23 / 298
023 外遊
しおりを挟む狩りにてあちこちを飛び回ってわかったのが、想像以上にひどい国内のあり様。
まず主都以外の街や都の大半が機能不全に陥っている。ここのところ人と物の行き来もろくすっぽなかったから、どこもカツカツ。
農民たちは逃げ出して田畑は放置で荒れ放題。辺境の村なんて、ほぼほぼ廃村。
バカ王子の乱が集結したとはいえ、問題山積なリスターナ国。
美中年な王さまは無事に目を覚ましたものの、「どうせならぜんぶ解決してから起きたかった」ともらすほどに、取り巻く情勢は厳しい。
治安の問題はある程度、わたしの方でサクっと対処したが、問題はケンカを売りまくった周辺国との関係改善
ここから先は国同士の外交問題。
賠償に関してはうちの資源で賄えるとして、問題は国としてのチカラ関係の優劣。
現在、女神によって三千人近い異世界渡りの勇者がばら撒かれているノットガルド。
各国が超人兵器を保有している中にあって、リスターナはゼロ。
なにせもらった六人全員死亡しちゃったからね。
わたしはあくまでノラ勇者。
協力はしても所属をするつもりは、さらさらない。
で、リスターナなのだが、兵力、国力だだ下がり状態につき、最悪、交渉の席にもついてもらえず、いきなり属国化されて、一方的に搾取浪費されるなんてことも考えられる。
いざともなれば相手をチカラでねじ伏せることは簡単だけれども、それをやっちゃうと魔王と同じだし。
なによりいまはまだ女神の目が怖いからね。
あまり表だって動きたくないというのが、わたしの本音。
「どうしたものだろうねえ」
困ったときのルーシーさん頼み。
すると青い瞳のお人形は、こともなげにこう言った。
「そんなの簡単ですよ。交渉へとおもむく使節団の中に何名かハイボ・ロードたちをオマケにつけるだけで解決です」
向こうが勇者という超人兵器の武力を笠に着るのならば、こちらは伝説の優良種をチラつかせて対抗する。
グランディア、オービタル、セレニティを五人ずつばかり同行させるだけでいい。
実際に彼らとくっついているのはわたしにて、リスターナとは関係ないけど、黙っていればわからない。きっと向こうが勝手に忖度してくれるハズとのこと。
うーん、そんなことでうまくいくのかな?
王さまや宰相のダイクさん、将軍のゴードンさんらと協議の結果、まず最初にお詫び行脚に訪れる先へと選んだのは、昔からわりとつき合いがあった西のトカード。
人間族の国にて、もとの国力はリスターナといい勝負だったのだが、こちらは五人の勇者を得ても無謀な野心にとち狂うことなく、コツコツと堅実に内政に努めたおかげで、中の中ぐらいの国力が、いまでは中の上の上ぐらいにまで急成長。
ちなみにリスターナの現在の国力は、いいとこ下の中といったところ。
正直、中堅どころを気取るのもおこがましい衰退っぷり。
たった一年ほどでずいぶんと溝をあけられたものである。
使節団の大使として赴くのは、なんと! リリアちゃん。
跡継ぎのカーク王子が廃嫡になってしまったので、必然的に彼女が後継者第一位。
そのお披露目と、将来の婿取りへの仕込み、経験と修行、あと可愛い美少女相手だったら、あまり無茶は言えまいという下心も込み込みの人選にて。
もちろんダイクさん厳選の優秀な官僚にて脇を固め、警備にはわたしやハイボ・ロードたちがつくからこそ、許された外遊。
いきなり外交デビューにて戦後の交渉とか、可憐な美少女にはいささか荷が重すぎる気もするが、あいにくといまのリスターナには出し惜しみをしておく余裕さえないのだ。
おっちら隣国まで大名行列なんてしてられないので、宇宙戦艦「たまさぶろう」にてビューンとお出かけ。
はじめての空の旅にはしゃぐリリアちゃん。
あんまり喜ぶものだから、ちょいと大気圏を飛び越えて宇宙遊泳としゃれこむ。
星の海の雄大な眺めをプレゼントしたら、「リンネお姉さまだいすき」だってさ。
おもわずわたしの神鋼精神がゆらぐほどの破壊力。この調子であれば外交なんてちょちょいのちょいであろう。
大気圏からトカード国内へと再突入するたまさぶろう。
さすがにこのまま行ったら、相手が卒倒するので、人目のない適当なところで艦を降りて馬車の旅に切り替え、トカードの都を目指す。
13
あなたにおすすめの小説
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる