを手に、冷静に言う。
「スターフォックスか、面白そうね。トムは狩るなら怪我しないでよ。優、スターダストミントの魔力、ムーンストーンフルーツとどう合わせる?」
エリックが拳を握り、叫ぶ。
「スターフォックス! そいつはいい! トム、狩れ! 谷ででっかい宴会やろうぜ! エルフの連中をぶっ飛ばすような料理頼むな!」
まーた宴って言い出しちゃったよもう。
ぶっ飛ばしてどうするんだよ…。
リナがエリックをチラッと見て、ボソッと言う。
「エリック、声でかすぎ。スターフォックスが逃げるよ…。優、ミントのドリンク、絶対作ってね!」
---
谷の中央にキャンプを設営して焚き火を囲む。トムとエリックが追跡ランタンでスターダストミントを摘み、スターフォックスを一匹捕まえてきた。キラがミントの葉を嗅ぎ、ピピッと鳴く。まるで「この香り、僕も混ぜて!」って言ってるみたいだ。
試作開始。スターダストミントとムーンストーンフルーツを潰し、クリスタルハニーを加えて冷やしたスパークルジュースを作る。カイラが風魔法で星屑のような泡を加えると、ジュースは谷の夜空のように輝いて飲むと爽やかな清涼感と魔力回復の効果が広がる。炭酸水ってカイラの魔法で作れちゃうんだな…便利だ。何だか他にも色んな炭酸水作ってみたくなってきた。
スターフォックスの肉は薄く切り、シルバーヴァインとファイアペッパーで味付けし、焚き火で焼く。甘い香りと軽いスタミナアップ効果が、夜の宴にぴったりだ。
リナがジュースを飲んで叫ぶ。
「優! このジュース、めっちゃスッキリ!だね!キラキラ光ってるし、飲むと元気出る! シエルヴェインさん、どう!?」
シエルヴェインがジュースを味わい、目を輝かせる。
「素晴らしいわ! スターダストミントの爽やかさが、ムーンストーンフルーツとこんなに合うなんて! リナ、優さんのアイデア、最高ね。」
トムがグリルを頬張り、ちょっと照れながら言う。
「グリル、うまいな…。でも、優、このジュース、俺の舌もリセットされた感じだぞ。次はもっとスパイシーなグリル頼むな!」
カイラがジュースを飲みながら笑う。
「あら。トムがグリル以外褒めるの珍しいじゃない?このスターダストミントは魔力回復効果が強いわね。優、このジュースなら集落でも人気出るわよ。」
セリナがエルフの仲間たちと話しながら微笑む。
「優さんの料理は谷の夜にぴったりね。スターダストミント、集落でもっと試してみたいわ。次は何作る?」
エリックがグリルを手に、大声で言う。
「ハハ! このジュースとグリルは谷の星に負けてねえぜ! シエルヴェイン、エルフの宴会はもっと盛り上げよう!」
もう!エリックは頭の中宴だらけだな!
キラがピピッと鳴き、ジュースの滴を舐めて跳ねる。まるで「谷の味、僕もハマった!」って言ってるみたいだ。
---
焚き火の光の下でシエルヴェインが谷の奥を指差す。
「明日は谷の奥にある星屑の洞窟に行く? そこでしか採れないスターフロストベリーがあるわ。ムーンストーンフルーツと合わせると、きっとすごいデザートになるわよ。」
リナが目を輝かせ、飛び跳ねる。
「スターフロストベリー! めっちゃキラキラな名前! 優、絶対デザート作ろう! トムはベリーもちゃんと食べてよね!」
トムがムッとして返す。
「リナ、うっさい! ベリーも食うよ! でも、洞窟に魔獣いるなら、優、グリル用の肉も頼むぜ!」
カイラが呆れ顔で言う。
「二人とも、ほんと騒がしいわね……。スターフロストベリーか、魔力分析楽しみだわ。セリナ、洞窟ってどんな場所?」
セリナが穏やかに答える。
「星屑の洞窟は、星の光が結晶になった場所よ。スターフロストベリーは冷たくて甘酸っぱい実なの。ムーンストーンフルーツと合わせると、癒し効果がさらに強まるわ。」
エリックが両拳を叩き、叫ぶ。
「星屑の洞窟! なんか冒険っぽいな! 優、そこでまたでかい宴会やろうぜ! エルフの連中、もっと驚かせろ!」
---
星の谷の輝きと、スターダストミントの爽やかな香りが、僕たちの旅を彩ってくれた。
明日は星屑の洞窟へ向かい、スターフロストベリーと出会う。
どんな魔法の食材でどんな絆が生まれるんだろう?
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