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第一の怪 星月の井戸
しおりを挟む野見神社は小学校からほど近いところにある。
境内はさほど広くない。なぜだか参道の入り口を守っているのは稲荷と狛犬のペアにて、無人の小さな社の中はからっぽだ。何を祀っているのかは、わからない。ときおり散歩のついでにお年寄りが立ち寄り、手をあわせるような場所である。
とはいえ、油断はならない。
周囲に人影がないことを確認してから、こそこそと社の裏にまわる。
「うぅ、どうしてわたしたちがこんなことをするはめに……」
「どうしてって、そりゃあ編集長命令だもの。それよりもほら、リンちゃん。もっと力を入れてがんばって」
「やってるよぉ、ソラちゃん。ふんぎぃぃぃぃ」
「ぐぬぬぬ……おっ、動いた! よし、あともうちょっと」
小学四年生の女の子ふたりが、顔を真っ赤にしてズリズリ押していたのは、古井戸をふさいでいるコンクリートのふたである。ずっと昔に子どもが落ちる事故があったので、落下防止のためにと設置されたものだ。
ではどうしてそんなものを動かしているのかというと、発端は昨日の放課後にまでさかのぼる。
◇
緊急招集がかかった。
とはいっても全部で五人ぽっちだけど……
部員たちを前にして、ホワイトボードをバンバン叩くのは、第二編集部を率いる編集長の上杉愛理(うえすぎあいり)だ。眼鏡がよく似合うキャリアウーマンを小さくしたような容姿の六年生で、全身からデキる女感がみなぎっている。弁舌鋭く頭脳も明晰、姉御肌で勉強も教えてくれて、なにかと頼りになる上級生なのだが、本日はとてもご機嫌ななめであった。
原因は貼りだされている紙、赤と青の二本の折れ線グラフが印刷されてある。
ひたすら右肩上がりの赤いグラフは、第一編集部の学級だより『パンダ通信』の発行部数をあらわしている。
ずっと超低空飛行を続けている青いグラフは、我ら第二編集部の学級だより『エリマキトカゲ通信』をあらわしたものだ。
「見よ! この情けないざまを。第一との差は開くばかりだ。我々はいま存亡の危機にひんしている」
くいっと上杉愛理が片眉をつりあげた。
「いや、それはべつにいまに始まったことじゃないだろう」
身もふたもないことを言ったのは、むっつり顔で腕を組んでいる副編集長の村上義明(むらかみよしあき)である。ポニーテールにて中学生と見まがう体躯の六年生の男子だ。地元の少年野球チームに所属しており、馬の尻尾みたいな髪を揺らしては、バットをぶんぶん振る豪快な姿がまるで武士みたいだから、密かにみんなからラストサムライと呼ばれている。
「ですよねえ、アハハハ」
あいづちにて屈託のない笑みを浮かべたのは、マッシュルームカットの五年生である里見翔(さとみしょう)である。やや小柄で、なぜかいつも萌え袖、おどおどしている男子だ。ぶっちゃけ、そこいらの女子がたばになってもかなわないぐらいに可愛い。もっともそれだけの人ではないのだけれども……。
不甲斐ない男子部員どもを上杉愛理がキッとにらむ。
村上義明はついと顔をそらし、里見翔は「ひえっ」と首をすぼめた。
そんな先輩たちのやりとりを見ていたのは、明智麟(あけちりん)と松永美空(まつながみそら)の四年生コンビである。
明智麟はややくせっ毛のショートボブの女の子で、成績も運動もちょうど真ん中ぐらいにて、クラスでも取り立てて目立つようなタイプではない。たまさか作文のコンクールで賞をとったのが運の尽き。上杉愛理の目に留まり、あれよあれよというまに第二編集部に取り込まれてしまった。
松永美空は黒髪オカッパ頭で、明智麟とはとっても仲良し。その繋がりで、いっしょに第二編集部へと入部した。
これが第二編集部の総員である。
ちなみにライバルの第一編集部は、部員数三十名を越える大所帯だ。
上杉愛理は「うちは少数精鋭なんだよ」なんぞと言っているが、完全に負け惜しみである。
なお、どうして編集部が二つもあるのか?
パンダはともかく、なぜにエリマキトカゲ?
