異世界メールフレンド〜女騎士とメールしていたら帰れなくなりました〜

竹野こきのこ

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異世界転移編

スマホで魔法

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エリカには秘密は作りたく無かった。
それは、俺がずっと思って来た事。

だが……俺はこの時ばかりは口を噤むと、エリカはそれ以上何も言わず、普段通り宿で寝る支度をした。

布団に入り、アドリが寝たのを確かめると俺はエリカに声をかけた。

「エリカ……起きてるか?」
「ああ、起きている」

俺は相変わらず同じ布団で寝るアドリの頭を撫で、布団からでると、エリカに言った。

「なぁ、少し話さないか?」
「わかった」

エリカはそう言うと毛布を抱え、へやの窓から屋根に降りた。外は少し肌寒い夜風が吹いている。

俺も屋根に降りるとエリカは毛布の端を広げる。

「入っていいのか?」

そう聞くと、軽く頷いた。
毛布に入ると、エリカは肩を寄せ毛布の隙間を埋める。何故かエリカは泣くのを堪えている様に前を向いていた。

「エリカ……俺はさぁ、エリカとメールするまで元の世界には友達はいなかったんだ」
「それは私も同じだ」

「だけどさぁ、メールを始めた時は色々考えた。騙されているんじゃないかとか、嫌われるんじゃないかって。でもこっちに来てエリカはそんな俺を受け入れてくれた、一生懸命にどうにかしょうといつも助けてくれた」

「それは私もそうだ……少佐として部下を助ける場面は幾度となくあった。だが、私を戦力としてではなく必要とし、助けてくれようとしたのは父親以外では修平だけだった」

「そっか……エリカ頑張ってるもんなぁ、正直もっと俺やアドリを頼ってくれていいんだぜ?」

俺がそう言うとエリカは毛布に顔を埋める。

「私は……私は失いたく無いんだ。今まで百戦錬磨と言われているが死んだ部下は数多く居る。戦いだからそれは仕方がない事かも知れない。だがそれでも私は失いたく無いのはわがままだろうか?」

俺は、首を振り言う。

「それは、俺も同じだよ。エリカはいつも一人で向かい俺たちを守ってくれる。でも、俺もエリカを守りたいんだ」

顔を埋めたまま頷くエリカに言う。
「ドライア様は俺に帰る方法を教えてくれたよ」

エリカは驚いた様に目を開く。
「だけど……マザーのログを使うしか無いって。全知全能の神みたいな1万年生きてる管理者がだぜ? この世界はゲームだって言い切りやがった」

俺はエリカに抱き付きながら、
「じゃあこれは何なんだよ。暖かくて柔らかくて、いい匂いだってしている。それ以上に俺はエリカとはもっと見えない絆みたいなものも感じているのに……」

