癒やしの旅人

風待 結

文字の大きさ
11 / 12

光の勝利と新たな旅たち

しおりを挟む


王都の空は朝焼けに染まり、街全体が新たな希望に包まれていた。
エルラは大賢者アルテミスの研究室で、生命の結晶を手に最終確認をしていた。
青く輝く結晶は、王国の病を癒す最後の鍵だった。
彼女の補助魔法は日々上達し、仲間たちを強化する力は戦場で頼りにされていた。
だが、闇の使徒とガルシア卿の脅威が迫る中、今日が決着の日となる予感があった。

「エルラ、王に渡す結晶は準備できたか? 」

アルテミスが厳かに言った。彼の白髪が朝の光に映え、知識と決意が感じられた。

「はい、大賢者様。結晶は無事です。必ず王様に届けるよ」

エルラは結晶を布に包み、胸元にしまった。

「今日で全部片付けて、俺たち英雄だな!」

タロンが研究室の入り口で笑いながら叫んだ。彼の陽気な口調が、緊張を和らげる。

「タロン、軽率よ。ガルシア卿と闇の使徒はまだ動いてるわ。結晶を王に渡すまで、絶対に油断できない」

リアがこめかみを抑えながらため息をつく。

ガルドが盾を肩にかけ、低く言った。

「エルラ、お前が結晶を守るなら、俺が最後まで盾になる」

カイが剣を点検しながら、穏やかに言った。

「エルラ、君の補助魔法は僕たちの命綱だ。今日、僕たち全員で結晶を守り、王国を救おう」

エルラは仲間たちの信頼に目を潤ませ、頷いた。

「ありがとう、みんな。私、絶対に結晶を守るよ。みんなと一緒なら、どんな敵も怖くない!」



王宮への道は、衛兵の監視が厳重だった。エルラたちはアルテミスの護衛と共に王の謁見室に向かった。
だが宮殿の回廊で、黒いローブの集団が現れた。闇の使徒だ。
リーダーの背後に、ガルシア卿自身が立っていた。
豪華な装飾の鎧をまとい、冷たい笑みを浮かべている。

「結晶を渡せ。さもなくば、王都は血の海だ」

ガルシア卿が剣を抜き、威圧的に言った。

「貴様が闇の使徒の黒幕か! 結晶は王国の希望だ!渡すわけがない!」

カイが剣を構えて叫んだ。

「愚かな。結晶の力は我々のものだ。闇の使徒ども、攻撃しろ!」

ガルシア卿の命令で、闇の使徒が一斉に襲いかかった。
魔力を帯びた剣と魔法が飛び交う中、ガルドが盾でエルラを守り、カイが敵の剣士と激しく打ち合った。
リアの火炎魔法が敵を焼き、タロンの矢が正確に急所を射抜く。

エルラは結晶を握り、補助魔法を放った。青い光が仲間たちを包み、彼らの動きが速くなり、力がみなぎる。

「エルラ、ナイス! これでぶっ飛ばすぜ!」

タロンが笑いながら矢を放ち、敵を次々に倒す。

カイが剣を振るい、敵を押し返す。

リアが叫んだ。

「ガルシア卿を狙うわ! エルラ、魔法を集中して!」

エルラは頷き、水晶を通じて補助魔法を強化した。
青い光がさらに強く輝き、仲間たちの攻撃が鋭さを増す。
ガルドが敵の魔法を盾で防ぎ、リアの魔法がガルシア卿の鎧を焦がした。
カイが突進し、ガルシア卿の剣を弾き飛ばした。

「くそっ、貴様ら…!」

ガルシア卿が叫ぶが、アルテミスが杖を振り、強力な光の魔法で彼を拘束した。

「ガルシア卿、貴様の裏切りはここで終わりだ。王に全てを報告する」

アルテミスが厳かに宣言し、衛兵がガルシア卿と闇の使徒を捕らえた。



謁見室に通されたエルラたちは、王の前に立った。老いた王は病に弱りながらも、結晶を見ると目を輝かせた。

「これが…生命の結晶か。君たちのおかげで、王国は救われる」

王が震える声で言った。

エルラが一歩前に出て、結晶を差し出した。

「王様、私たち、この結晶を届けるために旅してきました。どうか、病に苦しむ人々を救ってください」

アルテミスが結晶を受け取り、王に渡した。

「陛下、結晶の力は私が管理し、病の治療に用います。ガルシア卿の裏切りも明らかにし、断罪します」

王が頷いた。

「大賢者よ、君に任せる。冒険者たちよ、君たちの勇気は王国に希望をもたらした。感謝する」

カイが一礼し、言った。

「陛下、僕たちの役目は結晶を届けることでした。エルラの力とエルラの持っていた力の犠牲がなければ、ここまで来れませんでした」

タロンが笑いながら言った。

「だろ? エルラ、めっちゃすごいんだから!」

リアが微笑みながら言った。

「エルラ、君の補助魔法は私たちの勝利の鍵だったわ。誇りに思うべきよ」

ガルドが静かに頷いた。

「お前がいたから、俺たちは最後まで戦えた」

エルラは仲間たちの言葉に目を潤ませ、微笑んだ。

「ありがとう、みんな。私、癒しの力を失ったけど、みんなと一緒に新しい力を見つけた。この旅で、たくさんのことを学んだよ」



その夜、王都の広場で祝賀の宴が開かれた。
結晶の力で病が癒され始め、民衆の笑顔が溢れていた。
エルラは仲間たちと火のそばに座り、夜空を見上げた。

「今回の冒険、最高だったな!次は何やる?」

タロンがスープを飲みながら笑った。

「タロン、騒がしいわよ。でも…エルラ、君のおかげで王国は救われたわ。これからも一緒に冒険しましょうね」

リアが柔らかい笑顔を見せた。

ガルドが低く言った。

「お前が新しい力を手に入れたなら、俺たちももっと強くなれる。次も頼むぞ」

カイがエルラの肩に手を置き、言った。

「エルラ、君は僕たちに希望をくれた。この絆は、どんな試練も乗り越えられる。新しい旅が待ってるよ」

エルラは仲間たちの顔を見回し、頷いた。

「うん、みんなと一緒なら、どんな未来も怖くない。私、補助魔法をもっと磨いて、みんなを支え続けるよ。新しい冒険、楽しみだね!」

夜空に星が瞬き、王都の灯りが輝く中、エルラと仲間たちの絆は新たな旅への第一歩を照らしていた。
生命の結晶は王国を救い、闇の使徒は断罪された。
エルラの物語は終わりを迎えたが、彼女の心には新たな希望が芽生えていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。 泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。 それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ! 【手直しての再掲載です】 いつも通り、ふんわり設定です。 いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*) Copyright©︎2022-まるねこ

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

華都のローズマリー

みるくてぃー
ファンタジー
ひょんな事から前世の記憶が蘇った私、アリス・デュランタン。意地悪な義兄に『超』貧乏騎士爵家を追い出され、無一文の状態で妹と一緒に王都へ向かうが、そこは若い女性には厳しすぎる世界。一時は妹の為に身売りの覚悟をするも、気づけば何故か王都で人気のスィーツショップを経営することに。えっ、私この世界のお金の単位って全然わからないんですけど!?これは初めて見たお金が金貨の山だったという金銭感覚ゼロ、ハチャメチャ少女のラブ?コメディな物語。 新たなお仕事シリーズ第一弾、不定期掲載にて始めます!

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...