とかいうことについては、おいおい触れることとして……。
現状はぼろ負けである。
敗因は企画やら取材力などもさることながら、一番の原因はやはり内容であろう。
第一編集部の学級だより『パンダ通信』の紙面は、とても華やか。ファッションから各種流行に時事ネタなどを積極的にとりあげては、いまどきの子どもたちが知りたいホットな情報を、ライトな文体でわかりやすく提供している。
一方で第二編集部の学級だより『エリマキトカゲ通信』はどうかというと、ひと言でいえば固い。それはもうガッチガチである。内容が地味で硬派で文字もみっちみち。あまりにも読み応えがありすぎて、ひと目でお腹がいっぱいになる。おかげで先生方や親御さんたちの受けはいいけれど、肝心の子どもたちにはさっぱり刺さらない。
それでもこれがうちの伝統だから、と固執した結果が、いまの天と地の差であった。
だがいよいよ尻に火がついたらしく、ここにきて方針転換を余儀なくされた、という次第である。
「……というわけで、毒を喰らわば皿まで。禁断の企画に手を出すぞ」
上杉愛理はそう宣言した。
その禁断の企画というのが、じつは――
◇
井戸端にへたり込み、ふぅふぅ、肩で息をしながら、額に浮かんだ汗を明智麟はハンカチでぬぐう。それを横目に、開いた隙間にペンライトを差し込んでは、松永美空が奥の様子をたしかめている。
「どう? お星さま、見えた」
「ううん、ちっとも」
野見神社の裏手にある古井戸は、星月の井戸と呼ばれている。
もしも、心の清い者がのぞけば昼間でも星や月が見え、悪心ある者がのぞけば女の幽霊があらわれて、たちまち井戸の底へと引きずり込まれる、というロマンチックなのかホラーなのかよくわからない言い伝えがある。
禁断の企画とは、地元の都市伝説的なものを検証する、というものであった。
ではどうしてこれが禁断の企画あつかいなのかというと、理由はふたつある。
ひとつはすっかり手アカがついた企画だからだ。
二番せんじどころの話ではない。これにすがるということは、ただただ己の無能をさらし恥じ入るばかり。
いまひとつは安っぽい内容のわりに、おもいのほか反響が大きすぎることである。
子どもたちは昔からこの手の不思議な話が大好き。
ゆえに読者受けする。でもそれゆえに、興味を持った子どもが取材源に突撃し、いらぬトラブルを誘発しかねない。
かつて怪人赤マントや口裂け女、人面犬などの珍奇な存在が、巷をおおいににぎわせた時代があった。都市伝説なんて言葉が生まれるよりも、ずっと前のことである。
だから当時の学級だよりでも、盛大に取りあげた。だが、それによって引き起こされたのは、集団ヒステリーに近い状況であった。
情緒不安定になる子どもが続出して、学校全体がちょっとシャレにならない事態に陥ったという。
たかが学級だより、されど学級だよりなのである。
「まぁ、こんなもんでしょう。それに本当に星が見えたら、それはそれで反応に困るもの」
やれやれと美空は肩をすくめる。
「いちおう記事用に写真をとっておこうか。せっかくだからリンちゃんも見ておけば、とはいっても特に何もないけどね」
ペンライトを渡された麟は、正直あまり気乗りはしないものの、いちおうのぞいてみることにしたのだけれども。
「あれ?」
いま井戸の底で、キラリと何かが光ったような……
「うそ! お星さま、見えちゃったかも」
「またまたリンちゃんてばぁ、そんなわけないじゃん」
「でも、たしかに何かが光ったんだけど」
「……本当に?」
麟は自分から冗談を口にするような子ではない。
それをよく知る美空は、いっしょに井戸の底を確認してみることにした。
麟が手元のペンライトを右へ左へと揺らし、のびた光の筋が水底を照らせば、奥のほうが、キラリキラリ。
「本当だ……でもさすがに星じゃないよね。底に落ちてる何かに反射したのかも。どれ、ちょっと待ってて」
言うなり美空があさりだしたのは自分のリュックサックであった。
なかには取材ノートや小型のデジタルカメラ、アメ玉の入った巾着袋、水筒、その他にも細々とした品が入っている。
じゃじゃーんととりだしたのは磁石と釣り用のナイロンテグスであった。
光るお宝をこいつで釣りあげようとの考えだ。もっとも磁石にくっつかないと、役には立たないけれども。まぁ、その場合には釣り針でも結んで再チャレンジすればいいだけのことである。
とはいえだ。
「ねえ、ソラちゃん。どうしてそんなものを持ち歩いているの?」
「たまたまだよ、リンちゃん。テグスにむすんで校庭とか砂場を歩くと、砂鉄が集まるの。いつかそれをためて刀を作ろうかとおもって」
「…………」
どこまで本気なのかはわからない。けれど、彼女ならばやりかねない。
麟はついジト目を向けてしまった。
そんな視線を気にすることもなく、ちゃちゃっと準備を整えた美空はするすると磁石を井戸に投下する。
十メートルほどでぽちゃん着水、さらに進むこと一メートルほどで底に到達した。
とたんにテグス越しに手応えがあって、美空は「おっ!」
うまいこといったらしいので、ゆっくりとテグスをたぐり寄せる。
ペンライトを手に照明担当をしている麟も、ちょっとワクワク。
だがしかし、水底からあらわれたお宝を目にしたとたんに、ふたりはギョッとした。
それは抜き身のナイフであった。おそらくはキャンプとかで使う物であろう。最近世間ではキャンプが流行っているそうで、テレビ番組で見かけたことがある。
「誰がこんなところに捨てたのかなぁ。それともうっかり落としたのかしらん」
濡れたナイフを前にして、麟は不思議そうにこてんと首をかしげた。
だが美空は無言のままである。じっと見つめていたのは刃先の部分だ。先端がやや欠けており、刀身の一部が黒ずんでいるのがどうにも気になったからである。
「それ、あんまりさわらないように」
告げるなりリュックサックからスマートフォンをとりだした美空は、どこかに連絡をとり始めた。
そんな友人の姿を麟は羨ましげに眺めている。
周囲ではちらほらスマートフォンを持つ子どもが増えているのだが、明智家の方針で中学生になってからと言われている。だから必要な時には、お母さんに頼んで借りることになるのだが、これがなかなかめんどうくさい。
美空が電話を切ったところで「誰にかけていたの?」とたずねれば「三好のおじさん」
これに麟は「えっ!」と驚いた。
その人物は美空の母方の叔父にあたる三好之徳(みよしゆきのり)のことである。麟も何度か会ったことがある男性にて、いつもしわの入った背広を着ており、ちょっとだらしないけれども、気のいい大人だ。でもってそんな彼の職業は刑事である。
どうして、いきなりそんな叔父さんに連絡をしたのか?