そう言った俺は堪えていた涙がボロボロとこぼれ落ちていく。エリカは俺の頬に頬を当てて語りかけた。

「私も修平を感じる。暖かくて、優しくていつも私を見てくれているのもわかる。これがゲームであるならば、何故苦しいのだろうな」

「俺が描いていた、エリカやアドリと繋がっている形で帰れないなら、俺は帰らなくてもいい……ダメかな? エリカ……」

「修平、私は幸せ者だな。自分の好きな人間がそこまで思ってくれていると言うのは幸せな事だ」

そう言われた俺はエリカを強く抱きしめると、不意に今のエリカの言葉が気になった。

「ちょっと待って、今エリカ好きって言った?」
「ああ、好きだ。もし、修平がマザーを使うと決め世界を敵に回したとしても修平の味方でいると誓おう」

エリカが言ったその言葉はどんな告白よりも強く深い気持ちを感じた。

「俺、エリカを連れて帰ると誓うよ。エリカのメールは現実世界に届いていた。きっとここにいるというメッセージだとおもうんだ」

そう言って俺はスマホを持った。

「修平、それ……」
「スマホがどうかしたのか?」

「魔力が以前より大きくなっているぞ」
「ドライア様がアンテナを復活させたのと関係があるのかな?」

「それは分からん、だが、人の魔力とほぼ同じと言えるだろう。一度ファルムスに帰って調べてみた方がいいかも知れないな」





それから俺たちはファルムスに帰る事にした。
ただ、ファルムスと言ってもエリカの領土となる外れの街。

とりあえず空き家となっていた家を拠点に今後どうするのかを考える事にした。

「くあー、連日掃除ばかりでアドリはもうくたくただよー」

「いや、お前ほとんど遊んでただけじゃねーか!」

領主にしては小さいとはいえ、20畳近い部屋が5つある庭付きの家だった。エリカの代わりに領地を管理してくれている人も、まさか住む気があるとは思っておらず管理人も、

「事前に言って頂ければメンテナンスしていたのですが……」
「構わない、急に来た私達の問題だ」

と、ともかく5人で2日かけて綺麗に掃除を終わらせる。アドリは庭にナシリンの実を植え育てる気が満々だ。

「ねぇ、エリカさん! ナシリンの実をこの領地の名産にしない??」
「アドリはナシリンの実が好きだな。私は構わないぞ?」
「じゃあ管理人さんと農家の人に相談してくるねー」

正直アドリが一番領地の事を考えているのではないかと思う。

アドリが管理人さんと出かけると、早速俺はエリカと本題のスマホ情報を共有する事にした。

そう、ドライア様に開放してもらった機能は大きく3つ。どれも基幹システムと繋がった事による物だった。

1つ目はマップ。
元々あったマップアプリがこの世界のマップに書き換えられている。これにより地名やどこにいるかが分かると言うこの世界では神の能力と言える機能だ。

2つ目は、ブラウザ。
この世界の人は空間に表示させている物らしいが、これをスマホを使う事で俺も使える様になった。

3っつ目が、世界ログ。
通称"ヘルプ"と呼ばれるログは、言わばこの世界のリアルに更新されるWikipediaウィキペディアみたいな物だ。

ドライアさんはこれを見てそれぞれの情報を得ていた。正直かなり神がかったツールとなった。

「マップはわかるのだけど、このステータスというのがちょっとよくわからないんだ」
「ふむ、私は慣れているからかあまり難しいとは思わんがどんな事が出来るか? という事でいいのか?」

「ああ、エリカは普段何する時に使うんだ?」
「ソースや、連絡、時間や位置を見ると言った使い方が基本的な使い方だな。だが、ドライア様の機能となるともっとなにかあるかも知れん」

「ちょっと待って、ソースってなんだよ?」
「これは口で説明するより見せる方が早いな、スマホを貸してくれないか?」

エリカにスマホを渡すと、ブラウザを開きカメラの様な画面になる。

「かなり使い辛いな……」
カメラの様な画面に紙を写し、タッチすると紙をマークする。さらにタッチし選択すると文字の羅列が表示された。どうやら文字の羅列は常に動いている様だ。

「なんだよこれ?」
「これがソースだ。少し待っててくれ」

するとエリカは、スマホを両手で持ちものすごい速さで文字を打ち始める。

「よし……なかなか慣れない物は難しいな」

そう言って、タッチすると目の前の紙が燃えて消えた……。

「えっ……魔法?」
「そう、紙であれば周りの熱量を少し加えてやるだけで燃やす事が出来る」

「マジかよ、今のスマホでやったのか?」
「ああ、この様にソースに直接干渉する事が出来れば可能だ」

なんかよくわからないが、スマホで魔法が使えるという事だけは分かった。

「もし干渉出来ない場合は?」
「その場合は干渉出来る物を当てる事で効果を付与していくのだ」

俺はそれを聞いて、なんとなくエリカが矢を出す理由が分かった気がした。

「なぁ、これ俺に教えてくれないか?」
「ふむ、それなら属性を考えておくといい。それが決まれば基本をとりあえず教えよう」

こうして俺は、一度スマホで属性について調べてみる事にした。
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