癒やしの旅人

風待 結

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闇の策謀と光の絆

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エルラは大賢者アルテミスの研究室で、朝から補助魔法の訓練に励んでいた。
古い書物と魔法の道具に囲まれた部屋は、静かな緊張感に満ちていた。
エルラは手に持つ小さな水晶に意識を集中し、青い光を放つ。
光はまだ不安定だが、昨日より安定していた。

「ふむ、集中力が高まっているな。良いぞ。次は、対象を指定して力を付与する訓練だ」

アルテミスが厳しくも温かい声で指導した。彼の白髪が朝の光に映え、知識の深さが感じられた。

「はい、大賢者様! 私、頑張ります!」

エルラは目を輝かせた。癒し師としての過去を乗り越え、新たな力を習得する喜びが彼女を駆り立てていた。

一方、王都の裏通りでは、カイ、タロン、リア、ガルドが闇の使徒の動きを追っていた。
ガルシア卿の屋敷周辺で不審な動きが報告されており、彼らは慎重に調査を進めていた。

「カイ、ほら、あの路地。黒いローブの奴がいるぜ」

タロンが囁き、路地の影を指した。
彼の陽気な口調は抑えられ、鋭い目つきに変わっていた。

「確かに怪しいな。僕たちが近づく前に、リア、魔法で気配を探れるか?」

カイが剣の柄に手を置き、穏やかに尋ねた。

「ええ、任せて。でも少し時間が必要よ」

リアが小さな水晶を取り出し、詠唱を始めた。

ガルドが盾を構え、低く言った。

「敵が動く前に、俺が先に行く。合図を頼むぞ」

リアの魔法が完成し、路地の気配を捉えた。

「三人…いや、四人。魔力を帯びた武器を持ってるわ。闇の使徒の精鋭ね。ガルシア卿の屋敷に繋がる地下道に潜んでる」

カイが頷き、決断した。

「ならば僕たちが先制する。タロン、リア、援護を頼む。ガルド、先頭を頼むよ」




その頃、エルラはアルテミスの指導の下、補助魔法の実践訓練に進んでいた。
アルテミスが木製の人形を部屋の中央に置き、言った。

「この人形に力を付与してみなさい。速度を高める魔法を試してみなさい」

エルラは水晶を握り、深呼吸した。
結晶の力と似た感覚を思い出し、青い光を放つ。
光が人形を包み、人形がわずかに動き出す。

「できた…! 大賢者様、できたよ!」

エルラが興奮して叫んだ。

「良いぞ、エルラ。だが戦場では複数の対象に瞬時に付与する必要がある。もっと精度と速度を上げなさい」

アルテミスが厳しく指摘しつつ、微笑んだ。

そこへ、リアからの魔法通信が入った。
アルテミスの水晶球が光り、リアの声が響く。

「師匠、ガルシア卿の屋敷近くで闇の使徒の精鋭を発見しました。地下道に潜んでいます。結晶を狙ってる可能性が高いです」

アルテミスが眉を寄せた。

「ガルシア卿か…。予想通りだな。エルラ、訓練を中断する。君の仲間たちと合流し、闇の使徒を阻止する準備をしなさい」

エルラは頷き、水晶を握りしめた。

「はい! 私、みんなを助けます!」



王都の裏通り、地下道の入り口で、カイたちは闇の使徒と対峙していた。
黒いローブの四人は、魔力を帯びた剣と杖を持ち、訓練された動きで襲いかかってきた。

「結晶はどこだ! 渡せば命は助ける!」

リーダーが叫び、闇の魔法を放つ。
ガルドが盾で防ぎ、カイが剣で反撃する。

「貴様らに渡すものはない!」

カイの剣が敵の肩を斬り、タロンの矢が別の敵を射抜く。
リアの火炎魔法が地下道を照らし、敵を圧倒する。

だが、敵のリーダーが強力な闇の波動を放ち、ガルドが吹き飛ばされた。

「ガルド!」

タロンが叫び、矢を放つが、敵の魔法障壁に弾かれる。

その時、エルラとアルテミスが地下道に駆けつけた。
エルラは水晶を握り、補助魔法を放った。青い光が仲間たちを包み、彼らの動きが一気に速くなる。

「エルラ、ナイスだ! これならいけるぜ!」

タロンが笑いながら矢を放ち、敵の障壁を破る。

「エルラ、君の魔法は完璧だ!」

カイが剣を振るい、敵のリーダーに突進する。

リアが魔法を重ね、ガルドが立ち上がって盾を構えた。

「俺はまだやれる! エルラ、ありがとう!」

エルラはさらに魔法を集中し、仲間たちの力を高めた。
アルテミスが杖を振り、強力な光の魔法で敵を一掃した。
闇の使徒は退却して地下道は静寂に包まれた。



戦いの後、グループはアルテミスの研究室に戻り、状況を報告した。
アルテミスが重い口調で言った。

「ガルシア卿の裏切りはほぼ確実だ。だが、彼を直接告発するには証拠が必要だろう。結晶は私が王に渡し、病の治療を始める。エルラ、君の補助魔法は今回の戦いで証明された。これからも学び続けなさい」

エルラが頷いた。

「はい、大賢者様。私、もっと強くなって、みんなを守れるようになります!」

タロンが笑いながら言った。

「エルラ、補助魔法使いとしてバッチリだな! 次はどんな技見せてくれるんだ?」

「エルラ、君の魔法は戦場を変えたわ。誇りに思うべきよ」

リアが微笑みながら言った。

ガルドが静かに頷いた。

「お前がそこまでやれるなら、俺たちももっと頑張らねえとな」

カイがエルラの肩に手を置き、言った。

「エルラ、君の新しい力は、僕たち全員の希望だ。政治の闇や敵の策謀があっても、君と一緒なら乗り越えられる」

エルラは仲間たちの信頼に目を潤ませ、微笑んだ。

「ありがとう、みんな。私、アルテミスさんの下でしっかり学んで、結晶の力を正しい未来に導くよ。みんなと一緒なら、どんな敵も怖くない!」



その夜、王都の灯りが輝く中、アルテミスは結晶を王に届け、病の治療が始まった。
エルラは研究室に戻り、補助魔法の書物を手に、新たな一歩を踏み出した。
闇の使徒の脅威はまだ残るが、彼女と仲間たちの絆は、王国の未来を照らす光となっていた。
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