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915 えらー
しおりを挟むコンビニに車が突っ込んだ。
たまにニュースとかで見かける光景だけれども、実際に本物を目にするのは初めて。
ミヨちゃんとヒニクちゃんは野次馬にまじって興味津々。
まるでどてっぱらに穴をあけるような勢いで真っ赤なスポーツカーが、店舗に突き刺さっているけれども、さいわいなことにケガ人はいなかった。
とはいえ、一歩まちがえば大惨事になりかねない。
ドライバーの女性は「車が勝手に急発進した!」と訴えていたというが、どうにも怪しいとは、目撃していた人の証言。
事故の原因としては、アクセルとブレーキの踏みまちがいというケースが圧倒的に多い。
もちろん車の不良ということもまったくないとはいえない。
だがしかし……。
「あんなに背の高いヒールをはいて運転するような人間のことなんて、とても信用できんよ」とのこと。
その話しを聞いてミヨちゃんも「だよねー」とうんうん。
じきに警察の現場検証もすみ、レッカー車がやってきて事故車を撤去しはじめた。
そこから先は早かった。
あっという間に現場が片付けられていく。
まぁ、さすがにコンビニの修繕は後日改めてということで、とりあえずはベニヤ板やブルーシートで破損個所を補強するにとどめるのみだけど。
お店を営業するのかどうするのかは、まだ決めかねているらしい。
こうして事故は日常に埋没していく。
それは当たり前のことながらも、これを見ていたミヨちゃんが小首をかしげる。
「飛行機とか船の事故のときって、もっとたいへんだよね? なのに車のときだけ、いっつもさらっと流されるのはどうしてなのかなぁ」
飛行機が事故を起こせば、事故調査委員会が発足されて、国も動く。
船が沈没しても、やはり相応の手続きが踏まれる。徹底的に原因を追究する。
なのに自動車だけがたいていこんな感じ。
おざなりとまでは言わないけれども、少しばかり対応が温くない?
というのがミヨちゃんの疑問。
あまりにも身の回りにあふれており、自動車がそこいらをブンブン走っていることにより、分母が多すぎるせいなのか。
だとしたら、逆に何かあったときに問題が燎原の火のごとく拡大しかねない気がする。
なにせ見かけない日はないというぐらいに、あまりにも身近にたくさん存在しているんだもの。
頻発しているのは自動車事故であり、巻き込まれる確率が高いのものまたしかり。
「このあつかいの差ってなんなんだろうねえ?」
一度にこうむる人的被害が大きいせいなのか。はたまた別の理由があるのか。
よーわからんと悩めるミヨちゃん。
それを受けておもむろにヒニクちゃんが口を開いた。
「機械としての完成度の差、かも」
自動車はほぼ完成形へと至っており、あとは安全性をどこまで
高められるかぐらい。それでも頻発する交通事故。
原因の大半はヒューマンエラーという現状をかんがみて。
ぶっちゃけ、空飛ぶ自動車とか冗談でしょ?
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
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