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179 アリとハチ
外界の争いについての情報収集はジュドーくんに一任している。
パムブック商会で稼いだ金を湯水のように使っていいとの許可をだしている。
探索者時代の伝手を頼って、優秀な人材を集めては諜報部門を立ち上げたといっていたから、今後に期待だ。
内界――樹海についての情報は各地に竹蜻蛉を派遣しつつ、フルフラールらと協力し情報を集めつつ、勢力図を作っているところ。
そのうち判明しているのは、ふたつの新勢力だ。
ひとつはオービタルという禍々。
見た目はアリ人間である。昭和の特撮ヒーローみたいな容姿にて、ちょっとカッコいい。外骨格は固く、力もけっこう強い。よって個々の戦闘力もそこそこ。
だが、このオービタルは集団戦でこそ真価を発揮するタイプ。
囲んでからの連携がかなりエグイ。自分たちの何倍も大きな相手をも圧殺する。
それから繁殖力も半端ない。観察するにどうも千単位で増えているようだ。
おそらくは昆虫のアリと同じでコロニーの最深部にいる女王がタマゴをせっせと産んでいるのだろう。
成長も早く、二ヶ月ほどで大人になる。
が、寿命も短いようで半年ほどで死ぬ。
なお死んだ仲間もしっかり巣に持ち帰って食べているようだ。
社会性も高く、仲間同士でケンカしている姿はいまのところ目撃されていない。
現在確認されているのは、黒い個体と赤い個体と白い個体の三種のみ。
黒い個体は、いわゆる雑兵の働きアリだ。いつも忙しそうにがんばっている。
赤い個体は、それらを率い現場の指揮をとるアリだ。下士官といったところか。黒いのとちがって頭や肩にトゲトゲが生えており、いかにも強そうである。
白い個体は、なにやらスマート。女騎士をおもわせるフォルムにて、立ち姿が絵になる。
が、まるで足音がせず、動きに一切無駄がないことからして、かなり強いとおもわれる。集団の中で士官とか騎士に該当するのだろう。
なお、竹蜻蛉にてコロニー内に潜入を試みたのだが、少し進んだところでこの白い個体に見咎められて、瞬殺されてしまった。
以降、警戒されているのか、なかなか近づけないでいる。
もうひとつはセレニティという禍々。
見た目はハチ人間だ。それもスズメバチタイプの。ただし、これまたフォルムがどこか女性っぽくて、ちょっと艶めかしく見えるから不思議だ。
何気ない仕草とか、ふり返った時とかに垣間見える色気はいったい何だろう?
と、疑問におもっていたら、どうやら妖しげなフェロモンを分泌しているらしいとわかった。
竹生命体である私ですらもが、映像越しでこれなのだ。
生で接したら、そのへんの種族の男なんてコロリとダマされるのではなかろうか。
ちなみにセレニティたちは、他種族のオスを捕まえたらすぐには殺さず、絞れるだけ絞ったあと、ムシャコラ食べていた。
どうやら女系の種族にて、他種族と交わることで子孫を残すタイプのようだ。
う~ん、ある意味、真なる肉食女子たちであろう。
オービタルが変身ヒーローっぽいとしたら、こちらはクノイチとか女怪人っぽい。
で、樹海で台頭してくるだけあって力、繁殖力、ともにオービタルといい勝負。
ただ単純なパワーではオービタルに軍配が上がるようだ。
けれどもスピードではセレニティが勝る。そしてなんといってもこちらは羽を持ち自在に空を飛べる。
基本、平面にしか動けないオービタルに対して、セレニティたちはブンブン立体的に動ける。それだけ戦いの幅も広がるから、これは侮れない。
あとお尻の針も危険だ。
その針を取り出しレイピアや槍のようにして戦うことも可能なだけでなく、毒までついている。
ブンブン囲まれて、切っ先が毛筋ほどもかすれば、即ゲームオーバーとか……ひどくね?
そんなセレニティたちは樹海の北西部域にある峡谷に居を構えている。
断崖絶壁にハニカム構造の巣をびっちりと。
何か事が起これば、あのすべてから一斉にセレニティたちが飛び立つと想像するだにおそろしい。
「奇しくも台頭してきたのが昆虫系の禍々とはねえ。いまのところは小競り合い程度ですんでるみたいだけど、このまま領地を拡大していけば、そう遠くない先でぶつかりそう。
これはぜひとも見逃さないようにしないと。
あとは、ふ~ん、いよいよ荒れ地に住み着く者があらわれたと」
かつてパンダクマ三兄弟が支配していた樹海中央域。
私たちカイザラーンと彼らとの戦いによって、火山ぐつぐつにて、ペンペン草も生えないような土地になってしまったのだけれども、あえてそこに住み着いた酔狂な輩。
それは……
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