63 / 80
月光の滝とフルールミスト
しおりを挟む日記 三十三日目
月影の森の静かな光を抜けて、僕たちは月光の滝にたどり着いた。
滝の水しぶきとフルールミストの繊細な甘さに心が躍る。
エルフの料理文化に学び、ヴィエルスプリットとの小さな戦いを乗り越え、みんなと新しいレシピに挑戦した。
キラのピピッという鳴き声が、まるで「この味、僕も味わいたい!」って歌ってるみたい。
滝の魔法が、どんな新しい冒険を連れてくるんだろう?
---
朝、月影の森の柔らかな光を後にしてセリナの案内で月光の滝へ向かう。森の小道は苔むした岩と清流に沿って続き遠くで滝の音が響いている。キラが馬車の荷台でピピッと鳴き、ふわふわの羽を揺らす。まるで「滝で何作る?」とワクワクしてるみたいだ。
「この滝の音、なんだか料理の新しいアイデアが浮かびそうだね。フルールミストってどんな風味なんだろう? セリナ、エルフの料理文化だとどうやって使うの?」
僕が清流の流れを眺めながら言うとセリナが清流のそばで答える。
「フルールミストは甘く繊細な果実で、魔力を高める効果があるわ。エルフの料理では、素材の力をそのまま活かすため、軽く潰してスムージーにしたり、サラダに散らすの。セドラリーフを加えると、香りが優しく広がるわ。」
リナが清流に手を浸し、目を輝かせる。
「優! フルールミスト、スムージーにしたらキラキラしそう!じゃん!エルフのシンプルな料理、すごく素敵! トム、どんな風に食べたい?」
「スムージーか、いいな! 俺、グリルも欲しいけど、セドラリーフでサラダに爽やかな風味つけたいぜ! セリナ、滝にグリルできる魔獣はいる?」
リナとトムの姿にセリナが微笑む。
「月光の滝にはヴィエルスプリットって魔獣がいるわ。素早いけど、肉は軽い甘みで、グリルにすると香ばしいよ。エルフは魔獣の魔力を引き出すため、セドラリーフや香辛料を丁寧に使うの。」
カイラが清流の魔力をスキャンしながら言う。
「ヴィエルスプリットはグリルに合いそうね。優、フルールミストのスムージーはセドラリーフでどう味を整えるの? エルフのハーブ使い、面白いわ。」
「エルフのハーブ使い、ほんと奥深いよね。スムージーはフルールミストの甘さを活かして、セドラリーフで清涼感をプラスしたいな。リナはトッピングでどんな雰囲気を出したい?」
僕が荷台の道具を整理しながら聞くとリナが笑顔で提案してきた。
「セドラリーフを細かくして、スムージーに霧みたいに散らしたい! 泡で何か面白いことできないかな?」
エリックが手綱を握り、笑い出す。
「ハハ! 優、フルールミストとヴィエルスプリット! 滝でド派手な料理作って、エルフの連中を驚かせようぜ! 昼には着くぞ!」
ローラが穏やかに微笑む。
「もうエリック、声大きいわよ。優、エルフのシンプルな料理は参考になりそうね。スムージーとグリル、どんな風に仕上げるかも決めなくちゃね。」
---
昼過ぎに馬車が月光の滝に到着した。滝は岩壁から流れ落ち、水しぶきが月光のような光を反射している。フルールミストの木が滝の周囲に点在して繊細な甘い香りが漂っている。エルフの集落から同行したシエルヴェインが、滝の水辺を指差して言った。
「ここが月光の滝よ。フルールミストはあの木に実ってるわ。セドラリーフも近くに生えてる。優さんの料理が楽しみよ。」
すると突然、滝の霧の中からヴィエルスプリットが飛び出してくきた。輝く羽を持つ小さな魔獣が、鋭い鳴き声で馬車に突進してくる。トムが追跡ランタンを構えて叫んだ。
「優、ヴィエルスプリットだ! 速いぞ! 俺とエリックで抑えるから、フルールミストを守ってくれ!」
「トム、エリック、霧の中でランタンの光を頼りに動いて! カイラ、風魔法で視界を確保して!リナとセリナはフルールミストの木をカバーして!みんな、怪我に気をつけて!」
カイラが風魔法を放ち、霧を払ってヴィエルスプリットの動きを捉える。トムとエリックがランタンの光で魔獣を牽制し、エリックが剣で羽を狙って動きを鈍らせる。リナとセリナがフルールミストの木を守り、リナが叫んだ。
「優! フルールミストはしっかり守ってるよ! トム、早くやっつけて!」
数分後、トムがランタンの光を集中させ、ヴィエルスプリットを気絶させた。エリックが拳を振り上げ、笑う。
「ハハ! 優、フルールミスト守ってくれてサンキュ! こいつはグリルにピッタリだぜ!」
僕はフルールミストを手に、笑いながら言う。
「みんな、最高のチームワークだね! ヴィエルスプリット、確かにグリルにしたら香ばしそうだね。シエルヴェインさん、エルフのグリルってどんなハーブの使い方をするの?」
僕が聞くとシエルヴェインが微笑む。
「エルフは魔獣の魔力を最大限に引き出すためにグリルにハーブをたっぷり使うわ。ヴィエルスプリットなら、セドラリーフで甘みを引き出して香辛料で軽い刺激を加えるのが伝統よ。優さんのアレンジが楽しみね。」
---
滝の水辺にキャンプを設営し、月光に照らされた焚き火を囲む。トムとエリックがヴィエルスプリットを解体し、僕とリナがフルールミストとセドラリーフを摘む。キラがフルールミストを嗅ぎ、ピピッと鳴く。まるで「この果実で何かすごいの作って!」って応援してるみたいだ。
「フルールミストの甘い香り、滝の水しぶきと絶妙に合いそうだ。スムージーにセドラリーフを加えて、軽やかな風味にしたい。トム、グリルのハーブでどんなバランスを狙う?」
僕が食材を並べながら言うとトムがニヤリと笑い、提案してきた。
