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382 古い箱
しおりを挟むお寺の屋根裏から発見された古い木箱。
大きさはちょうど二リットルのペットボトルが収まるぐらい。
厳重に封がされており、なにやらお札みたいなのが張られてある。
重さは軽い。
それこそ小学校二年生の女児の小さな手でも軽々持てる程度。
振ってみるとカサコソと音がする。
が、見つかった場所といい、その様子といい、なにやら開けるのが躊躇われる品。
住職が寺の三代ほどにまで遡って記録を調べてみたのだが、それらしい記載はどこにもナシ。
どうやらそれ以前から伝わる物らしい。
さて、どうしたものかと住職。
句会サークルの仲間たちに相談。
このサークルにはミヨちゃんのおばあちゃんも参加しており、その伝手にてこの話を聞いたミヨちゃん、祖母にせがんで例の箱を見学させてもらえることになる。
これにヒニクちゃんも付き添う。
子どもたちは、この手の怪しい話題が大好物。
箱を手に「何が入っているのかな」と、みんなであれこれ意見を出し合う
「秘伝の巻物とか、宝の地図とか」とミヨちゃん、夢が膨らむ。
「おおかたヘソクリでも入っているとか、もしくは恋文とか」とはミヨちゃんのおばあちゃん。
生臭坊主が小姓とイケない関係になって、その想いを綴ったとか、いかにもありそうだと独りごちる老婆。
これを受けておもわず苦笑いを浮かべたのは住職の爺さま。
「あながち、ない! とはいいけれないところが、なんとも情けない。じゃが、昔はわりとその手の話しが多かったというしのぉ」と住職。坊主とBLの歴史は古いのだ。
話しているうちに、どんどん中身が気になってしようがなくなっていく。
でも歴史的価値のある品とかが入っていたいたら、迂闊に開けたらダメになってしまうかもと考えると、封を切るのにどうにも躊躇してしまう。
しかし知りたい。
さて、どうしたものかと悩んでいたら、ミヨちゃんのおばあちゃんが良い事を思いついた。
「そうだ、レントゲンで撮影すれば、中身がわかるんじゃないのかねえ」
それは確かにその通りにて。
だがいきなり病院に持って行って撮影を頼んだところで、きっと断られる。
かといって大学の研究室とかを通すと、えらく時間がかかる。
みんなはいますぐ見たいのだ。中身が何か知りたいのだ。
そこで知恵を絞った結果、頼んだら応じてくれそうな知り合いを思い出したのはミヨちゃん。
「歯医者さんにもレントゲンってあるよね? アレじゃあ、ダメなのかなぁ」
それはいいと、住職さんが檀家で同級生の歯医者さんにたずねてみたら、はじめは渋られたがミヨちゃんが頼んだらあっさり了承。お年寄りキラー、いまだ健在なり。
で、その結果、判明したのが……。
「えーと、なにコレ?」とミヨちゃん。
レントゲン写真に写っていたのは、小動物らしきモノの全身骨格。
四つん這いになった子ザルに見えなくもないが、それにしたってちと小さい。
それに頭の辺りが真っ平になっており、素人目にも「ちょっとちがうんじゃないかなぁ」という姿。
なんでそんあワケのわからない品が、お寺の屋根裏にあったのかも気になるところ。
謎の小箱の中身を知ろうとして、新たな謎が出現し、おおいに頭を悩ます一同。
これを受けてヒニクちゃんがおもむろに口を開く。
「まえに本でみたカッパのミイラに似てるかも」
全国各地にて目撃証言や伝承のあるポピュラーな存在。
呼び名だけでもうん十以上もあるんだとかで、これってとっても珍しい。
火事避け祈願にて祀っているなんて話もあるけど、その真偽やいかに。
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
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