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16 セカンドコンタクト
しおりを挟む現地人とのファーストコンタクトの失敗を引きずりつつ、トボトボと街道らしき道を行く。
石畳が敷かれた道はよく整備されており、等間隔にて淡く光る石が埋め込まれてある。夜になるとコレが照明の役割を果たし幻想的な光景となるのだが、それだけではなさそう。もしかしたらモンスター除けとかの効果があるのかも。わりと長いこと道を歩いているが、あまり遭遇していないので。
格好は黒猫の着ぐるみ姿のまま。
変身を解きたいところだが、そうなると十才の女の子の一人旅になってしまう。
いくらあの島とは違うとはいっても、こちらにもモンスターがいるし、賊とかも出るかもしれない。少女に欲情する変態もいるかもしれない。騙された挙句に奴隷堕ちとか悲しすぎる。
だからあまり無防備な姿を晒すわけにはいかない。
せめてどこかの街とかに潜り込むまでは、変身を続けておこうと考えている。
適当に街道を逸れては水や食糧を確保しつつ、五日ほど進んだところで分かれ道に到着。
案内の看板はあるのだが、文字がさっぱりわからん。
言葉は通じるのに文字が読めない……。
子どもの神さまってばちょいちょい足りてない。アイテム収納とか言語能力って、異世界転移ファンタジーのお約束なんじゃないのかな。せっかくの改造なんだから、もうちょっと頑張って欲しかった。
読めない文字をいくら睨んでいてもしょうがないので、道幅の大きな方へと進むことにした。それだけ交通量が多いってことだろうと考えて。
三日ほどして、現地人とのセカンドコンタクトの機会がやってきた。
旅のキャラバンらしき集団がモンスターに襲われている。
警備についている護衛たちと、電柱ぐらいのミミズの群れが絶賛交戦中。
ふむ、街道に埋められている石の効果も絶対ではないようだな。
護衛の男たちは良い動きをしているものの、やや劣勢っぽく見える。なにせ守りながらの戦いをしいられているのだから、無理もあるまい。
ここで勢い込んで参戦したら、先の二の舞になる恐れがある。
さて、どうしたものかと逡巡していたら幌のついた荷馬車に、ドスンとミミズの一匹が当たって、中から小さな女の子を抱いた女のヒトが転げ落ちるのが見えた。
美味そうな餌の登場に色めき立つ電柱ミミズども。
その姿を見た瞬間に、私の体は勝手に走り出していた。
「喰らえ! 猫パンチ」
攻撃を受けた電柱ミミズの体が千切れて、中から黄色い体液を撒き散らす。
駆け抜けざまに猫爪にてスパスパと片っ端から輪切りにしていく。
瞬く間に殲滅完了。フッ、ヌルいわ。
呆然としている母子に「大丈夫?」と声をかける。
ギョッとしつつも母親が対応してお礼を言ってくれた。つられて女の子もペコリと頭を下げる。
それを見て、ちょっと猫目がうるっときちゃったよ。だってこっちにきてから初めてヒトらしい扱いを受けたんだもの。
でも他のキャラバンのヒトたちは、もの凄くこちらを警戒している。その証拠に手にした武器の切っ先がすべて私に向けられている。接触をはかろうとちょいと手を持ち上げただけで、一斉にビクリとされた。
あー、これは駄目だと判断した私は、颯爽と去ることにする。
「じゃあね」
母子に別れを告げて、シュッタタと街道を走っていく黒猫の着ぐるみ。
セカンドコンタクトも失敗。
うにゃーん。
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