「優、ヴィエルスプリットなら、セドラリーフをたっぷり使って、香辛料でピリッとさせたいな! スムージーのトッピングで霧っぽくしたいぜ!」
それを聞いたリナが目を輝かせて言う。
「霧アイデア、いいね! セドラリーフを細かくして、スムージーにふわっと散らしたい! 泡でどんなキラキラにする?」
僕が焚き火を見ながら答える。
「霧のトッピングか……。スムージーはカイラの風魔法で霧のような泡を加えよう。グリルはシエルヴェインさんの伝統を参考に、セドラリーフで甘みを引き出して香辛料で締めるよ。」
試作開始。フルールミストを潰し、蜂蜜水とセドラリーフを混ぜ、スターオーブンで冷やしてスムージーに。カイラが風魔法で霧のような泡を加えると、スムージーは滝の水しぶきのように輝いて飲むと繊細な甘さと魔力回復効果が広がってくる。ヴィエルスプリットの肉は薄く切り、セドラリーフと香辛料で味付けし、焚き火で焼くと香ばしい香りが漂い、食べると体が温まるスタミナアップ効果を感じる。
「このスムージー、フルールミストの甘さが滝の清涼感と溶け合ってるね。リナ、トム、霧のトッピング、すごくいいよ! シエルヴェインさん、エルフの伝統から見てどう?」
スムージーを飲みながら僕が言うとシエルヴェインがスムージーを味わい、目を輝かせる。
「優さん、素晴らしいわ! エルフは素材の魔力をそのまま活かすけど、このスムージーは滝の魔法を閉じ込めたみたい。セドラリーフの使い方も新鮮で素敵よ。」
カイラがスムージーを飲み、頷く。
「優、このスムージー、魔力回復効果が強いわ。セドラリーフのバランスも絶妙ね。グリルも香ばしくて良いわよ。」
トムがグリルを頬張り、満足げに言う。
「うおー!このヴィエルスプリット、香ばしくて最高だ!スムージーの霧トッピング、俺たちのセンスもいいだろ?」
リナがスムージーを飲んで笑う。
「優、トムとトッピング考えるの、楽しかった! このスムージー、滝のキラキラみたい! シエルヴェインさん、もっと飲む?」
「そうね、いただくわ。」
エリックがグリルを手に、滝の水辺で叫ぶ。
「ハハ! 優、このスムージーとグリル、月光の滝より輝いてるぜ! シエルヴェイン、もっとエルフ呼んで、宴会拡大だ!」
セリナがエルフの仲間と話しながら微笑む。
「優さんの料理は滝の魔法と調和してるわ。集落に持ち帰ったら、みんな喜ぶわよ。次のレシピも楽しみね。」
ローラがスムージーを味わいながら言う。
「フルールミストのスムージー、素敵よ。リナとトム、トッピングのアイデアも最高ね。次も優をサポートしてね。」
キラがピピッと鳴き、スムージーの滴を舐めて跳ねる。まるで歌ってるみたいだ。
---
月光が滝の水面を照らし、幻想的な光がキャンプを包む。シエルヴェインが滝の奥を指差す。
「明日、滝の奥にあるクリスタルグローブに行く? そこでしか採れないシャンデューがあるわ。フルールミストと合わせると、すごいデザートになるわよ。」
「シャンデュー、名前からしてキラキラした甘さがある感じかな?デザートなら、どんな食感や見た目がいいかな?リナはどんなイメージ持ってる?」
僕が聞くとリナが目を輝かせて提案してきた。
「シャンデューをゼリーに散らして、キラキラさせたい! トム、トッピング一緒に考えようよ!」
トムがニヤリと笑い、答える。
「セドラリーフを細かくして、ゼリーに霧みたいに散らそうぜ! グローブに魔獣いる?」
カイラが微笑みながら言う。
「ゼリーはいいアイデアね。シャンデューの魔力分析楽しみだわ。セリナ、クリスタルグローブってどんな場所?」
セリナが穏やかに答える。
「クリスタルグローブは、月光が結晶に映る美しい場所よ。シャンデューは甘く軽い食感で、魔力回復効果が強いわ。グローブにはルミエールバタフライって魔獣もいるの。」
「クリスタルグローブ! なんか冒険っぽいな! 優、そこでまたド派手な宴会やろうぜ! エルフの連中、もっと驚かせろよ!」
月光の滝の輝きと、フルールミストの繊細な甘さが、僕たちの旅を彩ってくれた。
明日はクリスタルグローブへ向かう。
楽しみだな!
139
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』
雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。
前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。
しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。
これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。
平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。
異世界ネットスーパー始めました。〜家事万能スパダリ主夫、嫁のために世界を幸せにする〜
きっこ
ファンタジー
家事万能の主夫が、異世界のものを取り寄せられる異世界ネットスーパーを使ってお嫁ちゃんを癒やしつつも、有名になっていく話です。
AIと一緒に作りました。私の読みたいを共有します
感想もらえたら飛んで喜びます。
(おぼろ豆腐メンタルなので厳しいご意見はご勘弁下さい)
カクヨムにも掲載予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる