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ダンジョンバトル

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 少女が一方的に予告したダンジョンバトル当日、あと数十分でバトルが始まる。
 冒険者は昨日全員外に退避させた。

 ジェノルムがギルドを通して避難命令を出してくれたので、商人たちも大人しく下がってくれている。
 そのジェノルムは緊張しながら俺と同じテーブルで茶を飲んでいた。

「何で俺よりジェノルムさんが緊張してるんすか……」

「仕方ねえだろ!人類史上はじめての発見が立て続けに起きてるんだから緊張くらいする。それより本当に大丈夫なのか?」

「勝機がなかったらこんなに落ち着いてませんって。見ますか?俺の切り札」

 俺の後ろに現れたものを見てジェノルムはあんぐりと口を開けた。
 しかしすぐに苦笑いになる。

「全く。贅沢なことだな」

「材料が有っても人手が少々……ジェノルムさん、手頃な悪人はいませんかね?」

 俺の冗談とも、本気とも取れない言葉に苦笑いのまま固まってしまった。

「冗談っすよ冗談。実はこれ以外にもあるんですよほら」

 俺は言いながら拳銃を机の上に置いた。

「これは?」

「銃と言われる武器です」

「これが銃?俺が知ってるのとは違うな」

 あれ?この世界、銃あるのか?あ、歴代勇者の中にミリタリーオタクでもいたのか。
 ファンタジー世界に銃なんて作ったら無双だろうな。

「どういうのですか?」

 紙とペンを渡して絵を描いてもらうと、火縄銃のような銃だった。

「あーこれですか。こっちの方が高性能ですね」

 マスタールームの壁際に鉄製の鎧を置いて、それに狙いをつけてセーフティを外し撃ってみた。
 鎧の右腹部に穴が空いた。そのまま弾がなくなるまで打ち続けると鎧は穴だらけになった。

「売ってくれ!」

「あげますよ」

 拳銃は1万DPだけど、今の俺には安いもんだ。

「それでぇ、それよりも強化されてるのがコイツです」

 ドンッと、俺がおいたのはアサルトライフル。正式名称は覚えてない。A何とかだった気がする。
 今度はこれをフルオートで鎧に撃ち込むと、鎧は鎧だったものになった。

「……………………これは世に出さないでくれ」

「やっぱり」

 火縄銃の時代に現代兵器はキツかったか。
 でも、新しく作った第二迷路の下の方にタンクスライムが居るんだよなあ。
 戦車が100億DPだからあまり数はいない。
 ピストルスライムは分裂してくれたけど、アサルトライフルスライムやタンクスライムは分裂してくれなかった。

 ある程度の強さを持った道具系スライムも分裂できないという事だろうか。
 銃と残骸を片付けると、マスタールームのモニターが付いて対戦相手の少女が映された。

『一週間ぶりね。この変態。あら?そのおじさんは誰?』

「俺の客だ。この戦いを見学する」

『ず、随分と余裕ね。すぐに吠えづらかかせてやるわ!』

 俺の余裕な態度に少女はムッとした顔で言った。

「強者は常に余裕を見せる。さっさと始めるぞ」

『黙っていれば!カースダンジョン、ヴァイオレット!』

 これはダンジョンバトル前の名乗り。これをすることでお互いのダンジョンの入り口がつながる。

「スライムダンジョン、雄亮。ダンジョンバトル」

『レディー、ゴー!』

 よし、俺のデビュー戦だ。圧勝してやる。
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