麟が困惑していると、美空はにへらと笑みを浮かべた。
「ふふふ、リンちゃん。これはひょっとしたら、ひょっとするかもよ」
◇
「うひゃひゃひゃひゃ」
第二編集部どころか、廊下にまで響く高笑いの主は上杉愛理であった。
「でかしたぞ! ふたりとも」
編集長はご満悦にて、うれしさのあまり、抱きついてはキスをしようとするものだから、明智麟と松永美空は必死に逃げ回っている。
どうして上杉愛理がこれほど浮かれているのかといえば、四年生コンビが大スクープをものにしたおかげで、第二編集部の学級だより『エリマキトカゲ通信』が第一編集部の『パンダ通信』をぶっち切ったからである。
「星月の井戸を調べに行って、まさか殺人事件の凶器を発見するとはなぁ」
「本当だよね。ちぇっ、こんなことなら僕もついていけばよかったよ」
新聞記事の切り抜きと感謝状を眺めながら、村上義明は感心しているのか呆れているのかよくわからない表情をしており、里見翔は「お手柄小学生」として新聞に載れるチャンスを逃したことを悔しがっていた。
そうなのである。
麟たちが古井戸の底で見つけたあのナイフ、じつは未解決事件の凶器であったのだ。
残っていた黒染みは血のあと、ひと目で怪しいとにらんだ美空が、念のために刑事である叔父に連絡をとった。
で、すぐに回収されてDNA鑑定やら遺体に残っていた刃型や破片から、それが隣の市で起きた殺人事件の凶器と断定された。また決定的な物証がでたことによって、これまでのらりくらりととぼけていた容疑者を追い詰めることにも成功し、事件解決とあいなった。
一連の出来事と星月の井戸の言い伝えなどを、やんわりからめて、ちょっと不思議風味のドキュメントっぽい記事にまとめたのは麟である。
そいつを学級だよりに掲載したところ、生徒たちに大受け。
じつに十年ぶりの快挙につながったのであった。
「やはり私の目に狂いはなかったな。よし、決めたぞ! 今後、この企画は麟と美空、ふたりの担当とする。この調子でガンガン頼んだぞ」
「「ええーっ!」」
すっかり味を占めた編集長の命令により四年生コンビは、地元の都市伝説的なものの検証企画を押しつけられてしまった。
その日の帰り道でのことである。
「そういえば……」と口にしたのは美空。「じつは三好のおじさんに聞いたんだけど、いくつか、わからないことがあるんだって」
それは犯人が星月の井戸に凶器を隠したときのことであった。
コンクリートのフタを動かし奥をのぞき込むと、暗い水面にうすぼんやりと青白い女の人の手みたいなのが浮かんでいるのが見えたもので、びっくりしてナイフを取り落としてしまった。そして怖くなって、そのまま逃げてしまったという。
「……それって、犯人が井戸のふたを閉め忘れたってこと? ソラちゃん」
「そうなのよリンちゃん。でも私たちが調べた時には、しっかり閉まっていたよね」
「う~ん。あとで誰かが気づいて危ないから閉めた、とか」
「とは、私も考えたんだけどねえ。それにしては、ちょっと変なのよ」
「変って、何が?」
「指紋だよ、し・も・ん。私とリンちゃんと、犯人と、その他の四人分が残っていたらしいんだけど」
「えっと、それならちゃんと計算が合ってるんじゃないの。開けた人と閉めた人の」
「いちおう数だけならね。でもその四人目の指紋があったところが、ちょっと……」
「?」
「なぜだかフタの裏側についていたんだって。あと、長いこと水の中につかっていたのに、どうしてナイフにこびりついた血がとれなかったのかも、おかしいのよね」
「!!」
第四の指紋――
それは、まるでギギギと爪で激しく引っ掻くかのようにして、フタの裏側に刻まれてあったんだとか。
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